夜。
愛瑠「ただいま・・・・・・・・」
愛瑠は帰宅してきた。役2年前の天宮襲撃の時のような顔で。
博人「お・・・・かえり・・・・。どうしたんだ・・・・?」
愛瑠「なんでも・・・・ないの・・・・今日は晩御飯は食べてきたからいいわ・・・・」
そう言うと2階へ重そうな足取りで上がっていった・・・・。
博人「何があったんだ今日?」
恋美「なんか、天宮の生存者が新たにみつかって会いに行ったみたいだけど?」
博人「それ、普通はあんな顔して戻ってこないよな?」
死んだと思われた人が生存していて再会できた。普通は嬉しいもののはずだが。とはいえ恋美の話だと、出かける時は嬉しそうにそれはスキップするくらいな様子
なぜか。
会ってなされた会話に問題でもあったのだろうか?
博人「一体どうしたんだろうな。俺ちょっと行って聞いてみる」
博人はそう言うと2階へ上がっていく。
大好きな兄が別の女のところへいく---------
以前なら背中に隠している二振りの日本刀で襲い掛かっているところだが・・・・今はあまりなんとも思わない。
なぜか?
そう思って脳裏に蛍が浮かぶ---------
恋美「いやいやいや!!べ、べつにあいつの事なんか!!で、でもそうね・・・・親友として--------」
恋美は博人に遅れて2階へあがる階段をすすむと・・・・廊下で話し声が聞こえる。博人と愛瑠だ。内容を聞いてみると、まだ話がされていなかった。まだ「大丈夫」だとか「なんでもない」と愛瑠が答えているところをみるに、まだ恥会っていないようだ。
そして何回かの問答で諦めついたのか・・・・愛瑠が話し始めた。
今日会いに行ったのは壊滅前の天宮で自分の世話役をしてくれた女性だという。「ああ、あの人か」と博人が返す。どうやら面識があるようである。
その女性が今回上京してきて話した内容。あの襲撃での生存者。じつはあれから逃れ、生き延びたのは彼女だけではなく、二十数名いるのだという。いまも天宮分家にてお勤めをしているようだが、天照大神を継ぐ愛瑠が来てくれれば皆の希望となるだろうという事で一緒に来てくれないかという話である。
博人「・・・・いくのか」
博人のその言葉は問う疑問符ではなかった。答えはもう分かっているかのようで--------
愛瑠もまた、「うん」と返事をした。それはつまり・・・・
博人「引っ越す、という事か。恋美も悲しむだろうな。蛍がいなくなると」
愛瑠「いいえ。蛍は残してあたしだけいくわ。蛍にはこっちで幸せになってほしい。天宮復興で動くのはあたしだけで・・・・いいわ」
博人「蛍にはだと?俺は?・・・・いや、悪い。お前を困らせる事は言う気は無ねぇ。そうか・・・・さびしくなるな。いついくんだ?」
愛瑠「・・・・1週間後」
1週間後。愛瑠はいなくなる。皆の前から去り、1人天宮復興にむけて動き出す---------
自分に家族や友達を置いてそんな事をする覚悟が固められただろうか。いや無理だ。
自分より大人なんだと思う。小学5年生の身空で。好きな事もしたいだろうに家に縛られている愛瑠。
1週間。なにかしてあげられないだろうか------------
愛瑠「お兄ちゃん。1週間。ずっとそばにいて。お願い」
博人「・・・・ああ。わかった・・・・」
ドアが閉まる音がする。きっと2人で愛瑠の部屋に入ったんだろう。小学生と高校生の恋もこれでおわりなのだろうか・・・・。
愛瑠は蛍は東京に残していくと言っていた。
愛瑠は博人と別れる事になってしまうが・・・・せめて蛍だけは。
いつまでも素直になれないとか言っていられないだろうか。かといってあと1週間でツンがなおるとは思えない。
でも・・・・親友には心残りなく三重に赴いてほしいとは思う。
天照大神の神霊を継ぐ愛瑠はこれからきっといろいろ不自由な生活を余儀なくされることは想像に難くない。
恋美「ちょっとは・・・・が、がんばってみようかな・・・・」
頑張れるか・・・・??
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