夜。燿は夕食後の席にて父親に昼間の事を聞いてみる。愛架の話は事実で、燿がやると言えば、見習いとして勉強もできるようだ。ただ、史記は忙しい人なので、おそらく別の誰かにつくことになるだろうという話だ。それも愛架の話と一致する。どうやら事実らしいが、自分にプロの道があるなどと思っていなかった燿は、父親に自分のこの1年についてきいてみた。
大会で優勝という結果を残し、メンバーとも良好な関係でいて、特にこうしたほうがよかったというアドバイスはなかった。ただ、受け持ちのアイドルと恋仲になったのだけ、如何なものかという事で。
実際、タレントとマネージャー、プロデューサーと結婚するという話はそう珍しいものではない。良くある話だ。しかしデビューするアイドルが既に彼氏持ちというのはどうだろう・・・・。
まぁ、ののかにも同様の事が言えるのだが。
プロ見習い。どんな人の下について修行するのか分からない不安がある。この1年やってきた自分のやり方と全く違う人の下で修行するのも苦ではないだろうか・・・・。どんなプロデューサーなのかわかっている父親の下ならば、安心して修行に励めそうだが・・・・。
史記「父さんの下?」
「あら。信頼されてるのねあなた」
史記「いやぁ、照れるなぁ。あはははは!!」
夫婦でベッタリと抱き合っている。仲が良いのは良いが、息子の前でそれはどうなのだろう・・・・。
史記「まぁ父さんの下につきたいと言ってくれるのは嬉しいけどね、さっきも言ったけど、忙しくてなかなかさ?」
「あら。観てるだけでも勉強になるわ。この1年、燿がやってきた事と照らし合わせて、こうしたほうがいいという事にも気づけるでしょうし」
史記「まぁ確かに。ふむ・・・・。燿、父さんの下ならやれそうかい?」
燿はちょっと考えて・・・・頷いた。
史記「オーライオーライ。じゃあとりあえず一晩考えて、明日やるかやらないか聞かせてくれるかい?」
「明日って随分急ね」
燿「ん?まぁね。いろいろと書類上の話とか、どういうカリキュラムで修行させるか考えないといけないから。C・E・Oも社長も、学業優先でって考えてるみたいだから、前もって色々と決めておかないと。それに・・・・・・・・」
・・・・言葉をきって、燿を見た。何だろう。何かあるのか?しかし「やっぱり何でもない。あとのお楽しみにしておこう」などと’その何か’は言わなかった。
あとのお楽しみ・・・・それはそれで何だろう・・・・。燿の知らないところで自分の知らない何かが進んでいるようで、ちょっと不安だ。
燿は自室に戻り、ベッドに横になって考える。
プロデューサー見習いとして、父親の下について修行する---------------
この1年を通しての活動で、やりがいは感じていた。しかし、タレントとの接し方を間違えば信頼関係を失いそうだし、プロデュースを間違えればタレントの活動が滞る。
燿「・・・・まぁ、父さんの下についていろいろと教われば、そのあたりは巧くやれそうな気がするけど」
そしてなにより。アイリーンと一緒の世界にいたい。そう思う。愛架のお願い・・・・メンバーの傍にいて見守る事もできるだろう。
あとは・・・・自分の決意が固まるかどうか----------------
燿は考えに考えて、眠れない夜を過ごした。しかし、そのおかげで考えが纏まった。
翌日起きた燿は新聞片手にコーヒーをすする史記にまとまった考えを伝えた。
燿「もう・・・・あとには引けない・・・・!!頑張ろう・・・・!!」
燿は制服に着替え、部活の為に春休みの学校へと向かった。
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