時は少し遡り、8月中旬。3人の少女たちが、テレビの録画を少々興奮気味に観ていた。
1人は茶髪のショートヘアー。両脇を申し訳程度にツインにして、それが興奮してつい動いている動きに合わせてぴょこぴょこ揺れている。他の2人も夢中で観ていたが、この少女程ではない。
この少女、名前は星野奏鳴という。律音達と同じ中学校の1年生だ。他の2人は彼女の友人たち。クラスメイトだ。
テレビに映っているのは・・・・先日行われたSTAR-LIGHT県予選の映像である。何度も何度も再生しなおし、ずっと同じ部分だけをみていた・・・・その映像は・・・・同じ学校から出場しているSTAR-MINEのライブステージだった。繰り返し鑑賞し、もはや歌を’ソラ’で歌えるくらいだった。振付までもマネて踊っている奏鳴の姿を呆れ気味にみる友人達・・・・。
曲が終わるとまたリモコンで巻き戻し、また再生しようとする。今日の再生数は30回くらい過ぎただろうか・・・・。もうミミダコである。
「奏鳴・・・・あんたも好きだね」
「今日、もう何回目?」
奏鳴「34回目かな!!」
34らしい。十数回までは数えていたが、今日もずいぶんと再生したものだ。
「音声吸い出して、携帯で聞いたら?」
奏鳴「ナマで観ないでどうするの!!」
真顔でそういうが・・・・2人の友人は突っ込みたい。テレビの録画なのだから、ナマじゃないだろうと。しかし彼女にとってはそんな事はどうでもいいのだろう。映像と共に曲を聴く。それが重要なのだろうから。
奏鳴「すごいよねっ!!ウチの学校からアイドル誕生だよ!!」
まだ決まっていないのにすごいはしゃぎよう。デビューは優勝しなければならないのに。まぁ自分の学校からでたチームが東京予選を勝ち抜いたのだ。すこしは希望も持ちたくなるものだ。
「次は・・・・関東予選だっけ?」
「そうみたいね。次も上位3チームが勝ち抜けになってるわ」
奏鳴「きっと勝てるよ!!それにしても、1人1年生がいるって凄いよね」
「・・・・ああ、城ケ崎ののかさん?」
「うにうに言ってる人だよね」
3人はののかと同じクラスではない為、STAR-MINEの公式ネットページで公開されているパーソナルデータしか知らない。
奏鳴の友人の2人の感想は・・・・イタイ人、だった。クラスは違うが、ののかのクラスにいる友人知人のところへ訪れたり廊下でみた事はあるが、あれはアイドルとしてのキャラ作りではなく、デフォルトでうにうにしているのだ。イタイという感想だが、男ウケはいい。特に上級生の。
まぁあのキャラもアイドルとしてはいいのかもだ。
友人2人が帰った後、奏鳴は自室でベッドでうつぶせになって想像する。
(もし・・・・自分もアイドルになれたら----------)
歌う事は好きで、カラオケにも行くものの、点数は高くない。80点前後。自分でも少々音痴なのかなとは思う。でも歌う事は好きだ。しかし自分の歌を大衆の前で披露できるかと聞かれたら・・・・それはノーだ。歌う事が好きだが、決してうまくはない。友人とカラオケに行くだけの趣味の範囲。
リーダー兼部長の律音と流奈もカラオケ好きとプロフィールにはあった。県大会からその歌唱力は高かった。カラオケで培われたのだろうが・・・・・・・・
奏鳴「あたし・・・・才能・・・・ないんだろうな・・・・」
そんな事を悶々とネガティヴに悩んでいると・・・・いつの間にか眠ってしまった。いつかアイドルとしてステージで歌っている姿を夢にみながら・・・・・・・・
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