公園で一夜を明かし、再び街に出る。流石に昼間は人通りが多く、聞き込みもしやすかった。1時間でシーラの事を知っている人に話を聞くことができ、家の場所を聞き出すと、さっそく向かった。
シーラの家は月乃宮の屋敷の半分くらいの敷地に、真っ白な外観の3階建ての家だった。庭には色々な花が咲き乱れ、まさにおとぎの国の家という感じだった。まさに女の子の家という外観に少々ためらいはしたが、ドアをノックした。でてきたのは・・・・3姉妹の真ん中の少女・・・・ルレイアだった。雅輝の顔をみると・・・・小首をかしげる。・・・・雅輝の事を覚えていないのか?
・・・・数分して雅輝の事を思い出して遅い「えええええっ!?」と驚きリアクション。どうしてここにといわんばかりの顔で。その叫びを聞いたのか、玄関に長女のミランダも現れた。
ミランダ「貴方・・・・たしか・・・・シンデレラの思い人だった・・・・どうしてここへ?」
雅輝「シーラ・・・・シンデレラちゃんを連れ戻しに来ました」
ルレイア「え・・・・?」
ミランダ「話をしにきたのではなく、連れ戻しとは大きく出たわね・・・・ふ・・・・」
雅輝「何笑ってるんですか。可笑しいですか?」
ミランダ「それはそうでしょう?貴方、完全にもうシンデレラと別れた筈よね?4ヶ月も経ってから来るなんて、滑稽だわ」
たしかに。シーラが幻想世界に帰ってから4ヶ月も経った今、来るのは遅いだろう。しかしそれは別々の世界の住人だから。諦めていたから。しかし今は違う。シーラと一緒にいたい。その一心だけだ。
雅輝「確かに今更来てという感じですが、今は覚悟を決めてきました」
ルレイア「・・・・で、でも・・・・あの子を連れ戻すという事は・・・・その・・・・」
ミランダ「そう。この物語を破綻させにきた、そういう解釈でいいのかしら?」
それは雅輝も悩んだ。彼女を連れ戻すという事は、シンデレラの話を破綻させることになる。果たしてそれはいい事なのだろうか。昨日野宿しながら考えた。童話シンデレラを破綻させてしまう覚悟。それは-----------------
雅輝「その覚悟は・・・・出来てます。シンデレラの物語を破綻させてしまう事。それによる現実やこの幻想世界にどんな影響がでるのか・・・・それはわかりません。きっと混乱が起こるでしょう。ですが、僕はこの想いを貫く決心を固めてきました。どうかシンデレラちゃんに会わせてもらえませんか」
「どうしたね?2人とも」
奥から、優しそうな30なのか40代の男性があらわれた。その後ろには同じくらいの年齢の女性もいる。おそらく・・・・シーラの両親だろう。自己紹介をすると、とりあえず玄関で問答するのもなんなのでという事でリビングにあげてもらった。そしてここにきた理由とシーラを連れ戻すことについての覚悟を話した。父親エルダール、母親ドロシーは暫く考えたあと、口をひらく。
エルダール「この物語を破綻させてでも・・・・か。それ程までにあの子を・・・・。この御伽話の世界にまで来た覚悟は認めるが・・・・」
ドロシー「そうね。主人公がいなくなるのはマズいわね」
ミランダ「お父様。もしあの子がいなくなったら・・・・どうなるのかしら」
エルダール「わからない。我々の存在意義がなくなり、消滅する恐れもあるな」
ルレイア「そんな・・・・」
ドロシー「あの子をそれだけ愛してくれている貴方の想いに応えてあげたいけれど・・・・この物語を破綻させる訳にはいかないわ。もしかしたら・・・・シンデレラという物語が世界からなくなるかもしれないし・・・・」
しばらくの沈黙。誰も話が破綻したらどうなるかわからない以上、決められない。しかし途中でシーラ本人がどういう気持ちでいるかを忘れていたので、聞いてみることにした。生憎といまはおつかいにでていたまだ帰ってこないらしいので、雅輝はとりあえず出直す事にした。
出直す。言い方を変えれば逃げ。そう・・・・逃げだ。もしシーラから拒絶の言葉を聞いてしまったら・・・・と思うと怖い。覚悟を決めたとは言っても、結局怖いのだ。
出直そうと帰ろうとしたとき・・・・『グゥ・・・・』という音がなった。何の音かと思っていると・・・・雅輝の音だった。
雅輝「あ・・・・昨日からここに来てて、この家を探し歩いてて、結局なにも食べてなかった・・・・」
雅輝の腹の虫の音だった。エルダールは人間界でもシーラの話も聞きたいと、食事をしながら話をする事にした。食事をご馳走になり、後でまた訪ねに来るという約束をして、家をあとにした。
結局、食事している間もシーラが帰ってくることはなかった。ホッとしたような・・・・残念なような。
一体・・・・別れから4ヶ月。シーラはどういう気持ちでいるのだろうか・・・・?
舞踏会は・・・・明日だ-----------------
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