74年12月12日新日本プロレス蔵前国技館大会、メインイベント、アントニオ猪木にストロング小林が挑戦したNWF世界ヘビー級選手権試合。試合開始直後の猪木のドロップキック連発、ボディスラムからのフォールで小林は右足をサードロープに掛けていたにも関わらず、レフェリーのコシキ・ジーンは高速3カウントを入れてしまい、猪木の勝ちを宣告しました。
怒りの小林陣営、私設応援団のリーダーである代理人、小林の叔父である坂戸氏を初め、紺で胸に「小林」と書かれたジャージを着用した私設応援団がリングに上がり猛抗議、組織対個人では明らかに小林が不利です。「フリーだからってナメるな!」とばかりに小林も抗議。しかしレフェリーのジーンはミスジャッジを認めない。
超満員16,500人の大観衆は小林に同情的。「猪木、汚いぞ!」の野次が飛ぶ。小林は自分が希望したアメリカ人レフェリーの前に負けにさせられてしまうのか…。
サブレフェリーのミスター高橋、立会人の秋田大助衆議院議員、主催者である東京スポーツ新聞社の高橋典義編集局長もリングに上がって、小林の足がロープに掛かっていたとジェスチャーを交えてアピール。協議の結果、倍賞鉄夫リングアナウンサーが「先程のレフェリーの判定は小林選手の足がロープ掛かっており、レフェリーの死角に入ってしまい、見えなかった。試合を再開します。」とアナウンスし、ジーンのミスジャッジ、試合再開となりました。
これは試合を盛り上げる為のアングルで猪木側と小林は知っていたとは思いますが、素人である坂戸氏初め秋田議員、東スポの高橋編集局長には知らされてはいなかったと思われ、リアリティーを生んだ猪木一流の演出だったでしょう。
試合再開、ミスジャッジで負けにされそうになった小林はエキサイト、パンチの構え、猪木は応戦するも空を切る。両者組み合い首相撲、これを嫌った小林はキックを放って離れます。今度は組み付いて猪木がヘッドロック。グイグイと揺さぶりをかけて絞め上げにいきました。小林は猪木の腕を取り、力で外しにいこうとしますが猪木は重心を低くして首投げでグラウンドへ。
小林はヘッドシザースで切り返し身体をうつ伏せ状態にし、テコの原理でクルック・ヘッドシザース気味に絞め上げていきます。体勢をずらして脱出しようとする猪木の頭部を挟み込んで、腕立てのポジションから頭をマットに擦り付けていきました。
猪木はクルッと体勢を入れ換えてヘッドシザースを外して、うつ伏せ状態の小林の両足を畳んでのダブル・レッグロック。自らの足を小林の両足に挟み込んで、バックから小林の顔面、頬骨、顎にかけてのあたりを上腕部を使ってゴリゴリとシゴイていきます。カール・ゴッチ直伝の嫌らしい攻撃で小林のスタミナと戦意を奪っていきます。
これを嫌がった小林は立ち上がり、猪木の足のロックが外れました。小林の背中に猪木が「おんぶ」されるような体勢。猪木は小林の足に自分の足をフック、そのまま倒れ込んでの揺り椅子固めからクルスフィックスホールド、小林の両肩がマットに着き、レフェリーはカウントを入れますが体勢崩れてロープブレイク。5分経過。
両者リング中央、手四つにいこうとするがお互いに警戒していかない。小林はヘッドロック、猪木はこれを外して小林の足を取りにいこうとしましたが下半身への攻撃パターンは猪木が数段上。小林はフットワークを生かしてこれを逃れました。両者再び組んで猪木が小林をロープに押し込みました。ブレイクの体勢。ロープ際に猪木が何かしてこない様、小林は両腕を上げてクリーンブレイクの意思表示。ここは猪木もクリーンブレイクに応じました。
しかしリング中央に戻ると猪木は張り手狙い、小林も読んでいて空を切る、組み付いて猪木はバックを取りにいきましたが小林は投げを打って切り返す。小林は左腕を取ってアームロックからハンマーロック。猪木のバックから腕をせめていきました。猪木は余った右肘を使って、小林の側頭部にバックエルボーを放って脱出を試みますが、小林が頭を低くして防御し猪木のエルボーは空を切りました。
ならばと猪木はロープににじり寄ってロープブレイク、小林はクリーンブレイクに応じると見せかけて猪木の背中にパンチの連打、猪木はガックリ膝をついてうつ伏せにダウン。小林は猪木の後頭部、背中めがけてストンピングのラッシュ、国技館の観客は「ワッショイ、ワッショイ!」と小林の背中を押す大声援。
猪木はリング下にエスケープ、呼吸を整えてからゆっくりリングインしました。リング中央で組み合い、猪木は小林の首から脇に両腕をねじ込んでダブルアーム・スープレックス狙い。小林は腰を落として投げさすまいと耐えます。猪木は小林の上体を強引に起こして投げようとしますが小林は腰を落としたまま後ずさりしてロープへ。
ロープ際の攻防、小林は猪木をロープに詰めてのショルダー・タックルの連発、しかし猪木はしたたか、ショルダー・タックルに来た小林の出鼻をくじく上からのエルボーバット。小林、ブレイクし、コーナーを背にして一呼吸入れています。
猪木は小林の首を捉えてサイドからのネックロック。グイッと力を入れる。猪木の腕が小林の喉に食い込んでいるのか?落とされた感じでダウンする小林。チョークではないかとアピール。
猪木はもう一度ネックロック、レフェリーのコシキ・ジーンは猪木の腕が小林の喉に入っているとしてチョークを取りました。こういう際どさは猪木ならでは。小林は腰から崩れ落ちるようにダウン。小林は一呼吸置いてから組み付いて猪木をコーナーに押し込み、ナックルパンチ、逆水平チョップ、ストンピングと畳み掛けていきました。
猪木リング下へ、レフェリーは猪木にリングに上がるよう促します。小林のバックに回るとスライディング・レッグシザース(カニ挟み)で倒しておいて再度ダブル・レッグロックから得意のリバースのインディアン・デスロック、ステップオーバーする度に観客からは大歓声。ブリッジしての鎌固め。小林の顎に猪木のグリップした拳が入りましたが小林はギブアップせず。見応えある攻防が続き、10分経過。(続く)
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