77年6月24日大宮スケートセンターで開幕した「アジア・チャンピオン・シリーズ」にはアジア・ヘビー級、北米タッグ二冠王者のタイガー・ジェット・シン、北米タッグ王者の上田馬之助が参加しています。
1月の新春黄金シリーズはスポット参戦だった上田はこのシリーズ6月29日大阪府立体育会館から初のシリーズ巡業参戦となりました。
大阪ではシンのアジア・ヘビー級王座に坂口征二が挑戦、坂口はジャンピング・ニーアタックで1本を奪ったものの2、3本目をコブラクローで連取されて完敗。
7月15日札幌中島スポーツセンターではシン&上田組が坂口、ストロング小林組の持つアジア・タッグ王座に挑戦。
1本目は3分17秒に坂口がジャンピング・ニーアタックからシンを体固めに決めての速攻勝利。
しかし2本目、シン、上田が悪の本領発揮でスパナを持ち出して坂口の額を割って流血させ、坂口は場外でダウン。18分19秒にリングアウトでシンの勝利。
3本目ダメージの大きかった坂口は立ち上がれず試合放棄(試合時間なし)となり2-1でシン&上田組がアジア・タッグ王座をも獲得してしまいました。
2月のS小林に代わって今度は坂口が狙い撃ちされての惨敗でした。
7月21日の仙台・宮城県スポーツセンターではS小林がシンのアジア・ヘビー級王座に挑戦。普段のシングルマッチではいつも5分前後でコブラクローの餌食となっているS小林でしたがこのシリーズ何故か絶好調。
1本目は両者リングアウト。2本目シンを流血させてブレーンバスター、カナディアン・バックブリーカーと痛め付け、最後はシンをコーナーに逆さ吊りにし、レフェリーの制止を振り切って攻撃し反則負け。
ベルトは奪えなかったものの、内容でシンを圧倒して見せ新日本に移籍して以来低迷を続けていたのが嘘のような暴れっぷりでファンの溜飲を下げました。
このシリーズは猪木が8月2日日本武道館で行われる全米プロ空手世界スーパー・ヘビー級王者ザ・モンスターマン・エベレット・エディとの格闘技世界一決定戦の特訓の為、7月25日の岩沼市ショッパーズ駐車場特設リング大会を最後に欠場。
当時は行方不明説も流れ、猪木も特訓であることをマスコミに告げず欠場しています。
猪木欠場中行われた7月28日福岡九電記念体育館大会で、坂口&小林組はシン&上田組の北米タッグ王座に背水の陣で挑戦。
当初はこの試合、北米とアジアの二冠が賭けられると発表されていましたが実際はアジアは賭けられず、北米タッグのみのタイトル戦となりました。
1本目は9分58秒、小林が好調ぶりを証明、バックドロップからの体固めでシンから初の3カウントを奪取。2本目は6分45秒にシンが小林をコブラクローで返しました。
決勝の3本目はシンの落とした凶器を坂口が拾って上田に一撃、3分8秒坂口が上田を体固め。
難攻不落のシン、上田組から2フォール奪っての勝利で坂口、S小林組が実に約半年ぶりに北米タッグ王座返り咲きを果たしています。
王座奪回した坂口&小林組はこの年は9月29日大阪府立体育会館でスタン・ハンセン&ザ・ハングマン(ネイル・グアイ)組を破り、年度最終戦の12月8日、蔵前国技館ではパット・パターソン&スティーブ・ライト(負傷欠場のクルト・フォン・ストロハイムの代打)組との防衛戦では軽量のライトに狙いを定めて2-0のストレート勝ちを収め2度の防衛戦を行いました。
猪木のNWFヘビー級タイトル戦は前述の2月10日日本武道館でのシン戦、3月31日、蔵前国技館でのジョニー・パワーズ戦以降は6月1日、愛知県体育館でアンドレ・ザ・ジャイアントに両者リングアウトの引き分け防衛。
9月2日には愛知県体育館で初挑戦のハンセンをバックドロップから体固め。12月1日大阪府立体育会館ではパターソンを卍固めで降し11度目の防衛に成功。
この年の防衛戦は5回で前年より1回多かったですがやはり格闘技戦の影響を受けました。
前述のザ・モンスターマンとの試合はモハメド・アリ戦の汚名返上と言われた好試合で猪木の一連の異種格闘技戦の中でも名勝負の呼び声の高い試合で5回1分35秒、猪木が今で言うパワーボム式のパイルドライバー、ギロチンドロップでKO勝ち。
10月25日日本武道館ではプロボクシング元世界ランカーのチャック・ウェップナーと対戦。オープンフィンガーグローブを着けて戦った猪木は6回1分35秒、逆エビ固めでギブアップ勝ち。
坂口も格闘技戦に挑み、76年モントリオール五輪柔道重量級銅メダリスト、アレン・コージ(バッドニュース・アレン)と柔道ジャケットマッチで対戦。
5回2分7秒、送り襟絞めで勝利。この試合の特別レフェリーはウィリエム・ルスカが勤めました。
10月28日福生市民体育館で開幕した闘魂シリーズ第2弾の開幕戦にカナダの密林王グレート・アントニオが突如乱入。
力道山時代の61年5月以来実に16年半ぶりに日本に姿を現しました。
猪木に対戦要求し12月8日蔵前で猪木とのシングル戦が実現、猪木はGアントニオに何もさせず、倒して顔面に蹴りを入れて3分49秒KO勝ち。Gアントニオは鼻骨骨折してしまいました。
同時期に馬場の全日本プロレスではザ・ファンクス、アブドーラ・ザ・ブッチャー&ザ・シーク組、ビル・ロビンソン&ホースト・ホフマン組ら豪華メンバーを集結させての世界オープン・タッグ選手権が華々しく開催されており猪木にとっては興行的には不本意な年末だったろうと思います。
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