全日本プロレス86年「創立15周年記念ジャイアント・シリーズ」最終戦、11月1日石川県七尾総合市民体育館(テレビ生中継、観衆4,450人超満員発表)大会。4月13日にプロレス転向の記者会見を行った第54代横綱、輪島大士が故郷・七尾でいよいよ国内デビュー戦を迎えました。
メインイベントはドリー・ファンク・ジュニア&テリー・ファンク組と長州力&谷津嘉章組が対戦、両チームは10月24日、ノーテレビの富山市体育館でインターナショナル・タッグ王座を賭けて対戦、両チームリングアウトの引き分けとなっていますが、なぜか、長州&谷津組は本番のタイトル戦がノーテレビで、その後の生中継でノンタイトル戦で同一カードが組まれることが多かったです。このあたりは所詮外様大名と言ったところかと思います。
5月のスーパー・ストロング・マシン&高野俊二組(5月19日、愛知県体育館のタイトル戦はノーテレビ、5月24日、沼津市民体育館のノンタイトルが生中継)、7月のキラー・カーン&マシン組(7月21日、福岡スポーツセンターのタイトル戦はノーテレビ、7月26日、金沢・石川県産業展示館でのノンタイトルが生中継)
いずれも番組の目玉カードは沼津がジャンボ鶴田vsハーリー・レイスのインターナショナル・ヘビー級選手権試合、金沢がスタン・ハンセンvs天龍源一郎のAWA世界ヘビー級選手権試合であり、テレビ中継の扱いでは長州が主役となるケースは少なく、扱いに不満を持ったとしても仕方ない面はありました。それが輪島の登場で拍車をかける形になって行きます。試合は13分、またしても両チームリングアウトとなりました。
セミファイナルは輪島日本デビュー戦、「インドの狂虎」タイガー・ジェット・シンとのシングルマッチ60分1本勝負。輪島はジャイアント馬場から譲り受けたガウン姿で、「日本テレビスボーツテーマ」に乗って登場、ガウンを脱ぐとコンガリと小麦色に日焼けした肌に大相撲時代を思わせる黄金のまわしをモチーフとした黄色いタイツ姿。
タックルでコーナーに下がったシンへ輪島がもう一度タックルを仕掛けたが、その瞬間シンがレフェリーを引き込み輪島のタックルが命中。レフェリーが倒れた後、乱闘となり5分55秒両者反則の引き分け。
シンは場外に逃亡、輪島は通路側のコーナーに仁王立ちし、場外のシンに向けて「かかってこい!」とアピール。シンが輪島に対して投げた椅子が、暴投となり、テレビ解説の馬場に直撃してしまうアクシデントもありました。
試合後、輪島は「シンのラフプレーにカッとなって何もわからなくなった。馬場さんから習った技が一つも出せなくて…こんな悔しいことはない。(点数を付けるとしたら)30点位。満足感はない」とコメントしたのに対し、
師匠の馬場は「レスラーになってまだ6か月、それを考えれば60点、いや、80点位はやれる。気迫だけなら満点だよ」とまずまずと言った評価でした。
ザ・ロード・ウォリアーズのホークが10月30日、青森県営体育館での試合後に体調不良を起こし、帰国。この為アニマル・ウォリアーがジャパンのアニマル浜口&仲野信市組と1対2ハンディキャップマッチを行いました。
アニマルは浜口と仲野の2人がかりでのクローズラインをかわし、両腕で逆にラリアット。これで浜口は場外に落ち、残った仲野へパワースラムを決めフォール。1分39秒、体固めでアニマルの完勝に終わりました。
鶴田は天龍&ハル薗田とトリオを結成、10月30日、青森県営体育館で石川敬士&マイティ井上組を破ってアジア・タッグ王者チームとなったスーパー・ストロング・マシーン&阿修羅・原組に、初代世界ジュニア・ヘビー級王者、ヒロ斉藤を加えたカルガリー・ハリケーンズ&国際血盟軍混成チームと対戦、9分17秒、原がヒットマン・ラリアットからの体固めで薗田を仕留めました。
全日本対ジャパン、タイガーマスクと保永昇男のシングルマッチは6分42秒、ジャーマン・スープレックスホールドでヘビー級虎戦士、タイガーマスクが軽量の保永からフォール勝ち。
全日本同士の石川&M井上組vs大熊元司&サムソン冬木組は14分5秒回転エビ固めで石川が大熊をフォール。ベルトを失ったとは言え、前アジア・タッグ王者チームが実力者ぶりを発揮しました。
第1、2試合は全日本対ジャパン、渕正信と寺西勇のいぶし銀対決、マニア好みのシングルマッチは9分36秒両者リングアウトの引き分け。百田光雄は9分38秒、首固めで佐々木健介を破りました
この日の日本テレビ「全日本プロレス中継」生中継は輪島国内デビュー戦とあって世間の関心も高く、ビデオリサーチで17.7%、ニールセンで23.5%と、前85年10月19日、6年半ぶりにゴールデンタイムに復帰して以来、日テレから「最低ノルマ」と言われていた15%を初めて超えました。
国内デビュー戦ですから割り引いて考える必要はありますが、鶴田、天龍、長州、谷津、タイガースマスク、スタン・ハンセン、ザ・ファンクス、ザ・ロード・ウォリアーズ、リック・フレアー、リック・マーテルらを投入しても稼げなかった数字を輪島があっさり出してしまいました。
対戦相手に、ライバル局、テレビ朝日の「ワールドプロレスリング」で全国的に名前が知られている悪役の代表格、シンを持って来たのも正解でしたでしょう。
試合ぶりはまだまだながら、初の15%超えに気を良くした日本テレビはテレビマッチで輪島を中心としたマッチメイクを馬場に要求していくことになっていきます。
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