05年11月14日新日本プロレスがゲームソフト会社のユークス(本社・大阪府堺市・大阪証券取引所ナスダックジャパン、後のヘラクレス上場)にオーナーである猪木が保有していた議決権を行使出来る51.5%の株式を取得、完全子会社化することを発表しました。
まずはユークス側からのリリースを見てみましょう。
『弊社(ユークス)と新日本プロレスリング株式会社は、2005年11月14日13時30分より東京ドームホテルB1シンシアにて、弊社の新日本プロレスリング株式会社株式取得にともなう合同会見を行ないました。
席上には、弊社代表取締役社長谷口行規、新日本プロレスリング株式会社代表取締役社長サイモン・ケリー猪木氏が列席。両社長から会見の主旨、今日までの経緯、今後の両者の関係などを説明致しました。今後弊社は、新日本プロレスリング株式会社様と共に国内プロレス業界の発展、新たなるプロレスの創造にまい進していく所存です。何卒ご期待くださいませ。』
ユークス、谷口行規社長のコメント「この度、私どもユークスは、本日平成17年11月14日の取締役会において、新日本プロレスリング株式会社の株式を51.5%取得し、子会社化する決議をしたことをご報告いたします。
誤解の無いように申し上げますと、昨今よりメディアで世間を賑わせております『敵対的買収』ではなく、それを阻止した結果を受けての発表であることをご理解いただければと思います。
また私共ユークスは、設立以来プロレスゲームに携わっており、最近はゲームという範囲に捕らわれず、プロレスをエンターテインメントとして発展させていきたいと考えております。新日本プロレス様と共に、コンテンツのグローバル化、新日本プロレスが主体となる興行運営、経営の浄化をユークスがいい形でバックアップし、プロレス業界の今後の発展の為にがんばって行きたいと思っております。。」
新日本プロレスリング サイモン・ケリー猪木社長のコメント「この度の経緯を説明致しますと、弊社に対して『敵対的買収』が行われているという情報を得て、昨年からデジタルパートナーとしてタッグを組んでいるユークス様に無理を承知で相談しました。ユークス様からはプロレス業界の為ならと、強い使命感の元ご快諾いただき今回の発表となりました。
これから私共は、今までとは違う新日本プロレスとして、自身のマッチメークにおいても主体となり、興行のあり方を追求していきます。また、テレビ朝日様とはより連携を強めていき、ファンの皆様に喜んで頂けるようエンターテインメントとしての原点を見つめなおして行きたいと思っております。
そして興行をはじめとするコンテンツのグローバル化を今後積極的に推し進めてまいります。今後の新日本プロレスに是非ご期待ください」
非上場企業である新日本プロレスの株式が「敵対的買収」される、というのも不思議な話で、敵対的買収に動いた企業は明らかにされていませんが、おそらく猪木が新日本プロレスの株式を売却しようと画策し、サイモンがそれにストップをかけて、従来より「闘魂烈伝」などのゲームソフト制作で取引のあったユークスに話を持ちかけたということかと思われます。
05年11月16日付(15日発行)の「東京スポーツ」に猪木の談話が載っていますが、今回の株式売却を「俺の責任」と言いながらも「ここ最近になって株に関してサイモンにあげたわけじゃないけど、税金の問題もあって任せていた。いくつか投資家が出てきて正直どうするのかという部分はもあったけど、最後はサイモンに任せたんだから俺には一言も言うことはない。」とコメントしており、概ねそのような理由かと推測出来ます。
新日本プロレスはサイモンが社長に就任した時点でどうしようもないぐらいに経営が悪化しており、それでもどうにかして副社長だった山中秀明と新日本プロレスを建て直そうと奔走していた。しかし前社長である草間政一が猪木から解任を受けた腹イセとばかり新日本プロレスの経営状態をマスコミに暴露してしまったことで、新日本プロレスの経営危機が表面化してしまった訳です。
身売り、というのはサイモンの外国人ならではの発想で、結果的に新日本プロレスを救ったのはサイモンの英断と「買ってもらう先」のユークスが上場企業だった幸運さということになりました。
こうして新日本プロレスはユークスの子会社になることでどうにか生き残ることが出来たものの、株式を売却した猪木は株式を担保に金を借りた程度しか考えておらず、「ガラス張りの経営への改善」がユークスが新日本プロレスを子会社にする条件だったことから、猪木もユークスによって経営を改善してもらった上で事業資金を捻出、ビックイベントを成功させた上で、株式を買い戻しそうとしていた。またサイモン社長も新日本プロレスがユークスの傘下になったことで、ユークスからの資金調達が期待出来、運転資金が増え、海外進出も出来ると期待しました。
しかしユークスは猪木とサイモンの期待とは裏腹に新日本プロレスの経営状態を調べ上げる徹底したデューデリジェンス(財務内容の精査)を実施した結果、これまで通りのどんぶり勘定では新日本プロレスは再建できないと判断、本格的に様々な形で大規模リストラに着手、経営改善に乗り出しました。
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