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2025年03月12日07:23

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【特別編】マイティ井上さん追悼(48)

ザ・ロード・ウォリアーズ旋風が吹き荒れた85年「激闘!エキサイティング・ウォーズ」終盤戦、3月11日兵庫県姫路市厚生会館(テレビ収録、観衆6,300人超満員発表)大会。

マイティ井上は前王者であるチャボ・ゲレロの挑戦を受けてNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座防衛戦を行いました。

長州力率いるジャパンプロレス勢が登場、またウォリアーズの初来日で井上とチャボの1年越しのリターンマッチがシリーズのストーリーラインに組み込まれることはなく、シリーズ中、両者が対戦したのはタッグマッチで1回だけ。

第4戦の2月26日群馬県桐生市民体育館(観衆2,800人発表)でのタイガーマスク&井上組vsチャボ&TGストーン組の一戦で、11分35秒、タイガーマスクがフライング・ボディアタックからの体固めでストーンを破っていますが、それ以降対戦はなし。これではタイトル戦が盛り上がるはずもありません。

もし1年前であれば井上vsチャボのタイトル戦は3月9日の両国国技館の3大スペシャルマッチとして鶴田&天龍源一郎組vsアニマル&ホークのザ・ロード・ウォリアーズのインターナショナル・タッグ選手権試合、長州&谷津嘉章組vsブルーザー・ブロディ&キラー・ブルックス組と並んでセミ前あたりに組まれていたでしょう。

選手飽和状態の悪影響がモロに出てきたのとダイナマイト・キッド、ジャパンプロレスから小林邦昭らジュニア勢が来たことでジュニア戦線もタイガーマスクvsキッド、ジャパン軍の構図にシフトしようとしていた時期だったと言えます。

試合は全10試合中、第7試合に組まれました。(60分1本勝負)両者グラウンドの攻防、井上が足を畳んでフロント式デスロックで絞め上げれば、チャボは下になりながらパンチで応戦。チャボがフライング・ヘッドシザースホイップ、井上もサマーソルト・ドロップを出しましたが2発目は自爆。

チャボは強烈なエルボースマッシュからブレーンバスター、ギロチンドロップと畳み掛けます。勝負を賭けたチャボはロメロスペシャル、ジャーマン・スープレックスホールドを仕掛けましたが井上の巧妙なディフェンスにより決まらず。

井上のロープ越しのブレーンバスターをチャボがかわしてバックをとり、ロープに押しつけての後方回転エビ固め、しかし井上はそれをさらにもう一度反転させて押さえ込み、11分34秒、エビ固めでカウント3が入り井上が6度目の王座防衛を果たしました。

姫路大会メインイベントは鶴田&天龍組とブロディ&ブルックス組と対戦、ブロディが天龍めがけて放ったビッグブートがブルックスに誤爆、ブロディを場外に落とし、鶴田と天龍のダブル・ブレーンバスターをブルックスに決めてから天龍がコーナーポスト最上段からの背面飛び式ダイビング・エルボードロップ、14分30秒、天龍がブルックスを片エビ固めに決めて鶴龍コンビの勝利となりました。

アニマル&ホークのウォリアーズは馬場&渕正伸(正信)組と対戦、2分28秒、ホークが渕をフライング・ラリアットからの体固めで降しウォリアーズの秒殺勝利。

シリーズ最終戦は3月14日、愛知県体育館(テレビ収録、観衆9,200人超満員発表)大会。東海地区は新日本プロレスの中でも大御所プロモーター、富野徹三氏率いる共同企画の営業地盤であり、新日本プロレス人気の高い地区ですが、長州力初参戦とあって、前84年12月8日、「世界最強タッグ決定リーグ戦」の9,000人発表を上回る観客発表となりました。

メインイベントはアニマル&ホークのウォリアーズの保持するAWA世界タッグ王座にジャパンプロレスの長州&キラー・カーン組が挑戦。ジャパン軍は谷津嘉章でも良かったかと思いますが、アメリカでの経験値の豊富さからKカーンが長州のパートナーに選ばれました。

先ずは長州&Kカーン組が入場、次いで「アイアンマン」のテーマ曲に乗り王者組であるウォリアーズが走りながら入場、入場と同時に長州、Kカーンに襲いかかり、Kカーンは場外に落とされ、長州もホークのリフトアップ・スラムで場外ヘ。Kカーンは早くも額から流血。

ホークと長州の対戦ではホークがラリアット、ジャンプしてのフィストドロップと攻め立て、長州は防戦一方、コーナーに詰めてホークがラリアットを見舞おうとしたところ長州が一瞬早くリキラリアット、ダウンしたホークに長州はサソリ固め、しかしホークはこれをプッシュアップを見せて「効いてない」とアピール、Kカーンが入ってホークの背中にニードロップ。ここでアニマルとKカーンに交代。

アニマルはKカーンの140Kgの巨体をリフトアップスラム、ペンデュラム・バックブリーカーからパワースラムKカーンもモンゴリアン・チョップで反撃。アニマルがKカーンをラリアットに決め場外に落としたところ、背後から長州がアニマルにラリアット、長州にもホークがラリアットを見舞い両チーム場外戦ヘ。5分35秒、両チームリングアウトの引き分けでウォリアーズが防衛を果たしました。

長州は3月9日のブルーザー・ブロディとのタッグマッチ同様、ウォリアーズ相手にいいところなく、大型パワーファイターの外国人に対して課題を残しました。

セミファイナルは馬場&鶴田&天龍組の全日本プロレス最強トリオがブロディ&ラッシャー木村&鶴見五郎組と対戦。試合途中でブロディが突如としてチェーンを持ったまま控室に帰ってしまい、試合放棄。

6人タッグマッチは3対2の展開となり10分25秒、馬場が16文キックから鶴見を体固めに決めて馬場&鶴田&天龍組の勝利に終わっていますが、このブロディの試合放棄の姿を見て、「ああ、これでブロディは新日本プロレスに行ってしまうな」と思ったファン、関係者は多かったと思います。

井上は石川敬士と組んで剛竜馬&アポロ菅原組の国際血盟軍と激突、10分53秒、石川が菅原をサソリ固めでギブアップさせ、石川&井上組に軍配が上がっています。

3月19日(火曜日)のテレビ朝日「ニュースステーション」で唐突に発表が行われました。「世界最強のプロレスラー、ブルーザー・ブロディ選手の新日本プロレス移籍が決定致しました」と新日本プロレスとテレビ朝日は報道番組の中で、14日まで全日本プロレスで試合に出場していたブロディの新日本プロレス移籍を発表したのです。

ブロディは2日後の新日本プロレス「ビッグ・ファイト・シリーズ」最終戦の3月21日後楽園ホールに片手に花束、片手にチェーン、グレーのスーツ姿で来場、南側スタンド後方に姿を現し、メインイベントでハックソー・ヒギンズと対戦する猪木とリング上で対峙。「猪木の眼にバーニング・スピリットを感じた」という名台詞を残しています。

当時は「長州、ウォリアーズをメイン登用したことに対する不満」とも報じたマスコミもありましたが、実際は前84年暮れ、全日本プロレスの「世界最強タッグ決定リーグ戦」を終えて帰国したブロディを、猪木の密命を受けた山本小鉄が、テキサス州サンアントニオのブロディの自宅に訪問して口説き落とし、「一本釣り」に成功していたものでした。

小鉄は全米のトラブルメーカーとして知られるブロディが唯一アメリカで「頭の上がらぬ存在」としているダラスの大物プロモーター、フリッツ・フォン・エリック(ジャック・アドキッセン)にアメリカ修行時代可愛がられており、日本プロレス時代に息子ケビン(当時14歳)を連れて来日した際、世話を焼いていた実績を買われてネゴシエーターに選ばれたものでした。ケビンの面倒をよく見たのは小鉄と当時の日本プロレス外国人係のジョー樋口レフェリーと言います。

最も、この時にテレビ朝日の「ワールドプロレスリング」中継班も同行、ブロディの自宅でのトレーニング風景や外をランニングする映像を撮影しており、話は既に着いていて、小鉄は気難しいブロディの気が変わらないように最後の契約に出向いたとも考えられます。

また、ブロディのワガママぶりにはさすがの馬場も手を焼いており、「馬場がブロディを切りたがっている」と新日本プロレスにリークしたマスコミがあった説もあり、新日本プロレスからの引き抜きがあった時にはわざわざ記者会見を開き、猪木と新日本プロレスに対して苦言を呈する馬場がブロディ移籍に関しては大騒ぎしてなかったことを勘案すると、少なくとも寝耳に水ではなく、ジャパンプロレスが来て飽和状態となっていた全日本プロレスのリングからブロディが抜けることはむしろ歓迎だったのではないかとも思えますし、79年1月の初来日からブロディを6年間も使っている馬場は「どうせ、猪木のところに行っても長くは持つまい」と考えていたフシもあるかと…。

その上で「激闘!エキサイティング・ウォーズ」の両国、名古屋でのビッグマッチにおけるブロディの扱いを考えると腑に落ちるというか話の辻褄は合う、という訳です。

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