81年新日本プロレス「サマー・ファイト・シリーズ」開幕戦が後楽園ホールで行われた同日同時刻、7月3日熊谷市民体育館(テレビ収録、観衆2,800人発表)大会で「サマー・アクション・シリーズ」の開幕戦が行われました。
メインイベントはシリーズ最終戦、7月30日後楽園ホールで行われるインターナショナル・タッグ選手権試合の前哨戦、馬場&鶴田組とディック・スレーター&ビル・ロビンソン組がノンタイトル60分3本勝負で対戦。
2月に交通事故に遭い、強度の鞭打ち症を発症、「第9回チャンピオン・カーニバル」出場をキャンセルしたスレーターが来日しました。1本目はスレーターが馬場をコーナーポスト最上段からのダイビング・エルボーバットから片エビ固め。
2本目、場外乱闘の際、館内が大きくざわつくと辛子色のインド風衣装と黒のズボン、白い靴を履いたタイガー・ジェット・シンが木の棒状の凶器を持って乱入、背後にはマネージャーのボビー・ヒーナンが寄り添っています。
シンは馬場を棒で滅多打ちにしましたが、裁定は両チームリングアウトとなり2−1でスレーター&ロビンソン組の勝利となっています。
シンは翌7月4日、第2戦の後楽園ホール(テレビ収録、観衆2,400人発表)大会から試合に出場。シンの全日本プロレス初戦はセミファイナルでスレーターとのシングルマッチ60分1本勝負。
スレーターは兄貴分であるザ・ファンクスの「スピニング・トーホールド」のテーマで入場、シンは「日本テレビが選曲した極悪レスラーのテーマ」である「吹けよ風、呼べよ嵐」で入場してきました。セコンドにはヒーナンがついています。
シンは紫色のコスチューム姿のままターバンでスレーターの首を絞める奇襲攻撃、コブラクローでガッチリとスレーターの頸動脈を絞め上げていきました。
グロッキーになったスレーターでしたが、エルボーで反撃しスピニング・トーホールド、ヒーナンがエプロンに姿を現しました。ヒーナンに気を取られている背後からサーベルを手にしたシンがスレーターの後頭部を殴りつけてシンの反則負けとなっています。
後楽園ホール大会メインイベントは馬場に元王者であるキラー・トーア・カマタが挑戦したPWFヘビー級選手権試合60分1本勝負で、こちらはカマタが連れてきた謎のパートナー、グレート・マーシャルボーグが乱入して馬場の反則勝ちとなり馬場が8度目のタイトル防衛に成功しています。
馬場は後楽園ホール大会試合前に前日の熊谷にシンが乱入したことに関して、馬場は「ゴング」のインタビューの中で、「まぁ、ブッチャーを新日本に引き抜かれたことで、全日本プロレスが業界的のイメージ的にピンチに立たされ、それを心配したアメリカの有力プロモーターから『ブッチャーを取られたのなら逆にシンを取れ、俺がシン獲得に力を貸そう』と言ってくれた事実はありますが、前にも言ったように、取られたから取ったでは話にならない。だから自分としてもシンと直接交渉する気にはなれませんよ。」と回答。
馬場の論法は「俺は新日本プロレスとは違い、引き抜かれたから引き抜き返すような下衆な真似はしない。だが、仲間のアメリカのプロモーターが『シンを抜き返せ』と言ってくれた。そのプロモーターが交渉したかどうかはわからないが、シンがウチに来たというのはそういうことなんだろう」というかなり無茶苦茶なもの。
ではその「馬場から頼まれてもいないのに自主的にシンを引き抜いて全日本プロレスに送り込んだ」アメリカのプロモーターとは一体誰なのか?全日本プロレスの外国人ブッチャーをしているファンクスはドリー、テリー共にシンとはこれまで接点がない。
ならばミシガン州デトロイト、カナダのトロントでシンと抗争をしていたことがあるザ・シークが黒幕ではないのか、というのが当時の定説となっていました。そういえばシークは先の「スーパー・パワー・シリーズ」に来日しており、ブッチャーがいなくなり客が少なくなった全日本プロレスを危惧して、全日本のビジネスを盛り上げる為に一肌脱いだ…のか?
しかし、ケチで知られている馬場がわざわざ仲介料を払ってシークにシンのブッキングを依頼するのは考えにくくシークはダミーでしょう。
第3戦は7月5日秋田県湯沢市前森公園相撲場特製リング(観衆2,200人発表)大会ではシンはセミファイナルでヒーナンと組んで新アジア・タッグ王者チームである石川隆士&佐藤昭雄(昭夫→昭雄にリングネームを改名)組と45分1本勝負で対戦、シンがブレーンバスターから佐藤を体固めでフォールしています。
第4戦、7月6日秋田県田沢湖町生保内(おぼない)町民体育館(テレビ収録、観衆2,000人発表)大会ではシンはメインイベント登場、ヒーナンと組んで鶴田&天龍源一郎組と60分1本勝負で対戦。
この日シンは大木金太郎とのシングルマッチが予定されていましたがカード変更。こちらについてはミック博士の昭和プロレス・マガジンVol.55の「大木金太郎3つの謎」に自説を書かせて頂いておりそちらをご一読頂けると幸甚です。
3試合目にして鶴田&天龍組と対戦したシンでしたがビール瓶攻撃で天龍をグロッキーにし、鶴田と場外乱闘となり、両チームリングアウトに終わりました。シンはこのシリーズはあくまで顔見せ的な出場であり田沢湖町大会を最後に帰国しています。
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