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2024年02月27日12:17

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週プロ流智美あの日あの時予想2023年総括(50)

第319戦、12月13日発売号●【予想】猪木、ミスターX戦に次ぐワースト2の異種格闘技戦、格闘技世界一決定戦、WWF格闘技世界ヘビー級選手権試合、猪木vsキム・クロケード【正解】最上最大の引き抜き事件が後世に残した光と影、スタン・ハンセン全日本プロレスに登場、世界最強タッグ決定リーグ戦公式戦、ドリー・ファンク・ジュニア&テリー・ファンク組vsブルーザー・ブロディ&ジミー・スヌーカ組(81年全日本プロレス蔵前国技館)

【参考】2017年12月13日発売号は隠密裏に引き抜かれたハンセンが全日本に乱入!(正解に同じ)

2017年12月13日発売号、第14戦の予想は○※対戦成績は14戦4勝10敗、勝率287。

【予想解説】79年の新日本プロレス年度最終戦は12月13日、プロレス興行では71年11月30日、日本プロレス以来実に8年ぶりの開催となる京都府立体育館(テレビ収録、観衆9,000人超満員発表)大会。

この日は特別興行、「格闘技世界一決定戦」。メインイベントは猪木にカナダの現職警官で空手家のキム・クロケードが挑戦したWWF格闘技世界ヘビー級選手権試合3分10ラウンド。

初来日のクロケードですが、実はカナダ・カルガリーで「カラテ・キッド」のリングネームで活躍していたプロレスラーで、これより約5年前となる76年1月の国際プロレス「新春パイオニア・シリーズ」にクレイジー・セーラー・ホワイト、ウインター・ホークらと共に来日が発表されていましたが交通事故による負傷を理由に来日がキャンセルされ、以後、国際プロレスから声が掛かることはありませんでした。

クロケードをブッキングしてきたのは元日本プロレスのミスター・ヒト(安達勝治)。ヒトはカルガリーのスチュ・ハート主宰の「スタンビート・レスリング」で試合をする傍ら、スチュに気に入られてコーチとしての仕事をしていました。

後に定説となる「ヒトが連れてくる外国人はしょっぱくて使い物にならない」のハシリがこのクロケードと言っていいでしょう。レフェリーは京都日本正武館館長、鈴木正文が務めました。

黒の空手着上下を着用したクロケード。試合はクロケードのパンチ、キックどれも中途半端で甘く、1ラウンドで猪木は早くもクロケードの力量を見切った感じ。

3ラウンド58秒、猪木が延髄斬りからのギロチンドロップでKO勝ちしています。延髄斬りを喰らってダウンした時の受け身はやはりプロレスラーでした。

相手が弱く、この年最後の異種格闘技戦は面白い試合にはなりませんでしたが、猪木は翌80年2月、映画「地上最強のカラテ」で知られた「熊殺し」極真空手のウィリー・ウイリアムスとの対戦が決まっています。

【正解解説】81年12月13日、蔵前国技館における世界最強タッグ決定リーグ戦最終戦は11,500人(満員)発表ながら実数では8日の新日本を下回り空席はありました。

この日は4大公式戦が組まれ、まず天龍源一郎&阿修羅・原組はバロン・フォン・ラシク&キラー・カール・クラップ組と対戦。

新日本のワールド・リーグ戦の常連で公式戦で猪木、坂口に圧倒的に分が良かったクラップはWWFの大物が多数上がるようになった新日本からは不要とされ、80年には国際プロレスに転戦。

よって引き抜きではないですが扱いは最下位ランクで、見せしめの為に全日本に呼ばれたようなものでした。

試合は天龍がクラップを卍固めでギブアップさせるという古くからの新日本ファンには何とも痛烈なフィニッシュとなり、天龍&原組は初白星の2点。ラシク&クラップ組はザ・シーク&マーク・ルーイン組と両リン、グレート小鹿&大熊元司組に勝った以外は全敗の2点で負けは全部クラップが取られました。

この時期、ジョニー・パワーズがお金欲しさに全日本に呼ばれてなくて良かったと思います。

次のハーリー・レイス&ラリー・ヘニング組とシーク&ルーイン組はレイス組の反則勝ち。レイス組は8点。シーク組は4点。

レイス&ヘニング組は元AWA世界タッグ王者コンビ。若手時代のレイスにプロの厳しさを叩き込んだのがヘニングで、NWA世界ヘビー級王者になり出世したレイスがセミリタイア状態のヘニングに恩返しとしてパートナーに指名しました。

45歳とピークは過ぎていましたが腕っぷしの強さは健在で喧嘩ファイトではブルーザー・ブロディとは互角に渡り合っていました。

セミファイナルの馬場&鶴田組vsタイガー・ジェット・シン&上田馬之助組は両チームリングアウトの無得点試合となり馬場&鶴田組は11点となりメインの結果待ち。シン&上田組は10点で脱落。

そして迎えたメインイベント、ドリー&テリーのザ・ファンクスvsブロディ&スヌーカ組の公式戦最終試合。

先にファンクスがラッキーコインを投げながら入場、続いてブロディ&スヌーカ組が入場。スヌーカの後ろにはテンガロン・ハットを被った白いシャツ、ジーンズ姿のスタン・ハンセンがセコンドについて一緒に入場。

つい3日前までは新日本プロレスのリングで試合をしていたハンセンが全日本の会場に姿を現したことで館内は大変な騒ぎとなりました。

中には「ハンセン・コール」をはじめているファンもいます。

殺気立つ館内、ハンセンはリング下のブロディ組のコーナーの鉄柱に陣取り、レフェリーのジョー樋口はハンセンに帰るように指示しますが、ハンセンは両手を広げて「俺は何も手を出さない」というジェスチャー。

異変が起きたのは試合開始15分過ぎ、場外乱闘となりブロディがセコンドのハンセンめがけてテリーを振りました。

ハンセンは既に左腕にサポーターを着けて待ち構えており、ブロディに振られて来たテリーにウェスタン・ラリアット一閃!(実際はテリーは両腕でガードしていた)

これでテリーはダウンし場外に敷かれた紙テープの山の上で失神し戦線離脱。

孤軍奮闘となったドリーはブロディ、スヌーカの2人がかりの攻撃に防戦一方となり、必死にフォールを跳ねのけて来ましたが、21分41秒、ブロディのキングコング・ニードロップの前についに力尽き、体固めで敗れました。

これで12点を挙げたブロディ&スヌーカ組が初参加、初優勝。ファンクスは11点。

ブロディ&スヌーカ組が優勝を決めた瞬間、セコンドにいたハンセンがついに全日本のリングに上がり、優勝した2人を祝福。「手を出さない」はずのハンセンはラリアットでテリーを戦闘不能に追い込んだばかりか、リングの上に上がってしまいました。

リングに乱入したハンセンに対し怒りのドリーが立ち向かいましたがスタミナ切れを起こしていたドリーは返り討ちに合ってしまいました。

そこへ馬場、鶴田が救援にやって来て馬場がハンセンに脳天チョップを乱打。

ハンセンは額から流血しました。実はこの時テレビの画面でハンセンがジーンズのポケットから剃刀のようなものを出して自分で自分の額をカットしていたのが見えてしまっています。

流血したハンセンは控室へ逃走。会場で確認出来たのはここまでであり81年12月26日(関東地区)に日本テレビで放送された全日本プロレス中継でバックステージの模様が映し出されその後の衝撃的シーンを見ることが出来ます。

蔵前国技館の支度部屋の通路で額を切られて流血したハンセンはカメラに向かって物凄い形相で何やらまくし立てています。

支度部屋の隅の方ではハンセン乱入を知らされていなかったと思われるザ・シークがこれを見て日本での仕事が減少すると危機感を抱いたか、

アメリカでは子分格にあたるタイガー・ジェット・シンと乱闘を始めてしまう始末。

これはおそらくプロモーターである馬場が知らなかったことと思われ、シークの勝手な行為に激怒した馬場はシークを2度と全日本に呼ぶことはありませんでした。

ちなみにシークがこの次に来日したのが91年11月、FMWにこの時初来日だった甥のサブゥーを連れて世界最強総合格闘技タッグ・リーグ戦に参加した時ですから実に10年もの歳月を経てしまった訳です。

いずれにせよ、肉体凶器的なハンセンが全日本に来たことでシークのようなタイプのヒールは必要性がなくなってくることは間違いないところで、タイガー・ジェット・シンも移籍後僅か半年で存在感は薄くなってしまいました。

代わってカメラは日本側の支度部屋で怒りの馬場の姿をとらえました。

「ふざけんじゃないってんだよ!人ん家に土足で上がりこんで!え、そうでしょう!?来るなら堂々と来てもらいたいもんだ。彼に行っておいてよ。ここのリングで待ってるって!じゃあ、表彰式行って来るから」

今映像を見ると突っ込みどころが満載ですが、当時は馬場の鬼気迫る迫真の演技を見て本当に恐ろしいと感じました。

やはり馬場のアメリカにおけるプロモーターとしての実力は侮れない。私は猪木ファンでしたので完全にやられてしまった、と言う感じでした。

蔵前大会は中学校の時の同級生と見に行ったのですがハンセンが全日本に行ってしまったショックが大き過ぎて、帰りの総武線の電車の中ではお互いに一言も喋りませんでした。

翌日学校に行き、同じクラスのプロレスを一緒に観戦していた仲間にこのことを話すると、重苦しい空気に包まれてしまいました。やはり猪木ファンが圧倒的に多かったので仕方なかったですね。

1人、テキサスブロンコを名乗るテリー信者のTだけは「ハンセンの無法乱入によってファンクスが優勝出来なかったことがショックだった」と語っていました。

インターネットのない42年前の古き良き時代のどこにもある昭和の高校の風景でした。

※対戦成績は319戦55勝264敗、勝率172。
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