雑誌「GORO」80年1月24日号(1月10日発売)に掲載された極真会館の座談会。2月27日、蔵前国技館で行われる猪木vsウィリー・ウイリアムスの「格闘技世界一決定戦」を前に立会人を務める劇画作家の梶原一騎が「ウィリーのパンチ一発で猪木は死んじゃうよ。」とコメント、さらに中村誠二段も「猪木なんてトシですよ。」と追い打ちをかけるようなコメント。
これを受けた新日本プロレス側は怒りの見解を出しましたが、さらに「本来なら出席者全員に謝罪を求めるところだが、アメリカに帰ってしまった(ウィリー)ものは仕方がない。が、来週中(1月19日)までに梶原氏が公開の場で全面撤回しない限り、2月27日の試合は白紙撤回させてもらう。」と態度を硬化させました。
新間寿営業本部長は「文中で一流派の一王者が世界の猪木に何てことを言う。それならウチは2月8日の東京体育館に格闘技戦の枠を設ける。中村さんとやらに戦ってもらおうじゃないか!」と激昂。
1月11日、川崎市体育館大会の試合前の控室で猪木は「俺は元々、大山空手なんて問題にしていない。ただ、ファンは俺とウィリーの試合を待ち望んでいるんだ。極真会には犬の遠吠えみたいなことはやめてスッキリ来い、と言いたいね。中村二段?それは何者?全く問題じゃない」との談話を出しています。
また新日本プロレスの当時の選手会長だった永源遙がコメント。「社長(猪木)を誹謗することは絶対に許せない。そこまで我々を挑発するならば、わざわざ社長が出る必要はない。ウチから荒川、藤原、山本小鉄を出す。この中の誰でもいい、中村さんとやらと対戦してもらおうじゃないか、時は2月8日、場所は東京体育館だ。」
永源は営業力の強さと豊富な人脈でちゃっかりと選手会長の座に収まっていました。自分が出るとは言わず、荒川、藤原、小鉄を出す、というところがいかにも永源らしいですが、新日本プロレスは極真会館に売られた喧嘩を買ったことになりました。
80年新日本プロレス「新春黄金シリーズ」第9戦は1月12日、埼玉県越谷市体育館(観衆2,500人満員発表)大会。
メインイベントは猪木&長州力組がスタン・ハンセン&スキップ・ヤング組と対戦。1本目は11分4秒、長州とハンセンが両者リングアウトとなり1−1。決勝の2本目は3分26秒、猪木がヤングを体固めで破り、2−1で猪木&長州組が勝利を飾りました。
セミファイナルは藤波辰巳とバッドニュース・アレンのシングルマッチ45分1本勝負で9分52秒、藤波が回転エビ固めでフォール勝ちしています。
セミ前は坂口征二とロッキー・ジョンソンのシングルマッチ30分1本勝負で7分24秒、体固めで坂口の勝利。
ストロング小林はスティーブ・カーンとシングルマッチで対戦、7分10秒、エビ固めでフォール負け。ジュニア・ヘビー級とは言えNWAのチャンピオンなのでこの結果は仕方がないのはわかりますが残念です。
ダイナマイト・キッドは小林邦昭を7分53秒、体固めで破り、星野勘太郎&永源組vsマサ齋藤&平田淳二組のタッグマッチは11分50秒、星野が平田を体固めで降しています。
木戸修はウィリエム・ルスカと対戦し、9分23秒、腕ひしぎ逆十字固めでギブアップ負け、木村健吾はジョージ高野に8分58秒、逆エビ固めで勝利しています。
第10戦は東海地方へ。1月13日、愛知県幡豆郡一色町総合体育館(現在の西尾市、観衆2,800人満員発表)大会。メインイベントは猪木&木村健&木戸組がハンセン&M齋藤&キッド組の強力外敵トリオと対戦。
1本目は12分43秒、両チームリングアウトとなり1−1。決勝の2本目は4分16秒、ハンセンが木村健を体固めで破り、2−1でハンセン&M齋藤&キッド組の勝利に終わりました。
セミファイナルは今シリーズ2度目の藤波とヤングのシングルマッチ45分1本勝負で10分6秒、藤波が回転エビ固めでフォール勝ち。
セミ前が坂口とSカーンのシングル初対決30分1本勝負で9分10秒、両者リングアウト。アレンは星野を10分20秒、体固めで撃破しました。
S小林は小林邦との「ダブル小林」で長州&ルスカ組という面白いタッグチームと対戦、9分42秒、ルスカが腕ひしぎ逆十字固めでギブアップさせています。
Rジョンソンは永源に6分32秒、回転エビ固めで降しています。
「1月19日までに公開の場で謝罪し発言撤回せよ。」と新日本プロレスから言われた梶原は、1月13日、都内で「東京スポーツ」の取材に応じ、「猪木はウィリーのパンチ一発で死んじゃうよ。」の発言の趣旨について、
以前、極真空手の有段者同士で感情のもつれから喧嘩に発展、一方が正拳突きをモロに顔面に受けて骨が陥没、1年位病院に通院していた事実があり、それを踏まえての発言だとしました。
「だが」と前置きして梶原は新日本プロレス側が中村二段に対し「東京体育館に来い」と挑発してきた件については「相手がやると言うならこちら(極真)もとことんやる。大山館長とも話したが、向こうが15人で来ればこちらも15人連れて行きいつでもデスマッチでやってやる。全面戦争も辞さない。アマチュアが引っかかるというなら財団法人の名を捨ててもやってやる。もちろん、謝罪要求には応じられない!」と反論。
しかし、今回の騒動はに2月27日、蔵前国技館で行われる猪木vsウィリー戦とは別建てで考えているようでした。
梶原は極真会館評議委員としての立場から謝罪はしないが、既にチケット発売の段取りも出来ており、テレビ朝日が特番「水曜スペシャル」で放送することも決まっているところから猪木vsウィリー戦を中止にすることは考えていなかったようです。
梶原発言を受けて新間は大会プロモーターに名を連ねている元極真空手で新格闘術主宰の「鬼の黒崎」こと黒崎健時に相談、善後策を仰ぐべく動きました。(この項続く)
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