タイガー・ジェット・シン&上田馬之助、一枚岩とも言っていい名ヒールタッグの心にヒビが…。事の発端は78年の「MSGシリーズ」終了後、アメリカ、メキシコマットに武者修行に出た木村健吾がパク・チューのリングネームでロサンゼルスに登場。
プロフェッサー・イトウを名乗っていた上田とタッグを組み6月23日、オリンピック・オーデトリアムでブラック・ゴールドマン&ヘクター・ゲレロ組を破りアメリカス・タッグ王座を獲得。この試合の模様が「東京スポーツ」、「ゴング」などにも報道されました。(上田が新日本プロレスに参戦する為、8月11日、同所でゴールドマンと国際プロレスを離れて新日本プロレスにフリー参戦していた剛竜馬組にベルトを明け渡す)
日本人選手が海外でヒールになり日本では敵対していたレスラーとタッグを組むということを日本向けの媒体が報道するのは当時としても別にタブーではありませんでしたが、シンは来日を前に、シンが上田と木村健がタッグを組んだことに噛みつきました。
「何でウエダは猪木のところのボーイとタッグを組んでいるんだ?寝返ったのか?ウエダは信用出来ない」と激怒、前回の78年「新春黄金シリーズ」では上田とのタッグで2度挑戦し奪回に失敗している坂口征二&ストロング小林組の北米タッグ王座挑戦に関して「俺はウエダとは組まない、俺が連れてきた新しいパートナー、ジンバ・カーンと組んで挑戦する」と上田とのタッグでの挑戦拒否を表明しています。
これに対し上田は「あれはアメリカでの話、新日本の選手だろうが何であろうがプロモーターから組めと言われれば組むのがプロだ。それを何を勘違いしているのか?子分だか知らぬが、俺以外と組んでベルトが取れる訳がない」と白け気味で両者の間には不協和音が流れています。
シンのタッグパートナーに指名されて初来日する「シリアの砂嵐」Zカーン。1936年カナダ・オンタリオ州ハミルトン出身の当時41歳。184cm、115kg。
シリアのダマスカス出身でイギリスではハニーボーイ・ジンバのリングネームで活躍していたというプロフィールでしたが、これは誤りで、シンの自宅に近いカナダのオンタリオ州ハミルトンをクールキャット・ジャクソンというリングネームで試合をしていたジョバー。シンの推薦で初来日。
ただし「シンの推薦で新日本プロレスに来た子分」というのはマイティ・ズール、ファザール・シン、ガマ・シン、ゴーディ・シン、タルバー・シン、モハン・シン、サイレント・マクニーと、しょっぱい選手ばかりで、ファンも「シンの子分」と聞いただけで来日前からダメ外国人のレッテル貼りをしていた傾向もあり、期待薄でした。
実力者、「英国の魔豹」ピート・ロバーツは77年1〜2月の「新春黄金シリーズ」以来1年半ぶりの来日、前回はシン、新日本プロレスに初参戦したスタン・ハンセンのパートナーとして活躍、ハンセンはこの時にPロバーツに色々世話になり、恩人として慕い、引退後も交友関係を続けたといいます。
今回は凱旋帰国の藤波辰巳とのシングルマッチに注目。WWWFジュニア・ヘビー級王座に挑戦してもおかしくない実力者、他に、手の合う星野勘太郎、木戸修、藤原喜明との対戦はマニアを唸らせそうです。
初来日のジョニー・マンテルは元NWA世界ジュニア・ヘビー級王者、ケン・マンテルの実弟、本名ジョニー・ルスク、1957年カリフォルニア州出身の当時21歳。185cm、105Kg。
76年に兄ケンを追うようにプロレス入りしテキサス州ダラスでデビュー。ロサンゼルスではマスクを被ってジ・インベーダーとしてもファイト、来日前はミシシッピー州ジャクソンで活躍していた若手有望株。藤波、長州力、星野、木戸らとの対戦は期待出来ます。
同じく初来日のジョー・ロッシーは68年4〜5月の日本プロレス「第10回ワールド・リーグ戦」に初来日したレン・ロッシーの息子。1952年テネシー州ナッシュビル出身の当時26歳。
父親の指導を受けて66年に14歳でデビュー、テネシー地区のローカルレスラーとして活躍しNWAミッドアメリカ・タッグ王座、テネシー州タッグ王座を獲得、77年にはテネシー州チャタヌーガにおいて父レンとのタッグでアンジェロ&ラニーのポッフォ親子との親子タッグ対決を制しています。
実力は未知数ですが、若いながら12年のキャリアを持っており、期待出来るか?
上田のプロフィールは前段に書いており割愛させて頂きます。
シリーズ主要会場は8月25日、新潟県長岡市厚生会館(現アオーレ長岡)が開幕戦、9月1日、福島県会津体育館、8日、宮城県中新田町体育館、9月12、13日は初の熊本市体育館2連戦、9月15日、岡山県倉敷市営体育館、9月19日、大阪府立体育会館、9月21日、東京・品川プリンスホテル・ゴールドホール、最終戦が9月25日、茨城県境町民体育館。
タイトルマッチは9月13日、熊本市体育館2日目で坂口&S小林組がシン&Zカーン組と北米タッグ王座防衛戦、9月21日、品川プリンスホテル・ゴールドホールが猪木vsシンのNWFヘビー級選手権試合が行われます。藤波のWWWFジュニア・ヘビー級王座防衛戦は今シリーズの開催はなし。
全日本プロレスとの興行戦争ですが、全日本プロレスではミル・マスカラス、ドスカラス組のマスカラス・ブラザーズが兄弟揃って日本初参戦となる「サマー・アクション・シリーズ2」が8月18日、全日本にしては珍しい鹿児島県立体育館で開幕。
東京大会は全日本プロレスが8月24日、田園コロシアム、新日本プロレスが9月21日、品川プリンスホテル・ゴールドホール。
大阪府立体育会館は先攻が全日本プロレスの8月31日、後攻が新日本プロレスの9月19日。他に九州では鹿児島県立体育館が先行が全日本プロレスの開幕戦で8月18日、新日本プロレスが後攻で9月11日、他に近い場所での開催もあります。
ログインしてコメントを確認・投稿する