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2023年05月02日21:18

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ストロング小林さん追悼(370)

(前回続き)そして4月4日(日本時間5日)の決戦当日、小林は猪木の眉をひそめさせた。バッファロー・アレンとの「プロレス対柔道」のマッチを小林は行ったのだが、会場に堂々とブラッシーを連れてきて、猪木、坂口とは反対側の悪党側控室へ入り、リングに上がるとブラッシーをセコンドにつけて戦ったのだ。

結果は12分58秒、凄まじい怪力殺法カナディアン・バックブリーカーでアレンをギブアップさせて"パワーの殺し屋"の本領をみせたが、完全にこの戦いで小林はヒール。まったく日本はのマットではこの2、3年見せたことのない凄まじいラフ・アンド・パワーのファイター振りであったという。

小林は猪木の勝利、坂口の敗戦を尻目に、その夜のうちに車でブラッシーと共にニューヨークへ帰ってしまった。「いったい小林は何を考えているのか?おかしいぞ」と猪木、坂口は顔を見合わせたが、アメリカでの小林はまさに「野に放たれた虎」。もはや猪木にしても鎖をかけることは出来なくなってしまった。

小林はニューヨーク周辺のマットで暴れはじめた。フィラデルフィア・アリーナでは日本のMSGシリーズに参加が予定されているトニー・ガレアと対戦し、ガレアをパンチ攻撃、背骨折りで痛めつけブラッシーが乱入しての反則負け。さらにはホワイトブレーンでピーター・メイビアに反則負け、いずれも凄まじい流血ファイトで相手を震え上がらせ、ロングアイランドではあのカルロス・エストラーダを豪快な背骨折り、原爆落とし(アトミック・ドロップ)でKO。

フォールタイムを聞き「藤波より1分速かったか。それはそうだ。あんな小僧より俺の方が強いんだから」と満足そうな笑いを浮かべた(ジョージ・ナポリターノ通信員)というから小林の凄まじい変身振りには驚きだ。いったい小林はどうなってしまったのか?

本誌・加山特派員はニュージャージーのシティホールでラリー・ズビスコを破った小林をつかまえた。以下は加山特派員から送られて来た一問一答だ。

−「あなたの変身ぶりが話題になっているが。」

小林「別に変わっちゃいませんよ。元に戻っただけです。」

−「ということはあなたの本質はラフ・ファイターだったということ?」

小林「その通りです。ボクは4年前、このニューヨークでブルーノ・サンマルチノの頭を椅子で叩き割ったことがある。そういうファイトをアメリカでやってみようと思っているんです。」

−「フレッド・ブラッシーをマネージャーにしたことでアントニオ猪木に『ブラッシーに深入りするな』と忠告されたそうだが。」

小林「確かにそれは言われましたが…ボクにはボクの道がある。アメリカで試合をやっている以上、新日プロからファイトマネーをもらう訳ではない。ボクの自由ですよ。むしろ、今ボクはアメリカに来てもう一度自分を考え直している。猪木さん、坂口さんとは結局、同じ道を歩くことはできないんじゃないかとね。ボクはやはり悪党として生きる。だからブラッシーのところへ戻ったんです。」

−「ということは新日プロから離れるということか?」

小林「いずれ、はっきりするでしょうが…そういう方向も考えてもらっていいですよ。ボクの生き方を通すという意味では…。」

−「それは具体的にどういうこと?」

小林「4年前、猪木さんと戦った。そして負けて新日プロへ入った。内部に入って猪木というレスラーを研究し、どうすれば勝てるかをつかみたい、その為に新日プロに入るということはその時皆さんに言ったはずです。」

−「打倒猪木!を今でも考えているということ?」

小林「そうです。しかし、今年のMSGシリーズには参加することが出来ず、ボクはアメリカへ追いやられたと思っています。こうなればボクの自由ですよ。アメリカにいて当分は帰りません。ブラッシーは頼りになるマネージャー、ブラッシーについていればWWWFタイトル挑戦のチャンスももらえるだろうし、思い切りニューヨークで暴れてみたいですね。」

−「いつ頃日本へ帰る?」

小林「もう一度、猪木さんと勝負する時です。それ以上のことは今は言えない。」 

−「上田馬之助と同じような道へ入り込むのか?」

小林「上田…あんな奴は嫌いです。ボクは真っ正面からもう一度、猪木さんと勝負します。アメリカではっきりその決意をした。」

−「最後に聞きたい。その決意をさせた真の原因は
?」

小林「自分をはっきり見つめることが出来たことでしょう。この1年間は不本意なファイトで日本でもファンにいろいろ言われた。MSGシリーズにも参加できなかったし…。もう日本ではボクを必要としないのではないかと思う。藤波も出てきたしね。よし、それならば勝負してやろうと思ったんです。」

−「その気持ちは新日プロに伝えたのか?」

小林「いずれ…はっきり伝える。今は行動で示すのみだ。今はブラッシーと一緒に暴れる。MSGでボブ・バックランドを叩き潰して猪木さんをあっと言わせてやる。」

加山特派員との一問一答を見るとストロング小林の胸の中には今、凄まじい炎が燃え上がっているようだ。ストロング小林がこの1、2年の日本におけるファイト振りをファンに歯がゆがられていたことは事実。新日プロにおけるスターの座も藤波辰巳の台頭で大きく揺さぶられている。MSGシリーズからも外された。

「よしそれなら」というのが小林の燃える炎の正体ではないか。小林が帰って来る日、その日が大波乱のスタートとなりそうな気がする。(この項終り)
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