76年6月26日、日本武道館で行われた「20世紀最大のスーパーファイト」プロボクシングWBA&WBC統一世界ヘビー級王者、モハメド・アリとプロレスリングNWF世界ヘビー級王者、猪木による「格闘技世界一決定戦」。
当日はアメリカのクローズドサーキット(有料衛生放送、今で言うライブビューイング)の為、アメリカの6月25日夜に合わせて試合開始。大会の試合開始は午前10時30分、メインイベントのアリvs猪木戦は午前11時50分から試合開始です。
6月16日夜に来日したアリは翌朝早朝の4時よりロードワークをして「来日の疲れなど少しもない」とアピール、その日午後より渋谷のセンタースポットジムで行われたスパーリングパートナーであるジミー・エリス、ロドニー・ボビックとの公開スパー。エリスとのスパーリングでは軽快なフットワークを見せましたが、ボビックには何とプロレス流のチョーク攻撃や羽交い絞めを見せてアピール。
同日猪木は世田谷の野毛道場で報道陣を入れ、日本人ヘビー級プロボクサー、長岡俊彦(金子ジム)とのスパーリング、長岡の左ストレートを巧みにかわしてからの仰向けに倒すカニ挟み、そこから足を絡めての腕ひしぎ逆十字固めを公開しました。
6月18日は日本外国人記者クラブでの共同記者会見。来日してから初めて顔を合わせるアリと猪木。アリは相変わらずの毒舌で猪木を挑発、猪木は「試合後、お前にはこれが必要になるだろう」と松葉杖をアリに贈るという「反撃」に出ました。怒ったアリは上半身裸になり「今すぐここでやってやる」と立ち上がり、猪木も上半身裸になって臨戦態勢。止められて事なきを得ましたが、早くも一触即発ムード。
6月20日は日曜日、午後1時より後楽園ホールにて入場料3,000円の有料での両者の公開スパーリングが行われました。
アリはエリス、ボビックを相手に合計6ラウンドのスパーリング。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」華麗なフットワークを披露。
続いて猪木が木戸修、藤原喜明、木村たかし(聖裔、健吾)と共にリングに上がり、藤原を腹の上に乗せての綺麗なブリッジ。木戸とはバックを取ってからのテイクダウンというレスリングの基本的なテクニック、空手チョップを披露、木村に対し、アリ戦用に開発した秘密兵器、ジャンピング・ハイキック(延髄斬りの原型)を出しました。
猪木がリングを降りる際、これを通路で見ていたアリ(既にシャツに着替えていた)が興奮して猪木に詰め寄り館内は大騒ぎ、藤原が上半身裸になってアリを牽制、先のシリーズでデビューしたばかりの佐山聡の姿も見えました。
この公開スパーリングの後、アリ側からルール変更の申し出があり、空手チョップの全面禁止、タックル、頭突き、肘打ち、膝蹴り、足の甲以外での蹴り技の禁止、如何なる場合においてもアリの頭部を攻撃してはいけないというもので、アリ側の代理人であるアンジェロ・ダンディは「このルールを飲まなければ、我々は明日にでも試合をキャンセルして帰国する」と脅しにかかり、猪木側はこれを飲まざるを得なくなりました。
6月23日、新宿・京王プラザホテルのコンコルドボールルームでNET「水曜スペシャル」生中継、アリvs猪木公開調印式ディナーパーティーが行われました。猪木は当日試合の入場の際着用する石坂浩二デザインの青紫にオレンジの縁取り、背中に鳳凰を刺繍した豪華なガウンで登場。
席上、猪木はアリに対し「この試合で勝った方がファイトマネー総取りというのはどうだ!」とウイナー・テイクオールの賞金マッチを提案。アリもその場の勢いでサインに応じましたが、アリ側のマネジメントをしているハーバード・モハメッド、米トップランク社代表ボブ・アラムらが血相を変えて怒り出し「猪木は何ということをしてくれたのか!こんな契約は破棄だ!」とこの猪木の提案は一夜にして破棄されてしまいましたが、これは猪木も本気だった訳ではなく、心理戦の一部だったでしょう。
決戦前日の6月25日、午前11時30分から京王プラザホテルにて両者の公開計量が行なわれ、アリは99.5kg、猪木は100.5kg。プロボクサーのスピードに合わせる為に10Kg前後の減量に成功していました。
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