73年、国際プロレスは前72年同様、8月は1か月丸々休んで9月8日、日大講堂(テレビ収録、観衆5,000人発表)から「第5回IWAワールド・シリーズ」を開幕させました。
70年の第2回大会より、3年連続で春に開催していましたが、この年は前に書いた通り、協調路線を敷いていた馬場の全日本プロレスが春の祭典「チャンピオン・カーニバル」を開催するにあたり、無益な興行戦争は回避すべきと、春開催を避けて秋開催にすると当初より発言していた通りになりました。
参加外国人選手はブラックジャック・マリガン(ボブ・ウィンダム)、ラーズ・アンダーソン、ムース・ショーラック、デール・ルイス、ボブ・ブラッガーズ、ウイリアム・ホール、フリッキー・アルバーツ、グレッグ・ガニア。
日本側はストロング小林、ラッシャー木村、グレート草津、マイティ井上、アニマル浜口、田中忠治、寺西勇、大磯武の8選手がエントリー。井上、浜口、田中、寺西、大磯の5人は初参加。前年のようなモンスター・ロシモフ、ドン・レオ・ジョナサン、バロン・フォン・ラシク、ホースト・ホフマン、ジョージ・ゴーディエンコといった超大物はいませんが、地味ながら粒揃いの実力者を集めており、面白いリーグ戦になると思います。
参加16選手によるABブロック別総当たりリーグ戦、あらゆる勝ち1点、負けと両者リングアウトが0点、時間切れの場合は審判団の協議により判定による勝敗をつける(時間切れ優勢勝ち、1点)。ABブロックの最多得点者が10月10日、長崎国際体育館で優勝決定戦を行うことになりました。
プロレスの場合は受けが重視されるので必ずしも攻めている方が強いとはならず、判定による勝敗をつけるのは適してはいませんがこれはこの20年ちょっとの間にファンに定着した認識であり、当時はやはり「攻めている方が強い」というのが当たり前の考え方でした。ただ優勢による勝敗を除けば、過去一番わかりやすい試合形式だと言えます。
Aブロックは前年度覇者小林、木村、田中、寺西、Lアンダーソン、ショーラック、ブラッガーズ、アルバーツ、Bブロックが草津、井上、浜口、大磯、マリガン、ルイス、ホール、グレッグ。両ブロックとも日本人、外国人ピッタリ4人ずつです。
また、公式戦とは別にAWA世界ヘビー級王者のバーン・ガニアが70年2月以来3年7か月ぶりに9月24日、札幌中島スポーツセンター、9月27日、愛知県体育館の2大会に特別参加が決定。今回はIWA世界ヘビー級王者、小林とAWA世界王座を賭けての2連戦が行われることになりました。
開幕戦の日大講堂では入場式が行われ、暗い場内からスポットライトを浴びて選手が入場してくる演出が為され、こちらはDVD−BOX「伝説の国際プロレス」に収録され、視聴可能ですが、尻切れ映像になっています。
開幕戦メインイベントは小林&木村に松本勝三改め大位山勝三がトリオを結成、Lアンダーソン&ショーラック&アルバーツ組と対戦。1本目は16分45秒、アンダーソンが大位山を体固め、2本目は5分37秒、日本組の反則勝ち、決勝の3本目は2分43秒、木村がアルバーツを体固めに決めて2−1で小林&木村&大位山組が勝利。
セミファイナルは井上&寺西組がルイス&グレッグ組と対戦、1本目は15分26秒、ルイスが寺西を片腕固めでギブアップさせ先制、2本目は4分52秒、寺西がグレッグを体固め、決勝の3本目は9分27秒、グレッグが父親直伝のスリーパー・ホールドで寺西からギブアップを奪い、2−1でルイス&グレッグ組が完勝しています。
初来日のグレッグはこの時25歳の新鋭でした。父バーンが特別参加するのもグレッグの日本遠征での試合ぶりを自分の目で見る目的もあったかと思います。
Aブロック公式戦、田中とブラッガーズの対戦は30分時間切れで田中の優勢勝ち、Bブロック公式戦、草津とホールは12分15秒、草津がエビ固め、同じくBブロック公式戦、浜口vsマリガンは14分25秒、体固めでマリガンの勝利に終わりました。
国際プロレスは東京の大会場には弱く、この日も5,000人発表と満員には程遠い数字、協調路線を敷いていた馬場の全日本プロレスもこの5日後の9月13日、日大講堂で馬場vsハーリー・レイスのPWF世界ヘビー級選手権試合をメインに「ワールド・チャンピオン・シリーズ」最終戦を開催していますが4,500人と苦戦しました。
国際プロレスはTBS系ネット局の強い地域で好カードを持ってくるやり方が目立ちましたが、せっかくの日大講堂大会にも関わらず、公式戦のカードが弱すぎました。いきなり小林vs木村の7月9日、大阪府立体育会館大会の再戦、草津vs井上など、日本人同門対決を持ってきた方が良かったと思います。
公式戦にはエントリーしていない稲妻二郎は先シリーズオフに交通事故に遭い、今シリーズを欠場。
第2戦は9月9日、埼玉県大宮スケートセンター(テレビ収録、観衆3,000人発表)大会。メインイベントは木村&草津組のIWA世界タッグ王者チームがマリガン&ブラッガーズ組と対戦、1本目は21分48秒、草津がブラッガーズを足4の字固めでギブアップさせ先制、2本目は5分25秒、マリガンが木村を体固め、決勝の3本目は2分42秒、木村がブラッガーズを片エビ固めでフォール、木村&草津組が2−1で勝利を飾りました。
Aブロック公式戦、小林とアルバーツの対戦は4分43秒、小林が体固め、同じくAブロック公式戦、寺西vsLアンダーソンは17分11秒、片エビ固めでアンダーソンの勝ち。Bブロック公式戦、大磯とルイスは12分30秒、片エビ固めでルイスがフォール勝ち。
井上&浜口組とショーラック&ホール組は28分50秒、両チームリングアウトの引き分け。グレッグは栄勇を11分55秒にスリーパー・ホールドでギブアップさせました。
第3戦、9月10日、宇都宮・栃木県体育館(テレビ収録、観衆4,000人満員発表)大会。メインイベントは小林&草津組がマリガン&Lアンダーソン組と対戦するという好カード。
1本目は7分40秒、マリガンが草津を体固め、2本目は17分58秒、小林がアンダーソンを体固め、決勝の3本目は7分48秒、草津がマリガンをアバラ折り(コブラツイスト)でギブアップさせて2−1で小林&草津組が勝利。このシリーズあたりから草津がマッチメーカーとなり、勝敗に関与するようになってきて小林を外しにかかり、翌74年の退団の要因となった、と言われているところからそのあたりも検証していきたいと思います。
Aブロック公式戦、木村とショーラックの対戦は12分32秒、木村が体固め、Bブロック公式戦、浜口とルイスの対戦は15分45秒、浜口が体固め、同じくBブロック公式戦、井上とグレッグは7分46秒、井上が体固めでいずれもフォール勝ち。
田中&大磯組とブラッガーズ&アルバーツ組は16分27秒、田中がアルバーツを逆片エビ固めで撃破、ホールは公式戦にエントリーされてないミスター珍に11分57秒、体固めで敗れてしまいました。
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