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2022年03月14日06:26

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ストロング小林さん追悼(67)

72年国際プロレス「ビッグ・ウィンター・シリーズ」終盤戦、ついに国際プロレスのリングにWWA世界タッグ王者チーム「生傷男」ディック・ザ・ブルーザー&「粉砕者」クラッシャー・リソワスキー組の「ブル・クラ」が初登場。

11月24日、岡山武道館(テレビ収録、観衆4,000人超満員発表)大会、ブル・クラは初戦でいきなりストロング小林&グレート草津組の持つIWA世界タッグ王座に挑戦(WWA世界タッグ王座は賭けられず)。

試合は同タイトルマッチでは初の時間無制限1本勝負。これより3年前の69年8月11日、日本プロレス札幌中島スポーツセンター大会で馬場&猪木組のBI砲を破り、インターナショナル・タッグ王座を奪っているブル・クラ(8月13日、大阪府立体育会館で奪回された)はやはり強く、小林&草津組を相手に桁違いの強さを見せて子供扱い、殴る蹴る、噛みつくなどやりたい放題の暴れっぷりで王者組は防戦一方。

リング下から持ち出した鉄パイプで攻撃を加えたブル・クラは静止に入ったレフェリーの阿部脩に暴行を加えて15分16秒、反則負けとなり、小林&草津組が2度目の王座防衛に成功しましたが、負けたブル・クラはベルトを強奪して控室へ。草津がマイクを掴んで「この借りは名古屋で返します」と叫びましたが後の祭りでした。

セミファイナルはマイティ井上&田中忠治組のヨーロッパ遠征コンビがマリオ・ミラノ&デニス・スタンプ組と対戦したタッグマッチ45分3本勝負。1本目は10分11秒、ミラノが井上を体固め、2本目は9分55秒、田中がスタンプを体固め、決勝の3本目は6分16秒、井上がミラノを体固めに決めて2−1で井上&田中組の勝利。

寺西勇とレッド・バスチェンのシングルマッチは9分5秒、バスチェンが体固めでフォール勝ち、大剛鉄之介&ミスター珍組vsホセ・アローヨ&ダイドーネ・ムッソリーニ組は16分51秒、アローヨが珍を体固め。ブル・バリンスキーは全日本プロレスの「旗揚げジャイアント・シリーズ」に鶴見五郎と共に参戦し(11月7日、後楽園ホールで閉幕)戻ってきたデビル紫とシングルマッチで対戦、7分17秒、体固めでバリンスキーが勝っています。

11月25日、広島県福山市体育館(観衆4,500人満員発表)大会。メインイベントは小林とバスチェンが金網デスマッチで対戦、25分7秒、小林がカウントアウト勝ち。バスチェンは金網向けのレスラーではないと思いますが…。

ブル・クラはセミファイナルに登場、草津&田中組と60分3本勝負で対戦しました。1本目は6分5秒、ブルーザーが草津を体固め、2本目は4分15秒、草津がブルーザーを回転エビ固め、決勝の3本目は6分32秒、ブルーザーが田中を体固め、2−1でブル・クラが勝利を収めました。

井上&寺西組vsミラノ&バリンスキー組のタッグマッチ45分3本勝負。1本目は10分7秒、ミラノが寺西を体固め、2本目は6分3秒、寺西がバリンスキーを体固め、決勝の3本目は5分45秒、井上がミラノを体固めで撃破、2−1で井上&寺西組が快勝しています。

大剛はスタンプとシングルマッチで対戦し16分9秒、体固めでフォール勝ち、珍&紫組とアローヨ&ムッソリーニ組は10分17秒、アローヨが紫を体固めで破りました。

11月27日、愛知県体育館(テレビ収録、観衆8,000人超満員札止め発表)大会。メインイベントは11月24日、岡山大会の再戦になりますが金網デスマッチで小林&草津組がブル・クラの持つWWA世界タッグ王座に挑戦。(時間無制限1本勝負)金網デスマッチによるタッグマッチの開催は日本初。

こちらのWWAは68年までロサンゼルスを中心とした西海岸地区をテリトリーとし、日本プロレスと親密な関係にあったロサンゼルス版WWAとは別団体。インディアナ州を拠点としたインディアナポリス版WWAで、ブルーザーとウィルバー・スナイダーが共同オーナーの団体で64年に設立されていました。国際プロレスが提携していたAWAとは協力関係にあり、海外遠征中のアニマル浜口も試合をしています。その流れでブル・クラの国際プロレス初来襲が決定しました。

しかし、国際プロレスはバション兄弟、バスチェン&ビル・ハワード組の「AWA世界タッグ王者チームという触れ込みだったが実はそうでなかった件」に次いで3度びファンの信頼を裏切ることになりました。実はこの時、WWA世界タッグ王者チームはブラックジャック・マリガン&ランザ組のザ・ブラックジャックスであり、ブル・クラは王者ではなく、WWA世界タッグ王座のベルトは持ってきていませんでした。

さて、試合はまたもやブル・クラがペースを握り、小林、草津は試合開始早々に流血させられるも反撃し4者大流血。血で血を洗う激闘になり、ブル・クラが優勢に。乱戦の中、ブル・クラは阿部レフェリーに暴行しダウンさせました。これを見ていたサブレフェリーの前溝隆男が入りましたが、ブル・クラは前溝レフェリーにも手を出してしまいました。

小林&草津はメッタ打ちにされてダウン、これを見たブル・クラは勝利を確信したか金網のドアを開けて場外に脱出。ようやくダメージから回復した小林&草津はこれを追って場外のブル・クラを追い掛けて乱闘、エキサイトした観客が選手を取り囲む。小林&草津を殴り倒したブル・クラは控室へ引き揚げ、試合終了のゴングが鳴らされ16分、ノーコンテストの裁定が下されました。

完全決着のはずの金網デスマッチが不透明決着となり、怒った観客が「詐欺だ!」「金返せ!」とリング廻りを占拠。国際プロレスでは初の暴動騒ぎに発展。納得しない観客は帰ろうとせず、吉原功社長がメガホンで「来年、無料興行をやります」と観客に詫びましたが2,000人近い客は深夜近くまで帰らず。夜11時を廻ってようやく事態収拾となりました。

金網でのタッグデスマッチを一目観ようと、会場の愛知県体育館は8,000人という大観衆が詰めかけました。国際プロレスの興行の6日前の11月21日には馬場、猪木の抜けた日本プロレスが愛知県体育館で「インターナショナル選手権シリーズ」の興行を開催。メインイベントは坂口征二&吉村道明組がアル・コステロ&ドン・ケント組のザ・ファビュラス・カンガルーズを2−1で破りアジア・タッグ王座を防衛。他、大木金太郎vsザ・ストンパー(ガイ・ミッチェル)、グレート小鹿vsキラー・カール・コックスというカードでしたが4,000人発表の不入りでした。

これまで日本プロレスには興行戦争を仕掛けられ、ダブルスコア、トリプルスコアで惨敗していた吉原社長は「勝った!」と喜びを噛み締めていたと言います。しかし、その数時間後には暴動騒ぎに遭い、観客に謝罪することに…。無料興行をやってしまっては、日本プロレスにダブルスコアで勝っても、その分の収益は飛んでしまいます。

なぜこのような結果になったのか?国際プロレスの金網デスマッチ決着ルールは、ダウンした相手をまず3カウントのフォールを奪ってから30秒タイムキーパーが数え、それからレフェリーが10カウント数えてカウントアウトとなるいわゆる「43秒ルール」もしくはギブアップ決着。

アメリカでは相手をダウンさせて金網の外に出た段階で勝ちというエスケープルールが一般的。つまりブル・クラはアメリカでのルールに倣って、小林&草津組がダウンしたのを確認して場外脱出しており、ブル・クラは自分達の勝利と誤認してしまったというのが理由というのが定説とされていますが、国際プロレスのエース2人を負けさせることも出来ず、ブル・クラにも華を持たせようとして失敗したと思われます。

セミファイナルは井上とアローヨのシングルマッチ45分3本勝負。1本目は14分31秒、2本目は6分38秒にいずれも体固めで2−0で井上のストレート勝ち。田中&寺西組vsバスチェン&スタンプ組は15分3秒、寺西がスタンプを体固めで破り田中&寺西組の勝利。

大剛とミラノのシングルマッチは14分18秒、ミラノが体固めで大剛を降し、珍とムッソリーニのシングルマッチは10分45秒、片エビ固めで珍のフォール勝ち、バリンスキーは紫を7分35秒にエビ固めで降しました。
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