72年国際プロレス「ビッグ・サマー・シリーズ」は7月22日、静岡県浜北市(現在の浜松市浜北区)民体育館で最終戦を迎え、8月は試合なし。9月9日、群馬県藤岡市民体育館での単発興行「ラッシャー木村壮行試合」まで48日間という長いシリーズオフに入り、8月には恒例となる伊豆雲見温泉での合宿に入りますが、TBS体制となった68年〜69年夏場までは、オフも短く、北海道巡業などを勢力的に取り入れていました。
東北、北陸、九州など日本テレビ系列のNNNネットワークよりもTBS系列のJNNネットワークの強い地方を除いては興行回数を増やしても収益が出ず、外国人レスラーのギャラや移動経費を考慮すれば、興行数を減らして収益を重視せざるを得ません。
また、ヨーロッパのレスラーよりもアメリカのレスラーの方がギャラが高く、提携先であるAWAのバーン・ガニアに支払う高額のブッキング料も国際プロレスの台所を苦しめる一因でした。
マッドドッグ・バションなどはAWAルートで来日していた時代と、大剛鉄之介によるカナダ・カルガリールートで来日していた時期では大剛ルートの方が「手取りが多くてビックリした」と喜んでいたとのことでいかにガニアの「中抜き」が凄かったかがわかります。
「ビッグ・サマー・シリーズ」閉幕から1週間後の7月29日、赤坂プリンスホテルで日本プロレスのエースだった馬場が記者会見を行い、「日本テレビの恩義に報いる為」日本プロレスに辞表を提出し独立を宣言。日本テレビをバックに秋の旗揚げ興行に向けて準備を開始、日本プロレスが3つに分裂、4団体時代に突入することになります。
9月9日、藤岡大会での木村壮行試合の3日後の9月12日、千葉県船橋ヘルスセンターローラースケート場より秋の陣「ダイナマイト・シリーズ」が開幕。ビル・ロビンソン、バディ・オースチン、ビル・ドロモ、バッファロー・ザリノフ、ベンジー・ラミレス(ザ・マミー、ザ・キラー)、リック・フェララの外国人選手が参戦、藤岡大会から参戦がオースチン、ザリノフ、ラミレスの3選手でその他の選手は船橋大会より出場。オースチンは「ビッグ・サマー・シリーズ」に来日が発表されていましたがビザの不備で来日出来ず、1シリーズ遅れての国際マット初登場。
日本側は先の「ビッグ・サマー・シリーズ」で兼業レスラーを宣言したサンダー杉山が専属契約をかわさず、1試合いくらのシリーズ契約に。大磯武がヨーロッパ遠征に出発、また、元日本プロレスの練習生だった八木宏(剛竜馬)と大相撲出身の米村勉(天心)がデビューしています。
9月9日、藤岡市民体育館(テレビ収録、観衆3,700人満員発表)での「ラッシャー木村壮行試合」。メインイベントでは木村が金網デスマッチでBオースチンと対戦、30分17秒、カウントアウト勝ち、壮行試合が金網というのも木村らしいですが、残念ながらテレビでは放送されず。
ドリルアホール・パイルドライバーの元祖として知られ、62年の日本プロレス「第4回ワールド・リーグ戦」に初来日以来、力道山、豊登、馬場、猪木、坂口征二、大木金太郎と遺恨試合を展開してきたオースチンもこの時42歳、寄る年波には勝てず…。この試合の後、木村は西ドイツへと出発しました。
セミファイナルは新IWA世界タッグ王者チーム、ストロング小林&グレート草津組がザリノフ&ラミレス組と対戦、1本目は9分22秒、ザリノフが小林を逆エビ固め、2本目は1分6秒、小林がザリノフを体固め、決勝の3本目は7分45秒、草津がラミレスを足4の字固めでギブアップさせ、小林&草津組が2−1で勝利を飾りました。
田中忠治&デビル紫&ミスター珍組と韓国・金一道場の留学生、羮成英&呉均銭&梁鎮五組の6人タッグマッチは16分29秒、梁が珍を体固めで破り韓国チームの勝利。
第1試合ではこの日が共にデビュー戦となる八木と米村が10分1本勝負で対戦し時間切れ引き分けでした。
「ダイナマイト・シリーズ」開幕戦は9月12日、船橋ヘルスセンターローラースケート場(テレビ収録、観衆2,000人発表)大会、この日からロビンソン、ドロモ、フェララが参戦。
メインイベントは小林&寺西勇組がBオースチン&ドロモ組と対戦、ドロモはTBS体制になる前、小林が覆面太郎でデビューした67年7月の「パイオニア・サマー・シリーズ」にヒロ・マツダのブッキングで来日しており、国際プロレスには5年ぶり2度目の来日。前71年1月には日本プロレスに登場し、1月15日、山口県徳山市(現在の周南市)体育館で大木を破り、アジア・ヘビー級王座を獲得しています。
1本目は17分11秒、オースチンが寺西を体固め、2本目は8分1秒、寺西がオースチンを逆さ押さえ込み、決勝の3本目は1分36秒、日本組の反則勝ちで2−1で小林&寺西組の辛勝に終わりました。
セミファイナルはロビンソンと草津のシングルマッチ45分3本勝負。AWAで試合をしていたロビンソンは長髪のパーマネントヘアーに変身、イメージが大分変わりました。海外遠征前にはロビンソンには歯が立たなかった草津でしたが、1本目は20分53秒、草津が体固め、2本目は8分10秒、ロビンソンが体固め、決勝の3本目は45分時間切れとなり、1−1の引き分けに終わっています。
フェララは大剛とシングルマッチで対戦し、16分15秒、逆エビ固めでギブアップ勝ち、田中とラミレスのシングルマッチは14分14秒、田中が体固めで勝利。杉山は随分と前の方の試合順になってしまい、ザリノフとシングルマッチで対戦、12分36秒、両者リングアウトとなっています。
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