70年国際プロレス「ビッグ・サマー・シリーズ」、初来日の「マットの魔術師」エドワード・カーペンティアは8月4日の岩手県花輪町体育館大会を最後に帰国。代わって8月6日、北海道・小樽市花園町公民館グラウンドから初来日ミスター・ブラウンが特別参加しています。
Mブラウンは夏場にも関わらず上半身に長袖のTシャツを着て試合をしていましたが、これは胸の部分に彫ってある大きな刺青を隠す為のものでした。本名はフランク・アール・ブラック、カナダ出身で前69年7月の日本プロレスの東南アジア遠征シリーズにマスクマンのミスターXとして参加しています。(この時は素顔)
独特の刺青から、正体が容易にバレてしまうのを回避した、と思われましたが、実は別の理由がありました。次の「ダイナマイト・シリーズ」に残留しマスクを被ってミスター・タイガーとして試合をしており、この時は上半身裸でした。ファンに別人と思わせる作戦だったかと思います。
小樽から8月25日、札幌中島スポーツセンターの最終戦まで20日間という長期に亘り、国際プロレスは北海道サーキットに入る訳ですが、小樽大会から新兵器とも言うべき「移動体育館」が登場します。サーカス小屋のテントを思わせるビニールシート製の簡易式ハコで2,000席が収容可能、屋外会場での雨天中止による払戻対応や振替日の設定などの事務手続きを回避するよう作られました。実際にハコを借りるより、広場を借りた方が会場使用料もかなり安くつきます。
ただ、雨は凌げましたが、肝心の「中の環境」までは考えられておらず、国際プロレスを取材していた東京スポーツの門馬忠雄記者によると「蒸し風呂のようだった」、「直ぐに眼鏡が曇ってしまい、メモが取れなくなった」と評判は悪く、興行中止のリスクは避けられても観戦に来た観客への配慮は欠けていたということでしょう。
8月11日、苫小牧市王子スポーツセンター(観衆3,000人発表)大会、メインイベントはサンダー杉山&グレート草津組にドクター・デス&レス・ウォルフ組が挑戦、1本目は17分51秒、デスが草津を体固め、2本目は5分11秒、草津がデスを足4の字固め、決勝の3本目は5分2秒、日本組がリングアウト勝ちを拾い、2−1で杉山&草津組が5度目のタイトル防衛に成功しました。
セミファイナルは田中忠治とジャック・デ・ラサルテスのシングルマッチ30分1本勝負で、11分45秒、ラサルテスが体固めで勝利。ストロング小林はセミ前に出場、7月28日に長野県新町大会でUSAヘビー級王座を賭けて対戦したパンチョ・ロザリオとシングルマッチで対戦、12分26秒、体固めでフォール勝ち。
マイティ井上はジャック・クレイボーンとシングルマッチで対戦、24分8秒、体固めで敗戦。大磯武はジョニー・コワルスキーを14分21秒、エビ固めで破り、途中参加のMブラウンは大剛鉄之介と12分29秒、両者リングアウトの引き分けに終わりました。
8月13日、北浦河郡浦河町築港埋立地(観衆3,200人満員発表、恐らく移動体育館を使用か?移動体育館の記載は熱戦譜にはない為不明)大会、メインイベントはヨーロッパ・タッグ選手権試合、王者チーム、杉山&草津組にウォルフ&ロザリオ組が挑戦。杉山&草津組は中1日空けて別のタイトル防衛戦です。1本目は21分22秒、両チームリングアウト、決勝の2本目は5分7秒、杉山がロザリオを体固めで破り、2−1で杉山&草津組が4度目のタイトル防衛。
セミファイナルは小林とデスのシングルマッチ45分3本勝負。1本目は5分8秒、小林が反則勝ち、2本目は1分36秒、デスが体固め、決勝の3本目は1分16秒、小林が体固めで取り、2−1で小林が勝ちましたが、スッキリ2フォールは奪えず。
田中とラサルテスのシングルマッチは17分34秒、ラサルテスが体固めでフォール勝ち、寺西勇とクレイボーンは20分5秒、体固めでクレイボーンに凱歌が上がりました。井上はJコワルスキーに18分7秒、エビ固めでフォール勝ち。中堅どころにも負けが込んできたコワルスキーは成績不振からか途中帰国。大磯とMブラウンは8分21秒、両者リングアウトの引き分け。特別参加のブラウンですが国際プロレスの中堅どころを相手にドローが精一杯でした。
8月18日、北見市屯田公園(観衆3,600人満員発表)大会では小林の保持するUSAヘビー級王座にデスが挑戦。1本目は14分27秒、小林が体固め、2本目は5分11秒、デスが体固め、決勝の3本目は2分6秒、小林が体固め、13日の浦河町大会でのノンタイトル戦では反則勝ちが1本含まれていましたが、今回は小林がスッキリ2フォール奪って完勝、6度目の防衛を果たしています。
セミファイナルは杉山&大磯組とラサルテス&ロザリオ組が対戦した45分3本勝負。1本目は21分8秒、両チームリングアウト、決勝の2本目は7分22秒、杉山がロザリオを体固めに決めて2−1で杉山&大磯組の勝利。
草津はウォルフとシングルマッチで対戦、17分21秒、回転エビ固めで破り、井上とクレイボーンのシングルマッチは25分18秒、クレイボーンが体固めでフォール勝ち。田中とMブラウンは16分38秒、両者リングアウトに終わりました。
シリーズ最終戦、8月25日、札幌中島スポーツセンター(テレビ収録、観衆4,500人発表)大会。メインイベントは杉山のIWA世界ヘビー級王座に「欧州の鉄人」ラサルテスが挑戦。1本目は10分32秒、両者リングアウト。決勝の2本目はゴングと同時に杉山がラサルテスをダウンさせておいての雷電ドロップを決めて僅か40秒に体固めでフォール勝ち。2−1で杉山が3度目の王座防衛に成功。
78年11月の「欧州世界選手権シリーズ」で猪木と死闘を展開するラサルテスは来日がこの時一度きりに終わってしまったのは残念であり、本領発揮までには至らずに帰国しています。
セミファイナルは小林&井上組がウォルフ&ロザリオ組と45分3本勝負で対戦、1本目は14分23秒、井上がロザリオを回転エビ固めで破り、2本目は8分33秒、小林がウォルフを体固めでフォール。2−0で小林&井上組が豪快にストレート勝ちで最終戦を飾りました。
草津はデスとシングルマッチ30分1本勝負で対戦し16分21秒、反則負け。クレイボーンは黒潮太郎と組んで大剛&ミスター珍組と対戦、24分17秒、クレイボーンが珍を体固めに決めてクレイボーン&黒潮組の勝利。Mブラウンは田中と16分18秒、またもや両者リングアウトとなっています。
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