前78年、新日本プロレスが推進していた格闘技世界一決定戦ブームに便乗したのが劇画作家の梶原一騎。
梶原はタイガーマスクを初め、巨人の星、あしたのジョー、赤き血のイレブン、柔道一直線(テレビでは実写)、キックの鬼、空手バカ一代等、70年代初めからスポ根路線漫画を次から次とヒットさせていました。
そのダークな風貌とは裏腹に繊細な描写にも長けており、この時代の少年少女を虜にしています。
そんな梶原が実在の猪木の格闘技路線を描いた作品が「四角いジャングル」。四角いジャングルは78年1月に中城健の画で少年マガジンに連載されました。
空手家、赤星潮がアメリカに渡り、ベニー・ユキーデと対戦するストーリーでしたが、物語の展開の中でユキーデとの絡みから猪木が登場。ゆくゆくはこの作品がきっかけで猪木と極真空手のウィリー・ウイリアムスとの試合が実現(80年2月27日、蔵前国技館)となる訳ですが、そこに至るまでの過程で漫画と現実のリング内での出来事が微妙にシンクロしていきました。
78年11月には松竹配給、三協映画、富士映画制作でドキュメンタリー作品「格闘技世界一四角いジャングル」が映画化されて公開されています。
映画の主人公はベニー・ユキーデでテーマ曲「エヴァー・モア」(ジェリー伊藤作詞、荒木一郎作曲、木庭ミキ歌)が全編に亘り使用されていました。
猪木の試合映像もふんだんに使われ、モハメド・アリとの試合(76年6月26日、日本武道館)がさりげなくダイジェストで入っている他、アンドレ・ザ・ジャイアント戦(78年5月30日、大阪府立体育会館)、ボブ・バックランド戦(78年6月1日、日本武道館)、ザ・モンスターマン戦(78年6月7日、福岡スポーツセンター)等が上映されています。
そんな中で漫画「四角いジャングル」に登場する謎の覆面空手家、ミスターXと猪木が79年2月6日、大阪府立体育会館で格闘技世界一決定戦で対戦することになりました。
Xのプロフィールはもちろん不明ですが、対戦成績は46戦20勝26敗。敗戦の全てが反則負けであり、あまりに凶暴過ぎて全米プロ空手協会を追放になった男、というものでこれを聞いただけでも幻想が膨れ上がりました。
大阪初開催の格闘技世界一決定戦となる猪木vsミスターX戦(WWWF格闘技世界ヘビー級選手権試合)は新春黄金シリーズとは別枠の特別興行として行われ、話題が話題を呼んで府立には9900人(超満員札止め)発表の大観衆が詰めかけました。
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