夜。乃愛は自室のテーブルに向かい、ノートを広げていた。なにやらいろいろと単語がしきつめられたノート。それは乃愛の作曲ノートいろいろなフレーズを書きだし、それをつなぎ合わせる事で曲の詩を組み立てる。
「予選の曲のすべては自分達で」と燿に言われてからずっとフレーズを書きだしてはいるのだが、組立ってはいない。
乃愛は深い溜息。そしてぽつりとつぶやく。「どんな感じの曲にしたらいいのか・・・・」
まだ方向性も決めていなかった。ポップな曲にしたらいいのかバラード系にしたらいいのか。全く空気の違うロックとか。
・・・・演歌とか。・・・・それは迷走しすぎだ。いや別にいいのではないだろうか?アイドル声優が演歌を歌ったりする事もあるのだし。
悩みに悩んでとりあえず先達の先輩からヒントを得るべくSTAR-MINEの曲を思い返す。
・・・・だめだ。STAR-MINEはうにうにしているものからバラード、切ない感じの曲まで多岐に渡る。律音の母親の愛架も似たようなものだが、中にはヤマタノオロチというバケモノとの戦いを鼓舞するような曲もあった。
バラバラだ。せめてBLUE-HOWKSや月宵月華のようにロックやクールといった統一性でもあったら分かりやすかったが・・・・。
予選だし、ポップ系やキュート系がいいだろうか。ウケを狙いに・・・・行こうとしたがそれはどうなのか。何が問題って、自分の体力と動きの悪さ。ポップやキュート系は割と動きが激しいものもあったりする。自分が創った曲で輝莉がどんな振り付けを付けてくるかは見当つかないが、自分の身の丈に合ったものにしたほうがいい。
方向性は静かな歌・・・・がいいとおもわれる。しかし観客ウケがいいかどうかはわからない。
こうなれば。と乃愛は携帯を手にし、電話をかける。相手は・・・・同じ作曲担当者。
『もしもし、乃愛ちゃん・・・・?』
かけた相手は美久。
乃愛「夜分申し訳ありません。少々相談があるのですが」
『どうしたのかな?私なんかでよければ聞くよ・・・・?』
事の顛末を話すと「わかるよ・・・・」と一言。美久も毎回どんな曲にするかで悩んだりするのだから。
乃愛「優勝しましたSTAR-MINEの方としてアドバイスを頂けたらと思いまして。予選の対策といいますか」
『うん。どんな曲にするかの方向性は決まったの・・・・?』
乃愛「いいえ・・・・。ウケのよさそうなポップ系かキュートな曲にしようかと思ってはいるのですが」
『そうなんだ・・・・。あのね、私達が県予選や関東予選での感想なんだけど、どこもそう考えたのかな?ポップ、キュート系の曲が多かったの。それで審査員も観客も飽きちゃってた空気があったから避けたほうがいいのかな・・・・』
なるほど。大会は要するに人気投票な訳で。ウケのよさそうな系統の曲を引っ提げて・・・・結局皆飽きられて「またこういうのか」という感じになっていたフシがあったとか。だから途中でバラード系のようなピュア系統も歌ったSTAR-MINE、ロックで挑んだBLUE-HWOKS、クールなチームカラーの月宵月華が勝ち抜いた感じもするとコメントした。
乃愛「そうですか。言われてみるとそうなのかもしれません」
『あくまでも勝ちにいくならそういう面も考慮したほうがいい、という事かな。輝莉ちゃんと星名ちゃんとお話して、Ecritureをどんなイメージのユニットにするかを決めておいた方が方向性が見定まるかも』
乃愛「わかりました。ありがとうございます」
美久にお礼を言って通話を切った。
Ecritureのユニットイメージ。
まずはそれを話し合おう。今夜はとりあえず曲の考案を止めて、明日に備えて寝る事にした。
輝莉と星名はどんなイメージカラーを所望するだろうか------------------
------------------------------------SCENE4へ-------------------------------------
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