年が明けて元旦。
蛍は恋美を連れ立って鈴鳴神社へ赴いた。夏祭りの時程の人混みではないのだが、人をかき分けて進まないと本殿にはたどり着けないレベルだったので、出店などをひやかしつつ人が減るのを待つ。
11時頃になると人も割とはけてきたので本殿前へ。御賽銭を箱に放り込んで手を合わせて目を瞑る。
もちろん願うは恋美とさらなる進展。
(小学生のうちにキスくらいはしておきたいなぁ・・・・な〜んちゃって・・・・!!)
と思いつつ目を開けて恋美を見る。恋美は何かを熱心に願っているのか・・・・まだ目を開けない。
開けたのは5分後のことだった。
蛍「恋美さん。何をそんなに熱心に願ってたの?」
恋美「・・・・・・・・」
恋美は答えず、おみくじを引きに蛍を引っ張っていく。そして----------------
蛍「おおっ」
蛍は大吉を引いた。恋愛のところも’待ち人来る’と書いてある。もうすでに待ちに待った人が隣にいるがそんな事はどうでもいい。なんとなく、おみくじも祝福しているかのようだ。
では、恋美は?と熱心に結果を書いてある紙を覗き込む。
末吉だった。なんとも微妙なものだ。そして・・・・「やっぱりね」と呟く。
蛍「やっぱりって・・・・何が?」
読めというのか、おみくじの紙を蛍に押し付けた。そして「恋愛のところ、みてみなさい」というのでそこをみると・・・・
’想い、とどかず’とあった。なぜだ?もうこうして両想いになってるというのに。まぁおみくじなど大衆に当てはまる適当な事を書いてるだけだし、別にいいんじゃないだろうか。天宮神宮の者がそんな事を言っちゃいけない気がするけど。
まぁおみくじの結果はだれしもに当てはまるようなもの。恋美が何を気にしているのか分からないが-----------
などと言うと睨まれた。なぜ。
恋美「アンタ、私に言う事は無い?」
と聞いてきた。何かあっただろうかと考える。何だっけ。
恋美「トボけても知ってるんだからね!!」
そう言って蛍に押し付けたおみくじを指す。主に恋愛運の所を。
恋美「にいにいから聞いたわ。アンタ、春になったら元の学校に戻るんですってね」
蛍「あ・・・・」
恋美と両想いになってド忘れしてた。
恋美「なんで言ってくれなかったの。転校するって!!」
蛍「いやあのそれは----------」
恋美「って言うのは理不尽よね。いつまでも女装して通ってられないもんね。でも、言ってほしかったな-------」
蛍「あっ----------」
恋美は蛍が止める暇(いとま)も与えず走り去っていった。最後の走り去っていく時の顔は・・・・泣いていた。
言ってほしかった-------------
蛍「ご、ごめんなさい恋美さん・・・・ボク・・・・言わなかったんじゃないんだ。言えなかったわけでもないんだ・・・・ただ・・・・本当に忘れてただけなんだ・・・・!!」
ああ何という事だ。自分が恨めしい。数日前の両想いになって舞い上がっている自分を殴って気づかせてやりたい・・・・。
頭を抱えている蛍に声をかける巫女さん。振り返ると鈴鳴優莉愛がいた。破魔矢を何本も抱きかかえていて今にも落としそうだ。そんな優莉愛に事の顛末を離すと苦笑い。それはそうだ。ただド忘れしてただけなんて笑い話だ。苦笑じゃなくてもう大笑い大笑でもしてくれ。
優莉愛「そっか。でも恋美ちゃんも分かってたと思うよ転校の事は。流石に卒業まではいられないって」
蛍「そうですけど、どうしたらいいのかなボク・・・・」
優莉愛「謝ったらいいと思うよ。もちろん春まではできる限り一緒にいてあげる事」
蛍「はい」
優莉愛と別れて鈴鳴神社を出る。謝れとはいうが、恋美はどこに行ったのか・・・・
とりあえず草薙家に行ってみる事にした。
しかし恋美は帰っていなかった。博人や恋美の両親もいない。完全留守だ。
蛍「そうだ。メールか電話したらいいんだ。どうしてこうボクはボケてるのか・・・・」
だから言うのも忘れていたのだろう。蛍は連絡を取ろうと試みたが、電話に出ないし、メールも帰って来なかった-----------
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