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2016年10月28日21:01

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猪木とビンス(385)

WWF代表でタイタン・スポーツ社長ビンス・マクマホンが84年ブラディ・ファイト・シリーズに参加予定でキャンセルしてきたハルク・ホーガンを伴って来日しました。

9月6日、猪木、ビンス、ホーガンが出席して記者会見が行われ、新日本プロレスとWWFが正式に契約を締結したと発表されました。

これはちょっと意外でした。何せ、WWFと新日本は74年2月にビンス・シニアがアンドレ・ザ・ジャイアントをブッキングして以来10年半もの間、業務提携をしており、今更と言う感じでしたが、

実際はビンス・シニアの経営していたキャピトル・レスリング・コーポレーションとビンスのタイタン・スポーツは別法人であり、ビンスはタイタンの代表として新規契約を結びに新日本へやって来たのです。

ビンス・シニア時代のことはもうご破算で新たな条件で取引しましょう、と言ったところでした。

おそらく、ホーガンをわざわざ連れて来たのは「今や世界のアイコンとなったホーガンに試合をして欲しければ、これだけの契約金を払ってくれ」と言わんばかりのビンスの嫌み、交渉を有利に進める為の心理戦術の一つで、一方的な金額を呈示して新日本は飲まざるを得なかったかと思います。

もちろん、アンドレ、ディック・マードック、アドリアン・アドニス、マスクド・スーパースター等契約外国人選手のブッキングも含めてのことです。

契約期間は1年で1年毎の見直し。ホーガンは試合もせずに会見に同席しただけで帰国。ここから新日本プロレスはビンスにナメられっ放しになります。

翌9月7日、福岡スポーツセンター(観衆6600人)のテレビ生中継で、開幕戦から乱入を続ける謎の怪覆面ストロング・マシンがついに試合に出場、いきなりメインイベントで猪木とのシングルマッチが組まれました。

マシンは赤地に黒の縁取のマスクで登場。大きく口を広げたそのデザインのヒントになったのは人気怪奇漫画の巨匠・楳図かずおの「笑い仮面」だったそうです。

本人の知らぬところでキン肉マンの話が出て、さらにNGとなり、思うに任せない事態となった晴れの凱旋帰国の大舞台。

今更素顔で正規軍になる訳にもいかず、会社は選手離脱で大きく揺れている。様々な内面での葛藤を皮肉るような喜怒哀楽を封じ込めたような笑い仮面。しかしその下には平田淳二の大いなるジレンマを秘めていたのです。

マシンの動きは早い。スピード溢れるショルダー・タックルで猪木を吹っ飛ばす。しかし、老練な猪木はマシンの動きをよく見ていました。

延髄斬りからの卍固め。速攻で勝ちに来た猪木を背後からマシンのマネージャー、ショーグン・KYワカマツが鞭を持って襲撃。7分19秒、試合はノーコンテストとなりました。

試合が終ると、エプロンに黄色いTシャツを着たもう1人のマシンが姿を現しました。これがマシン軍の「増殖」でした。

子供騙しの要素が強くマニアックなファンには否定的な声が多かったマシンでしたが、一般層には分かりやすく受け入れられたようです。

この日、リングサイドに馬場によく似ていると言われた韓国人レスラーのパク・スンモ(朴 成模)が現れ試合を観戦していましたが、マシンと何か関わりがあるのか?と話題を集めました。

ちなみにパクは馬場よりも馬場によく似ていると定評があったパク・ソンナン(朴 松男)の方が似ており、2人でタッグを組んでいたことがありました。

パクは何らアクションは起こしておりません。

セミファイナルは長州と9月4日、秋田県立体育館大会から特別参加しているグレッグ・バレンタインのシングル戦。

前回のバレンタインの来日時はメキシコ遠征中で対戦していない長州はバレンタインの巨体をもて余し気味、場外乱闘でバレンタインをフェンス越しに投げてしまい反則負け。

大型外国人相手にはまだまだ課題を残しました。

セミ前は今シリーズ唯一のテレビ登場となるこの日から特別参加のアブドーラ・ザ・ブッチャーと藤波の対戦。

この試合がテレビ中継のオープニングで、ブッチャーは入場の前に花道で軽くジャンプして精神統一をしていました。やる気はあったと思います。

ですが、リングに上がるとやはり藤波のスピードとテンポが合わず、藤波がブッチャー戦では見せる相手の頭部へのフライング・クロスアタックでブッチャーの額から少量の流血が見られたものの僅か4分33秒、両者フェンスアウトの引き分け。

ブッチャーは9月12日広島・三原市リージョンプラザ体育館大会(ジェリー・モローと組んで長州、谷津嘉章組と対戦、谷津がモローにサソリ固めでギブアップ勝ち)まで出場、翌日の13日、宇部市俵田翁記念体育館大会には出ておらず、ワンマッチ契約を除けば、最短となる1週間を待たずして帰国。

全日本プロレス時代に年間4〜5シリーズは普通に来ていたことからアメリカやプエルトリコでのスケジュールが詰まっていたとは考えにくく、新日本プロレスからはリリースされる方向にいっていました。

ブッチャーの新日本移籍はお互いに不本意なものになっています。
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