翌日の放課後。音羽美久は言われた練習する空き教室へ向かった。この日は部活もないので、練習風景を最初からみることができる。
指定された教室へ行ってみると・・・・タンタンタンという音が聞こえてくる。が、とくにほかの曲がかかっているという音がしない。何をしているのかとドアからのぞきこんでみると、ステップの練習をしていた。踊っているわけではまだない。初歩的練習からやっているようだ。
アイリーン「ワンツースリーフォー、ワンツースリーフォー、OK。いいでしょう。これだけできれば、或る程度のダンスで転んだり躓いたりはしないでしょう」
流奈「ね、こんな初歩練習してないで、歌の練習しようよー」
アイリーン「だまらっしゃい!!初歩をおろそかにしてますとあとで痛い目をみますわよ!!」
流奈「は〜い・・・・」
アイリーンがリーダーなのだろうか。見ている限り、彼女が練習を仕切っているように見える。確か彼女の母親は超お金持ちで、月乃宮プロダクションC・E・Oだったはずだ。レッスン方法も心得ているだろうし、彼女が仕切っているのも当然に思えた。
アイリーン「では次はグラウンドを走りこみますわよ」
流奈「なんでアイドルが体育会系に!?」
アイリーン「何を言ってるんですか。あなた、仮にもアイドルを目指すなら、テレビでいくらでもみているでしょう?歌いながら激しいダンスをこなしたりしているのを。体力をつけませんと、1曲でヘバりますわよ」
流奈「あー・・・・うん。そだよねー・・・・」
律音「じゃあ、いこっか。・・・・あ、」
振り向いた律音が、ドアからのぞきこんでいる美久に気づいた。そして教室に引っ張り込む。
律音「きてくれたんだね!!ありがとう!!ゆっくりみていってね!!って言っても、今から走り込みみたいだけど」
美久「あ、はい・・・・」
4人はそろって教室を出る。美久以外が体操着に着替え、グラウンドで練習をしているサッカー部の邪魔にならないように外周を走る。その様子を美久はみつめていた。
美久「アイドルって大変なんだ・・・・そうだよね・・・・私達みたいに、楽器持ったりしてたって演奏してるだけだし、マイクの前で歌ってるだけじゃないもんね・・・・激しい振りもあるし、体力要るよね・・・・」
軽音部にいる美久にもわかる。ただ歌うだけでも体力が要ることが。その上、フリまではいるのだ。かなり体力をつけないとダメだろう。それに、体力が尽きて、つらい顔をしているわけにはいかない。テレビでみているアイドルは笑顔で歌っている。笑顔で歌うだけの体力が必要だ。基本的なことだが、重要な事なのだ。
10周くらいしただろうか、3人は走り込みを終えて、制服に着替える元の空き教室に戻り、今度は発声練習を始めた。これも基本的だが、やはり最初のうちは欠かせない練習の1つだ。
総じて2時間くらいの練習。それを終えて解散する。美久は1人下校し、考える。
『PROJECT STAR LIGHT』大会。興味はある。しかし・・・・部活のただのアンダーのボーカルに、はたして・・・・通用するだろうか。というか、大勢の前で歌う事が果たしてできるのか・・・・
今日しか見ていないが、つらい練習もいくつかあるようだ。とくに体力つける走り込みは辛そうだ。とはいえ、歌って踊るアイドルには必要なものだ。
興味はあるが・・・・決心がつかない。特に、人前で歌うことが。
そこだけ・・・・悩みどころだ。悶々とどうするか考えて帰宅した。
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