名古屋から巡回してきた「カラヴァッジョ展」、年末から大阪でも公開で楽しみにしていたが、「ホロフェルネスの首を斬るユディト」と「瞑想するアッシジの聖フランチェスコ」は、イタリア側の手続きの都合により、展示できなくなったとのこと。そんなわけで、
1966年の長崎県佐世保市。米軍基地がある街には米兵向けの店が軒を連ねている。西見薫(知念侑李)は、親を亡くし、東京から親戚があるこの佐世保の地にやってきた。親戚宅での暮らしは肩身が狭く、得意のピアノを弾くときだけが心安らぐひととき。薫の転
イギリスのニューカッスルに住むある家族。リッキー(クリス・ヒッチェン)は、職を転々とするが、なかなか長続きしない。だがマイホームをどうしても手に入れたくて、フランチャイズの配送ドライバーの仕事を始めた。フランチャイズ元の会社から運送用のバン
12月4日、凶弾に斃れた中村哲さんの、最初の著作。1987年の暮れ、アルバイト先の出版社で「お医者さんの書いた、これから出す本です」とゲラ刷りを渡され、内容に引き込まれて読んだことを、今でもありありと思い出す。中村さんは「医師でありながら、
大河ドラマ「いだてん」が昨夜、最終回を迎えた。この1年、欠かさず毎週見て(当日、見られない用事のある時は録画して)、1年だけなのに、金栗四三の幼少期の明治の終わりから1967年まで、長い長い旅をしてきたような気分になった。わかりにくいとか、
幼い頃、俊太郎の住む村にやってきた「活動写真」の撮影隊。時は大正の初め。仲間と周囲をウロチョロしていた俊太郎は、それが芝居小屋で上映されたとき、自分たちが映り込んでいるのにいるのにびっくり。さらに、無声映画にセリフと状況説明を加える、“活動
萩尾望都さんの漫画家生活50周年を記念しての原画展に行ってきました。「ポーの一族」の原画展示が中心ですが、関西での開催ということで、宝塚で「ポーの一族」が舞台化されたときの衣装やパネルの展示も。萩尾望都さんについては、わたしが改めて言うまで
友人からお借りした、韓国の小説家の短編集。「第1回日本翻訳大賞」を受賞している。冒頭の短編「カステラ」は、「この冷蔵庫の前世はサッカーのフーリガンだったに違いない」と信じてる主人公が、そのやたら出す騒音がうるさい冷蔵庫に、ある日両親を入れて
11月29日、京都国立近代美術館へ「円山応挙から近代京都画壇へ」展を見に行ってきた。<公式サイトの展覧会趣旨より>18世紀の京都で、円山応挙は写生画で一世を風靡し円山派を確立しました。また、与謝蕪村に学び応挙にも師事した呉春によって四条派が興
恒例の北浜・生駒ビル地下会議室での読書会。11月はふたたび村上春樹作品で、2000年に刊行された「神の子どもたちはみな踊る」。6編からなる連作短編集で、当初は文芸誌「新潮」に「地震のあとで」というサブタイトルが付けられていた。それからもわか
毎年11月開催の大阪韓国映画祭。今年も申し込んだ上映回の分が当選し、2本見に行ってきました。「幸福の真髄」5度の受験でようやく公務員になれたジンス(コンミョン)。とはいえ、ゴミの不法投棄の犯人さがしに夜中まで、ゴミ置き場で見張ったりと、仕事
束草(ソクチョ・北との国境に近い、韓国北部の海辺の町)で幼馴染だった4人の男たち。彼らは40年来の友人で、美容外科医ソクホ(チョ・ジヌン)と妻の精神科医でカウンセラーのイェジン(キム・ジス)の新居に、引っ越し祝いで集まることになった。亭主関
<文庫カバーのあらすじより>異母兄が奈良で消息を絶った。たったの二度しか会ったことがない兄の彼女に誘われて、私は研吾を捜す旅に出る。早春の橿原神宮、藤原京跡、今井、明日香…。旅が進むにつれ、次々と明らかになる事実。それは真実なのか嘘なのか。
八戸出身の小山内堅(おさない・つよし)は、東京の私大に進学、大学時代に妻の梢と出会って結婚。生まれた娘には妻の発案で「瑠璃」と名付ける。転勤で千葉に住んでいた頃、7歳の瑠璃は高熱を出して寝込むが、そのあと奇妙な現象が。むかしの「黛ジュンのヒ
民主化から10年の1997年秋、韓国はOECDに加盟、先進国の道をひた走っている、と国民はだれもが信じていた。しかし、韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョン(キム・ヘス)は通貨危機を予測。政府は国家不渡りの事態を防ぐ非公開の対策チームを招集す
パリに出てきたフィンセント・ファン・ゴッホ(ウィレム・デフォー)は、描きためた10数点の絵を店の壁に展示してもらうが、1点も売れず、店主からは「こんなの絵じゃない、ヘンだ」と言われる始末。同じく画家仲間のゴーギャン(オスカー・アイザック)は
韓国でも日本の「裁判員裁判」同様、いわゆる陪審員制度がモデルの「国民参与裁判」が2008年に導入された。法廷を舞台に、陪審員に選ばれた8人が、殺人事件をめぐって議論し合う中、ひとりの若者が事件にいくつもの疑問を抱いたことから、「有罪」が既定
1995年の春、「レオン」が日本で封切られた当時、「殺し屋と少女との純愛の物語」と評判になっていた。だがわたしは、「それってなんかありえないお話だなあ」と思い、見ないまま。それからしばらくたって、TV放映されたときに見ることとなり、すっかりこ
秀丸(笑福亭鶴瓶)は、元死刑囚。しかし死刑執行後に息を吹き返してしまったため、再度の執行はなされず、その異例の事態に当局側は困惑。けっきょく「放免」され、いまは長野県の山あいにある「六王子病院」という精神病院に収容されていた。由紀(小松菜奈
奈良国立博物館の「正倉院展」を見たあと、そこかしこでのんびりしている鹿たちを見やりながら興福寺へ。「北円堂」のみの御開帳だったり、あるいはまた「南円堂」のみだったりで、両方が同時公開で堂内の仏像がみんな拝めるのは珍しい。南円堂は、弘化4年(
秋の恒例「正倉院展」に、今年も行って参りました。で、やっぱり混雑! 開場20分前に入り口に着いたら、すでに200人近い行列!そんな激混みの中、1時間半かけて見て回る。今年の目玉は、「鳥毛立女屏風(とりげりつじょのびょうぶ)」6枚が全部出展さ
恒例の、北浜にある生駒ビル地下会議室での読書会。10月も「平成の人気作家」ということで、東野圭吾の「幻夜」です。TVドラマ化、映画化、さらに韓国版映画も制作された、大ヒット作の「白夜行」。「幻夜」は、いわば「白夜行」の続編、という位置づけにな
デンマーク人女性のメッテ・ホルムは、20年に渡り、村上春樹作品の翻訳に取り組んできた。そんな彼女の姿を追ったドキュメンタリー。デンマーク語の翻訳に四苦八苦し、日本を訪れて彼の足跡をたどったりするホルムの姿が写し出される一方、「パラレルワール
「やめられない ギャンブル地獄からの生還」帚木蓬生(集英社文庫)以前、単行本で刊行されていたものに加筆、再構成して文庫化。ようやくわが国でもギャンブル依存症が病気として認知、問題視されてきたことや、それにもかかわらずカジノ誘致に国も地方も躍
<公式サイトの案内文より>1848年、ラファエル前派同盟は英国美術の刷新をめざし結成されました。画壇から攻撃された彼らを擁護したのは、偉大な風景画家ターナーを支援する美術批評家ラスキンでした。その思想はロセッティやミレイ、バーン=ジョーンズ、モ
「ジョーカー」と同じ日に見に行ったのに、「ジョーカー」の印象が強烈だったので、こちらの感想が後まわしになってしまった(;´∀`)。原作は単行本刊行時に読んで、ピアノコンクールに臨むピアノスト群像が生き生きと描けていたのだけど、いかんせん、わた
当初は別の映画を午前中に見に行ってたんですが、午後から「ジョーカー」が同じ映画館で上映。新聞の映画評などでも話題になっている「問題作」とのことなので、思い切って久しぶりに映画のはしごをすることにしました。R15指定とのことなので、バイオレンス
NHK大河ドラマの「いだてん」がいよいよ佳境に入ってきた。日中戦争の泥沼化で、ついに1940年開催の東京五輪を日本は返上。そして第二次世界大戦に突入、日本も太平洋戦争の開戦で戦時色一色に染まっていく。「いだてん」は視聴率が振るわないという。わ
舞台は戦前の日本。服装からして昭和よりさらに前の、大正や明治の終わりごろだろうか。トイチ(柄本明)は、川べりの粗末な小屋に住み、川を渡る人のために船を漕ぐ船頭。そのわずかな船賃で、日々の生活を営んでいる。村人の源三(村上虹郎)はトイチのもと
チャン・リュル監督は1962年、中国吉林省・延辺朝鮮族自治区生まれ。大学教員、作家としても活動するが、1989年の天安門事件で、表現活動の制限に直面、その後韓国に活躍の場を移し、映画監督として作品を発表。都市の名前を冠した「慶州」「群山」に