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2019年10月10日10:24

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映画「ジョーカー」(ややネタバレあり)

当初は別の映画を午前中に見に行ってたんですが、午後から「ジョーカー」が同じ映画館で上映。新聞の映画評などでも話題になっている「問題作」とのことなので、思い切って久しぶりに映画のはしごをすることにしました。

R15指定とのことなので、バイオレンスシーンで制限がかかったんだろうな、とは思っていましたが、見終わると、

「これR15どころかR80にしたほうがいいかもよ!」と言いたくなる内容(まあ、R80なんていうのは、半分は冗談ではありますが・・)。
これだけ救いようのない映画と言うのはわたしにとっては「ダンサー・イン・ザ・ダーク」以来かもしれません。


舞台はすさんだ街・ゴッサムシティ。
清掃従事者たちのストライキで、街にはゴミがあふれかえっている。
時代設定はいつの頃なのか? 画面に登場するテレビやビデオ機器を見ると80年代のようにも思えてくる。
きらびやかなビルの影で、貧困層はその日ぐらしをしていた。

アーサー(ホアキン・フェニックス)はコメディアンを夢見る、売れない大道芸人。
精神的な疾患もかかえ、市の福祉カウンセリングに通う。
ピエロの扮装で店のセール看板を持っていたときに、悪ガキどもに看板を壊され、取り戻そうとしたアーサーは彼らに袋叩きにされる。
粗末なアパートに帰ると、体の不自由な母親がいて、アーサーはその介護もやっていた。

芸人仲間からこっそり拳銃を渡されたアーサー。
そして徐々に彼の生活はきしみはじめる。

大道芸人を取り仕切る事務所はクビに、カウンセリングの場も市の予算で閉鎖。
生活に窮しても、彼の生きる道はコメディアンしかない。

地下鉄の中で、若い女性を執拗にからかう男性たち。
同じ車両にいたピエロのなりをしたアーサーは、今度はその男たちの矛先が自分に向かってきたため、発作的に、持っていた銃でひとりを射殺。
そうなると、殺人によってスイッチが入ったように、アーサーの中の衝動が爆発し、ほかのふたりも追いかけて銃で殺してしまう。

ゴッサムシティは、「エリート証券マン三人を殺したピエロ」の話でもちきりとなった。
拳銃をくれた芸人仲間がニュースを見て、アーサーのアパートにやってくる。
すでに事務所にも警察の捜査が入っていた。
口裏を合わせておかないと、という彼を、アーサーは激しく殴り殺してしまう。

だが、街の人々は、「富裕層に鉄槌を下した」とばかりに「殺人者のピエロ」を英雄視していた。
そしてピエロの仮面をつけた大勢の群衆で、暴動、略奪がどんどんと拡大、街は大混乱に。

アーサーはレストランで披露したコントの映像が、有名司会者・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の目に留まり、彼の人気番組に生出演することに。
アーサーはフランクリンに「僕のことは『ジョーカー』と紹介してください」と、言う。
誰も彼を殺人者だとは知らぬまま、ステージへ上げる。
そしてそこでは、さらなる惨劇が待っていた。

街はピエロたちであふれていた。
アーサーは「ジョーカー」としてこれから生きるのだ。


ホアキン・フェニックスの怪演、ともいえる狂気のピエロぶりが見事というか、こちらまでそのダークサイドに吸い寄せられそうだ。
とにかく、悲惨な話ばかり。
格差、貧困、福祉打ち切り、児童虐待・・えっ? これまるで今の日本社会じゃん!?
とその見事な符合に驚く観客が多いだろう。
アーサーの境遇の救いようのなさ、絶望感がなんともいえないのだ。
その辺への共感めいたものが、この映画のヒットにつながっているのかもしれない。
そしてここまでシンクロするのか!? と思うのは、群衆がピエロのお面をつけて暴動を起こしているシーンが、どうしても昨今の香港のニュースを想起させてしまうこと。
顔をわからないようにするためだからと、黒いマスクが禁止になってしまったほどだが、それはいやがおうにも、映画の中のピエロのお面を連想させる。

偶然封切り時期と重なったのだろうが、そこいらへんの「共振」が映画の中から伝わってきて、暴動のシーンは見ながら背中がぞわっとしてしまった。

ホアキン・フェニックス、といえば兄のリヴァー・フェニックスが思い出される。
薬物中毒で23歳の若さで死去したが、わたしの知人が彼の熱狂的ファンで、亡くなったときの落胆は相当なものだった。

ちなみに殺人シーンはかなり残忍なので、「閲覧注意」ですね。
(10月8日、エキスポシティシネマ)
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