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2017年11月09日18:14

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封印したルポ(その5の2)

 西新宿にある瀟洒なマンション。窓から見える景色は樹木。ちょっとしたリゾート気分。しかし、バスルームに続く部屋は簡素だった。廊下から部屋の中まで安いビニールのジュータンが敷いてあり、中のソファーなどもいかにも安いビニール貼りだ。中央には、やはり安そうなテーブルがあるのだが、その上の果物は何とも豪華だった。テーブルの上にはお洒落な俎板や食器やナイフも置いてある。シャンパンがクーラーの中で冷やされている。二本のワインが抜かれ、白用と赤用の、それぞれのグラスに注がれている。
 絶対に、車で来ないで、と、言われたのが分かった。これでは飲まずにいられない。パーティは夜の八時頃からはじまり、始発までということだった。
「シャワーを浴びましょう」
 筆者を誘った露出痴女に言われ、ビニール貼りの廊下からバスルームに入ると、そこは何とも豪華だった。バスルームの前の着替えの空間だけで貧乏学生なら暮らすことが出来そうだ。そして、同じようにバスルームも広い。貧乏な筆者などは、それを喩えるのにラブホテルのようなとしか表現のしようがないほどなのだ。
「まさか乱交系じゃないですよね」
 筆者はその頃から乱交系のパーティが苦手だった。乱交系のパーティはどこか動物的で、お洒落さがないので嫌だったのだ。
「そんなものに誘わないし、そんなもの私だって嫌よ。このパーティは、あくまで果物を食べる会なのよ」
 しかし、それはそれで退屈そうだ。果物は嫌いではないが、性的興奮に結び付くようには思えなかったのだ。
 ところが、その筆者の考えはすぐに打ち砕かれることになる。
 とりえず、これを試しなさいと主催の初老の男に言われるままに、やはり、初老と思われる女性の股間に乗せられた完熟した桃を手を使わずに直接口で食べたのだ。桃は一口では頬張れない。何しろ、皮を剥いただけで、丸ごと乗せられているのだ。仕方なく齧る。齧ると桃はつぶれ、無毛の閉じられた股間に崩れ落ちて行く。それを舐めるようにして食べるのだ。桃は甘い。同時に、耳からは女性の甘い吐息が入って来る。何とも甘美なパーティなのだ。
「器はいくらでもあります。嫌でなかったら、女性の中で温めた果実も、もっと小さな穴に入れた果実をそのまま口で食べることも出来ますよ」
 初老の男に、そんなことを言われている筆者の股間に何かが押し付けられた。男も女もその部屋では全裸なのだ。バスローブやバスタオルを巻いている人もいるが基本的には全裸なのだ。筆者の股間に押し付けられたものは指のサイズほどの小さなバナナで、若い女性がそれを股間に押し付けたまま頬張った。そして、齧ったのだ。痛くはない。痛いどころか興奮させられていた。
 見ると、部屋の奥では筆者を誘ってくれた女が仁王立ちして、股間に入れた何かの果実をそこに寝る男の顔に垂らしていた。
 始発まで、夢心地のパーティは続いた。
 そして、筆者は、このパーティは夢だったのではないか、と、今は思っている。何故なら、このパーティの様子を書いた一万文字以上のデータは、今も見つからないままなのだ。もしかしたら書いたという記憶も、また、夢なのかもしれないのだ。
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