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日記一覧

秋の形見-新勅撰
2015年10月31日11:36

後京極摂政、百首歌よませ侍けるに        小侍従(356)をきてゆくあきのかたみやこれならん見るもあだなるつゆのしらたま【通釈】置いてゆく秋の形見はこれであろう。見るにつけてもはかない露の白玉であることよ。神作光一・長谷川哲夫『新勅撰和歌

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中学校と高校で図書局に在籍し、それぞれで図書局長を拝命し、父親の反対さえなければ図書館情報大学に進学する志望を持っていた僕は、まごうことなき「図書館の味方」である。月に4回以上は図書館に通い、今も、図書館から多くの恩恵を受けている。そのうえ

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前大僧正慈円 ・皆人の知り顔にして知らぬかな必ず死ぬるならひ有りとは ・昨日見し人はいかにとおどろけど猶永き夜の夢にぞ有りける ・蓬生にいつか置くべき露の身は今日の夕暮明日の曙・我もいつぞあらましかばと見し人を偲ぶとすればいとど添ひ行く 『定家

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六十の悔恨-藤原隆信(1)
2015年10月19日22:05

ながめても六十(むそじ)の秋は過ぎにけり思へばかなし山の端(は)の月藤原隆信朝臣新古今和歌集(1540)「山の端の懸かった暁近い月にみずからの人生の終わり近いことを思った。極めて平明な調べの歌であるが、それだけに実感は籠もっている。この時代有数の風流

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五十の闇-慈円(1)
2015年10月17日22:18

秋をへて月をながむる身となれり五十(いそぢ)の闇をなに歎くらん前大僧正慈円新古今和歌集(1539)歌意「秋を幾度も経験して、澄んだ月をじっと見つめることのできる身の上となったよ。五十の齢の闇夜にあることをどうして嘆くことがあるだろうか。」久保田淳『

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秋は忍ぶ恋の季節?
2015年10月16日23:46

1025:秋萩の枝もとををにおく露のけさ消えぬとも色に出でめや1026:秋風に乱れてものは思へども萩の下葉の色は変らず1027:わが恋は今は色にや出でなまし軒のしのぶももみぢしにけりいずれも「新古今和歌集」の巻第十一「恋歌一」より1025の「とをを」という

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「注目すべきは、両訳[円地訳と瀬戸内訳]が加筆を通して「女性が女性の性を積極的に描いた」ことである。」「両訳の間には25年の隔たりがあるが、女性の性表現のあくなき追及は両訳に共通している。」「戦後しばらく両者は少女小説で生計を立てていたが、

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古本屋に、円地文子の「二世の縁 拾遺」を収録した『妖・花食い姥』 (講談社文芸文庫) があったので、買って読んでいる。最初に「二世の縁 拾遺」を読み、続いて「妖」を読み終わった。「二世の縁 拾遺」は、上田秋成の「二世の縁(にせのえにし)」を題材

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今日は人こそ-哀傷(03)
2015年10月12日22:30

明日知らぬ我が身と思へど暮れぬ間の今日は人こそ悲しかりけれ紀貫之『定家八代抄(上)』(岩波文庫・1996年)p.180より.:*:'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・'゜☆。'・.:*:・.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:・詞書きに「紀友則身まかりにける時」と

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とふかたの無き-哀傷(02)
2015年10月11日20:53

教えおくその言の葉を見る度にまたとふかたの無きぞ悲しき後大徳寺左大臣「私に教えおかれた父の言葉を見る度に、二度とお尋ねする方法のないのが悲しい。」『定家八代抄(上)』(岩波文庫・1996年)p.194より.:*:'゜☆。.:*:・'゜★゜'・:*:.。.:*:

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程もなく誰も遅れぬ世なれどもとまるは行くを悲しとぞ見る伊勢「だれもがすぐに遅れず死んでゆくこの世なのですが、生き残っている者は先立って亡くなる者を悲しいと思うことです。」『定家八代抄(上)』(岩波文庫・1996年)p.192より.:*:'゜☆。.:*

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書を友として
2015年10月08日22:34

「山城の高槻の樹の葉散りはてゝ、山里いとさむく、いとさうざうし。古曾部と云ふ所に、年を久しく住みふりたる農家あり。山田あまたぬしづきて、年の豐凶にもなげかず、家ゆたかにて、常に文よむ事をつとめ、友をもとめず、夜に窓のともし火かゝげて遊ぶ。母

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「目をつぶっていなくては、誰しもおのれの存在をまともに味わうことはできない。光明は人間の肉につながる部分にとっては快適であるけれども、暗黒こそわれらの本質にふさわしい要素であるからだろうか。」 田中西二郎訳『白鯨(上)』(新潮文庫・2006年

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xoxo(Kiss&Hug)
2015年10月05日22:02

日曜日は、朝から渋谷のライブ会場に行ってきた。お目当ては「xoxo(Kiss&Hug)」というグループだったのだが、僕がアイドル関係で「THE ポッシボー(現:チャオ ベッラ チンクエッティ)」と「北斗夢学院桜組」以外を目当てにライブに行ったのは、これが初めてだ

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■円地文子 (1905-1986)東京生れ。国語学者・上田萬年の次女。日本女子大附属高女中退。早くから古典、特に江戸末期の頽廃耽美趣味に親しんだ。1935(昭和10)年、戯曲集『惜春』を処女出版したのち小説に転じ、『朱を奪ふもの』(1956年)『傷ある翼』(19

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「悲劇的に偉大な人物とは、すでにある種の病的素質を媒介として形成されるものだ。銘記せよ、大望ある若人よ、あらゆる人間の偉大さとは病にすぎぬのだ。」 田中西二郎訳『白鯨(上)』(新潮文庫・2006年改版)第16章 p.164から【原文】For all m

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「たとえ、どんなにそれが小さかろうと、ぼくらが、自分たちの役割を認識したとき、はじめてぼくらは、幸福になりうる、そのときはじめて、ぼくらは平和に生き、平和に死ぬことができる、なぜかというに、生命に意味を与えるものは、また死にも意味を与えるは

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