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2015年10月13日21:21

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二世の縁-拾遺-円地文子(2)

古本屋に、円地文子の「二世の縁　拾遺」を収録した『妖・花食い姥』 (講談社文芸文庫) があったので、買って読んでいる。
最初に「二世の縁　拾遺」を読み、続いて「妖」を読み終わった。

「二世の縁　拾遺」は、上田秋成の「二世の縁（にせのえにし）」を題材として、時代を敗戦後の物語としている。
これを機に、「二世の縁」も読んでみた。
秋成の「二世の縁」は、文庫本であれば１０ページにも満たないお話だ。円地の「拾遺」は、老国文学者による現代語訳の口述という物語上の形をとって、秋成の「二世の縁」を取り込み、文庫本で２６ページほどの掌編となっている。「拾遺」の中の「二世の縁」の現代語訳は、ほぼ全訳であるようだ。
と言うよりも、「源氏物語」の全訳と同様に、「拾遺」の中の「二世の縁」にも「加筆」があるようだ。そして、その加筆は、主に男女間の肉体的な関係に関わっている。

秋成の「二世の縁」のテーマが何であるかについては、二つの解釈がある。
第一は、仏教批判とでも言うべきもの。即身成仏を果たそうとした僧が生き返った後に肉欲に溺れる姿を描き、それを見た村人たちの信仰心が薄れる様を描いたことが主題とされる。
第二は、男が持つ肉欲の深さそのものが主題だという主張だ。

円地の「拾遺」は、第二の解釈を採っている。というよりも、読者がそのように解釈するように「訳」において細かな操作が行われている。

そして、「拾遺」においては、「男」の情欲が「女」の情欲に置き換えられている。

円地による古典の現代語訳を読むときは、色々と「留意」が必要なようだ。
ただ、円地の文学には、その創作においても、訳においても、固有の魅力があると感じ始めている。

■「二世の縁　拾遺」を採り上げているブログ
・安達慎一「文学・あれこれ　⑦」
http://red.ap.teacup.com/adapon/21.html

■円地文子『妖・花食い姥』 (講談社文芸文庫)
http://www.amazon.co.jp/dp/4061975501

■谷崎源氏（旧訳）における削除と円地文子（2015年09月25日）
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946397214&owner_id=2312860
■円地源氏が描く官能美（2015年09月26日）
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946400082&owner_id=2312860
■頽廃耽美趣味-円地文子(1)（2015年10月04日）
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946648475&owner_id=2312860

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