スーパースター・ビリー・グラハムを破りIWA世界ヘビー級王者となったマイティ井上は、当時国際プロレスというか、日本プロレス界でも誰も着用していなかったサイケデリックな柄のショートタイツを着用、話題を集めています。
74年11月4日後楽園ホールではレイ・スチーブンスを2−1で破り初防衛。11月20日蔵前国技館大会のメインイベントはバーン・ガニアにビル・ロビンソンが挑戦したAWA世界ヘビー級選手権試合(1−1から両者カウントアウトで引き分け)でしたが、井上はセミファイナルで後に長くAWA世界ヘビー級王座に君臨するニック・ボックウィンクルとシングルマッチ45分3本勝負で対戦、2−1で勝利を収めました。
11月21日地元大阪府立体育会館ではAWA世界ヘビー級王者ガニアと自身が保持するIWA世界ヘビー級王座を賭けたダブル・タイトルマッチで対戦。特別レフェリーはロビンソンが務めています。
1本目は17分17秒、ガニアがスリーパー・ホールド、2本目は4分55、井上がサマーソルト・ドロップ2連発からの体固め、決勝の3本目は8分59秒、ガニアの放ったバックドロップから両者ダメージで場外転落、両者リングアウトとなり1−1の引き分けとなりました。
王者のまま年を越すことが確定した井上は「ゴング」75年2月新春特大号に全日本プロレスのPWFヘビー級王者の馬場、新日本プロレスのNWF世界ヘビー級王者の猪木と並んで3団体の王者として堂々と表紙を飾りました。
75年に入ると2月2日後楽園ホールで「英国の流血王」ダニー・リンチを大流血戦の末、2−1で破った後4月10日足立区体育館でマッドドッグ・バションの挑戦を受けました。1本目場外乱闘で井上は早くも額から流血。9分30秒、バションのコブラクラッチ(変型裸絞め)で絞め落とされてしまいました。
2本目は3分18秒に両者リングアウトとなり、2−1で井上が敗れベルト移動、バションが第10代王者となっています。
IWA世界ヘビー級王座は4月19日札幌中島スポーツセンターでラッシャー木村が金網デスマッチでバションを逆エビ固めに破って王座獲得。第11代王者に輝き、国際プロレスはR木村時代が到来、81年8月の団体崩壊までエースの座を全うすることになる訳です。
井上政権は僅か半年の短命に終わりましたが、IWA世界ヘビー級王座に対する執着はなく「肩の荷が下りてホッとした。自分のやりたいプロレスがこれで出来ると思った」と述懐。団体を背負うというタイプではなかったかも知れませんが、実際は馬場、猪木という稀代の大スターと比較対象にされるのが嫌だったのでしょう。
IWA世界ヘビー級王座から転落した井上は、R木村が「シングル王座に専念したい」として返上したIWA世界タッグ王座獲得に回ることになり、R木村のパートナーだったグレート草津とのタッグで75年5月の「ビッグ・チャレンジ・シリーズ」中に王座決定トーナメントが行われました。
6月8日大宮スケートセンターで草津&井上組は1回戦でブッチャー・ブラニガン(キラー・ジョー・ノボ)&ジェフ・ポーツ組を2−1で破り、6月13日盛岡・岩手県営体育館でシードとなっていたキラー・トーア・カマタ&デューク・サベージ組を2−1で降して王座獲得しています。
6月29日後楽園ホールで井上はR木村のIWA世界ヘビー級王座に挑戦。73年7月9日大阪府立体育会館でストロング小林にR木村が挑戦して以来2年ぶりの2度目の同門同士の同世界戦になりました。
1本目は井上が12分10秒、回転エビ固めで先制、2本目は4分44秒、井上のドロップキックをキャッチしたR木村が逆エビ固め、決勝の3本目は6分45秒、R木村がロープ越しのブレーンバスターから体固めでフォール勝ちし2−1で3度目の防衛を果たしています。
草津とのコンビでのIWA世界タッグ王座ですが、先代王者チームのR木村&草津組は同王座最多の11回防衛記録を樹立しており、草津&井上組も長期政権を築くかと期待されたものの、6月30日大和市車体工業体育館でビッグ・ジョン・クイン&ギル・ヘイズ組、9月8日山梨県石和町小松パブリックホールでジプシー・ジョー&ザ・キラー組をいずれも2−1で破り2度の防衛に成功した後、11月3日後楽園ホールでピエール・マーチン&マイク・マーテル組のザ・コンバット・フレンチブラザーズに敗れ王座から転落。
11月19日北海道・陸別町スポーツセンターで井上はマーチンのUSヘビー級王座に挑戦して2−1で負けていますが、どこが認定しているのかわからない謎のタイトルマッチでした。私は「プロレス熱戦譜」の誤植かと思いましたが、どうやら本当にタイトルマッチが行われたようです。国際プロレスの地方タイトル戦など取材に来たマスコミもおらず結果だけ…。
11月21日岩手県水沢市(現在の奥州市)体育館で草津&井上組がリターンマッチを挑みましたが1−1から両チームリングアウトで逃げられ、12月2日横浜文化体育館での金網デスマッチで草津&井上組がベルトを取り返しています。
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