81年全日本プロレス「スーパー・ファイト・シリーズ」後半戦の振り返りです。
前半戦特別参加のリッキー・スティムボートは9月2日新潟県上越市北厚生会館大会を最後に帰国しています。第13戦は9月4日大阪府立体育会館(テレビ収録、観衆6,600人発表)大会。
この日はダブル・メインイベントとして2大タイトルマッチが組まれています。ダブルメインイベント第2試合は鶴田のUNヘビー級王座に国際プロレスから転じてきた「放浪の殺し屋」ジプシー・ジョーが挑戦した60分3本勝負。
1本目は場外でジョーが持ち出したイスを鶴田が奪い取ってイス攻撃の逆襲、素早くリングインした鶴田がリングアウト勝ち。2本目はジョーが凶器攻撃で鶴田を額から流血させてコーナーポスト最上段からのフライング・ニードロップからの体固め、決勝の3本目、流血のダメージの残る鶴田でしたが長身を活かして軽量のジョーをカナディアン・バックブリーカーで軽々と担ぎ上げ、とどめは逆エビ固め。
1本は取られましたが終わってみれば鶴田の完勝、2−1で鶴田が4度目のタイトル防衛に成功しています。
ダブルメイン第1試合はミル・マスカラスのIWA世界ヘビー級王座にチャボ・ゲレロが挑戦した60分3本勝負。
マスカラスの保持しているIWA世界ヘビー級王座は、75年にNWFを前年クローズしたジョニー・パワーズと共同オーナーのペドロ・マルチネスがMLBのシカゴ・ホワイトソックスのオーナーであり、全米バスケットボールとWFLの全試合の放映権を有しており、米ABC系列の放送局で番組を流してて巨万の富を稼いだ富豪エディ・アイホーンをオーナーに旗揚げされた団体でした。
マスカラスはIWAのエースとして1月19日に王座決定トーナメントでユーゴ・バビッチを破って初代王者に認定されたとされ、IWAはWWWFの本拠地であるアメリカ東部地区に侵攻を開始。
7月10日ニューヨークからはハドソン川を挟んで目の鼻の先にあるニュージャージー州ジャージーシティ・ルーズベルト・スタジアムで22,000人の大観衆を集めビッグマッチを開催。
メインイベントはマスカラスとWWWFから引き抜いたイワン・コロフのIWA世界ヘビー級選手権試合で1−1から両者リングアウトの引き分け。
興行戦争を仕掛けられたWWWFは2日後の7月12日ニューヨークMSG定期戦でブルーノ・サンマルチノにジョージ・スチールが挑戦したWWWFヘビー級選手権試合をメインイベントにこちらも22,000人(超満員発表)の観客を動員、試合は46分11秒、午後11時を過ぎてしまい、ニューヨークの市条例によりカーフューストップの引き分けに終わりました。
翌月の8月も興行戦争があり、IWAは8月7日ルーズベルト・スタジアムでマスカラスvsアーニー・ラッドのIWA世界ヘビー級選手権試合をメインに開催、しかし15,000人発表と前回を大きく動員を下回りました。(反則含みでマスカラスが2−1で勝利し防衛)
WWWFは前回同様2日後の8月9日にMSG定期戦を開催、サンマルチノとGスチールのWWWFヘビー級選手権試合の再戦で17分28秒、サンマルチノが体固めでフォール勝ちし防衛。
IWAとの興行戦争に打ち勝つ為にプロモーターのビンス・マクマホン・シニアは友好関係にあるAWAから帝王バーン・ガニアをゲストに招聘、アンドレ・ザ・ジャイアントとの師弟タッグでジミー&ジョニーのザ・バリアント・ブラザーズを撃破しています。
MSGは22,000人超満員+地下シアターでのクローズドサーキット(同時中継)に3,000人も入り合計25,000人を集め、2回目にして「勝負あった」となりました。
ちなみにロサンゼルスで8月1日にハリウッド・ブロンドスを相手に坂口征二と組んで北米タッグ王座防衛戦を行った(1−1からノーコンテストでタイトル預かり)猪木がIWAとWWWFの両大会を視察しています。
9月1日にIWAが3度目のルーズベルト・スタジアム大会を開催。先月反則絡みで完全決着がついていないマスカラスvsラッドのIWA世界ヘビー級選手権試合の再戦が今度は1本勝負で争われ、16分11秒、体固めでマスカラスがフォール勝ちしましたが観客は8,000人発表で大コケしIWAはルーズベルト・スタジアムから撤退。
興行戦争に敗れたIWAは急失速、パワーズとマルチネスはオーナーのアイホーンに追加の資金援助を依頼しましたが断られて年内で活動休止となりました。
マスカラスは翌76年1月の「新春ジャイアント・シリーズ」で全日本プロレスに復帰しました。マスカラスは73年10月から86年5月まで全日本プロレスにレギュラー参戦していますが来日がなかったのはこの75年と84年の2回だけです。IWA活動休止後もベルトはマスカラスの個人所有で王者を名乗り続けていました。
マスカラスvsチャボは1本目はチャボがドロップキックからウラカンラナ狙いでマスカラスの両肩に飛び乗りましたがマスカラスがバランスを崩してそのまま場外に転落し両者リングアウトとなり1−1。
決勝の2本目はチャボのモンキーフリップをはたき落としたマスカラスがブレーンバスターから体固めでフォール勝ち。2−1でマスカラスがタイトル防衛を果たしています。
「相手の技を受けない」マスカラスらしい勝ち方だったと言えます。
セミ前のドスカラスとアニバルによるNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座挑戦者決定戦30分1本勝負は体格で優るドスカラスがブレーンバスターからの体固めでフォール勝し、9月7日福山市体育館でのチャボへの挑戦権を手にしました。(この項続く)
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