A24の新作にして、今年のアカデミー賞で最多11部門にノミネート中の映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(通称『エブエブ』)を見て来ました。
想像の斜め上を行くかのような奇想天外な映画で、見終わったあとも呆気にとられましたが、これは面白かった。アイデアと、俳優が素晴らしい映画です。
【物語】
アメリカ。中国からの移民でコインランドリーを営むエブリン(ミシェール・ヨー)は、優しいが頼りない夫(キー・ホイ・クァン)や反抗期の娘、頑固な父と暮らしていた。コインランドリーの経営は火の車であった。
国税庁に控除の申請に行ったエブリンは突然、エレベーターの中で夫に衝撃の事実を告げられる。それは、この世界がマルチバースの一つであり、重大な危機が迫っていて、エブリンは救世主であるというものだった。
…こういう真面目にフザケた映画が賞レースで高く評価されるのは、『マルコヴィッチの穴』以来だと思うのですが、少なくとも『マルコヴィッチ』の100倍くらいは奇想天外です。それなのに、映画の根底には深い家族愛があり、人類の存在意義を覆すようなSF設定と混在して、キャッチコピー通りのカオスと化しています。それでいて面白い!
ミシェール・ヨーは多作な女優ですが、これは集大成と呼んで良いでしょう。
カンフー・アクションが良いのは言うまでもなく、今回はさらに母親役として円熟味を感じさせて立派です。年の取り方も素敵でした。
奇跡のカムバックを果たしたキー・ホイ・クァンも素晴らしい。
ミシェール・ヨーを食うほどのキレのいいアクションを見せてくれます。
『グーニーズ』『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』を見て育った身としては泣けてきます。
『ブレードランナー』の”眼医者”ことジェームズ・ホン(94歳!)もいいし、忘れてはいけないジェイミー・リー・カーティスも大怪演です。
アカデミー作品賞候補の映画を全部見た訳ではありませんが、目下のところこの映画がNo.1です。★★★★。
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