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2022年10月06日21:24

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愛知の旅�А前豕�"あいち2022"、ある出会い

国際芸術祭「あいち2022」については、名古屋中心部、常滑、そして有松と足を運び、分けてレポートしてきた。

 ・愛知県芸術劇場https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983257088&owner_id=3341406
 ・常滑https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983271291&owner_id=3341406
 ・有松https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1983385341&owner_id=3341406

盛夏の7/30に始まった長い芸術祭は、秋の気配も濃くなった10/10に終わる。という事で、その前にと、唯一行っていない一宮市の展開を観にいった。

一宮市は愛知県の北西の端にあり、「尾張地方」(名古屋市を含む)の中核市の1つである。
江戸時代から織物生産が盛んになり、時の趨勢により織物の内容(絹,綿,毛)は変化しつつも、「織物の町一宮」というイメージは続いてきた。
だが、今回あいち2022の拠点として利用された施設は、実際に歩いてみると、使われなくなったものも多く、将来的な問題を孕んでいるようにも思えた。

新幹線で名古屋迄行き、JR東海道本線の快速に乗り換えると約10分で尾張一宮駅に着く。
駅を降りて東へ繁華街を5分程歩くと市役所周辺のエリアになる。
一宮本町商店街は立派なアーケードがあり、その中に「オリナス一宮」という、石造りのファサードを持った立派な建物(*)がある。1924(大正13)年に名古屋銀行一宮支店として建てられたものだが、改修され、2016年に多目的施設としてオープンした。「オリナス」という造語は、一宮らしく「織り成す」から来ている。

(*)設計者は静岡県出身の鈴木禎次(1870-1941)。夏目漱石の妻鏡子の妹と結婚した縁で、雑司ヶ谷霊園の漱石の墓標も設計した。
残念ながらファサードの上半分はアーケードに隠れて見えない。

オリナス一宮では、愛知県と縁の深い奈良美智(1959- )の絵画及び造形作品を観る事ができる。
中でも真ん中の1室を与えられているのが《Fountain of Life》(2001/2022)である。「生命の泉」とでも訳せばいいか。
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素材はFRP。
水の溜まったコーヒーカップに、幼な子達の頭部が重なりあっている。水の仕掛けで、彼等彼女等の目からは涙が流れているように見えるという事らしいが、私の行った時間には流れていなかったような気がする。
幼な子等が何に対して涙を流しているのかは想像するしかない。新型コロナで亡くなった人達かもしれないし、ウクライナで不条理な死を遂げた人達かもしれない。
左壁に窓を切ってあって、その外から覗き見る事もできる。
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オリナス一宮の裏手には一宮市役所の14階建て本庁舎ビルがあるが、そのS字にくねった西側導入路を「つむぎロード」と呼ぶらしい。
ロードとオリナス一宮の間の公園には公衆トイレがあるが、その壁をバリー・マッギー(1966- /アメリカ)が作品にしている。
《無題(つむぎロード)》(2022)
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派手なカラーを使用した幾何学模様やコミカルな人の顔。マッギー自身の顔か?

これを観ている時、オリナスの方からひょろっとある人物がやってきた。
ぼさぼさ頭に白髪の目立つ無精髭、ティーシャツと中途半端なパンツ(バミューダショーツ?)。NHK-Eテレの「日曜美術館」、9/4放送のゲルハルト・リヒター特集にも、色こそ違うがほぼこの格好でゲスト出演していた。
「現代アートの雄」と言うべきか「問題児」と言うべきか、会田誠(1965- )である。
同行していた黒い服の女性は妻で現代美術家の岡田裕子(1970- )かと思うが、こちらは自信がない。
周囲の人達は会田に全く気付いていないようだった。
マッギーの壁に近寄り、めくれたところを触りながら、素材は何かな、みたいな事を女性と会話していた。
彼も全くのプライベートで来ているのだろうし、
衆目の前で「アイダマコトさんですね!ファンです、握手させて下さい」とか、「写真撮らせて下さい」みたいな事はちょっと言えないので、遠慮して写真も後ろ姿1枚のみ。
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たまたま行くコースとペースが同じせいで、しばらく相前後しつつ歩く事となった。こういうのを”ご一緒した”とは言わないだろうが。(笑)

市役所1階ロビーには造形作家で繊維研究家の眞田岳彦(1962- )の作品《白維(はくい)》(2022)が展示されている。
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これは300人程の市民が参加したプロジェクトによる作品で、羊毛を「縒り(より)」「綯い(ない)」、次第に太くして綱にし、更に、写真の如く太い木に組みあげた由。一宮ならではの作品である。
木の枝々は天へと連なっている。
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本町商店街に戻って北へ歩くとじきアーケイドはなくなり、更に真っ直ぐ行くと、「一宮」の名の元となった豪壮な真清田(ますみだ)神社と背後の森が見えてくる。
門前の中店通り(閉まっている店が多い)をクランクして右手に回ると、5階建ての「旧一宮市立中央看護専門学校」の脇に出る。
名の通り看護師養成の施設だが、1991年オープン、昨2021年に閉校となった。
中には、配水関係やベッド、会議室等、まだ様々な設備が残っていて、それらを活用している作品もある。

ここで一番異彩を放っているのは、解剖学標本室だった部屋と附属のガラスケースを使った塩田千春(1972- )の《標本室》(2022)だった。
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塩田千春はベルリンを拠点にして世界で活躍、2015年にはヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表となり、2019年には森美術館で個展「魂がふるえる」が開催された。
その時のまさに「ふるえる」ような感覚は、今も心中に生々しく残っている。
以下レポート参。
 その1)https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972835752&owner_id=3341406
 その2)https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972841172&owner_id=3341406

その2)でも書いたが、彼女は2005年に卵巣がんが見つかり、2017年には再発した。1回目には卵巣を残す手術をし、娘を出産、2回目では全部摘出する事となった。娘さんは現在13歳になる筈。

展示室のモチーフは、増殖する細胞、毛細血管から大動脈、日を追って成長する胎児、自在に許容する子宮、心臓、肺、大小様々な臓器。
細胞分割の果てに己の生命を崩壊させる、増殖の矛盾。
複雑な臓器の中をいくら凝らしても見えない生命、魂は一体何処にあるのか。
生と死の境界は何処にあるのか。

旧一宮市立中央看護専門学校の展示には、新しい性にまつわるもの、自然と人間、先住民に関係するもの等々、多様な作品があった。


(続く)
 
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