日泰寺に橘宗一の墓を訪ねたあと、栄にある愛知芸術文化センター内の愛知県美術館へ移動。
「芸術の不自由展」ののち、「愛知トリエンナーレ」は国際芸術祭「あいち2022」と名称を変えた。
今回のキャッチコピーは「STILL ALIVE 〜 今、を生き抜くアートのちから」である。
芸術監督は森美術館館長の片岡真美。
・会期 7/30〜10/10
このコピーは、愛知県刈谷市出身のコンセプチュアル・アーティスト河原温(かわらおん/1932-2014)の作品から着想を得ている。
1970年から彼は「I AM STILL ALIVE (ワタシハ マダ イキテイル) ON KAWARA」と打った電報を、30年間に900通、ヴォ―ゲル夫妻を始めとして世界の知人・コレクター等に送った。これが、本展に展示された河原の作品の一群である。
下はソル・ルウィット宛1970年2/11付け電報そのもの。
電報を受け取った人は、何を思ったろうか。
近くにいても会いたい人に会えないパンデミック下であったら、どうだったろうか。
これらの電報を今回どのようにして蒐集し、”芸術作品”にしたかは分からないが、愛知県美術館の彼の1室には、それらがガラスケースの中にズラリと並べられた。
この電報が始まる前年1969年、河原はパリの展覧会主催者に英語で3通の電報を送った、「ワタシハ ジサツスル キハナイ。シンパイ スルナ。」(12/5)、「ワタシハ ジサツスル キハナイ。シンパイ セヨ。」(12/8)、「ワタシハ ネムロウト シテイル。ワスレヨ。」(12/11)。
そして、それ以降、文面は「I AM STILL ALIVE」に固定された。
「I AM STILL ALIVE」という1文は、死に密接につながっている。
この電報は、時間や空間を超え、アートとなって生存の根源的な意味を人々に考えさせる。
このタイトルの下、「あいち2022」には32ヶ国から100組のアーティストが作品を出品した。
ローマン・オンダック(1966- /スロバキア)の作品。
《イヴェント・ホライズン(事象の地平面)》(2016)
同じ厚さで100枚連続的にカットした1本のカシの木の幹を床に置き、毎日1枚ずつ引き抜いて壁に掛けていく。
壁に次第に現れていく1917〜2016年の年輪は、その年の輪が黒色の線で強調され、様々な人類の歴史的出来事が刻印されている。
例えば、1918年は第1次世界大戦終結。1986年はチェルノブイリ原発事故、1991年はソヴィエト連邦崩壊、等々。
「あいち2022」最終日の10/10には全部のカットピースが壁に掛けられ、床には何もなくなる。
2022年のそれがあれば、ウクライナ侵略と黒々と刻印されただろう。
謂わば「年輪の俯瞰図」となった人類の営為の歴史は、1本のカシの木の歩みに等しいと言えるかもしれない。
もう少しゆっくりできれば良かったのだが、コンサート迄に時間のゆとりがなく、慌ただしく走って観て回る事となった。
ただフリーチケットを購入したので、また時間を見つけて観にこようと思っている。
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