本稿の投稿に先立ち、さる8月9日、モハメド・アリvs猪木の「格闘技世界一決定戦」のレフェリーを務めたジン・ラーベルさんが89歳でご逝去されました。謹んで哀悼の意を表します。
76年6月26日、日本武道館(テレビ収録、観衆14,500人超満員発表)で行われたアリvs猪木、「格闘技世界一決定戦」チケット代はロイヤルシート300,000円(一般未発売)、特別リングサイド100,000円、以降80,000円、60,000円ときで一番安い席でも5,000円という当時では破格の値段でした。
試合は3分15ラウンド、判定による勝敗あり。レフェリーはGラーベル、ジャッジはプロレス側から遠藤幸吉、ボクシング側から遠山甲。
両選手入場、アメリカ国歌は「天使のささやき」で有名な黒人女性ボーカルユニット、スリー・ディグリーズが斉唱、日本国国歌はテノール歌手の湯村潤一氏による独唱。猪木側のセコンドはカール・ゴッチ、坂口征二、山本小鉄。
アリ側にはマネージャーのフレッド・ブラッシー、他アンジェロ・ダンディ始め「アリ軍団」が取囲みます。
第1ラウンド、ゴングと同時に両者コーナーから飛び出す。猪木はやや低い体勢での構え、アリは低い体勢で構える。すぐさま猪木はスライディングからカニ挟み狙い、これはアリがステップバックしてかわしましたが猪木はそのまま起き上がらず、寝たままの体勢でアリをグラウンドに誘うポーズをするが、ボクサーのアリがこれに乗る訳もなく猪木の周囲をグルグル回る。
猪木は寝たままの状態からキックを放っていきましたが当たらず、立ち上がってカニ挟みを狙いましたがアリに下がられて決まらず。
第2ラウンド、猪木はカニ挟みにいきましたが不発、何度かトライしますが、アリは華麗なるステップでこれをかわす。猪木に向かって「立ってファイトしろ」とアピール、猪木は寝ながら両手で「来い」と誘いましたがアリはペロリと舌を出しました。これには客席から笑いが。猪木は計8回立ち上がり、ローキックを狙いましたが、当たらず。
第3ラウンド、猪木はカニ挟みはアリのフットワークには追いつけずと見て、右足からのローキックに先方を変更、アリの左膝裏から太ももにかけてヒット、しかしキックを放っては直ぐに寝る猪木にアリもパンチの打ちようがなく、苛立つアリは「カマン、イノキ!卑怯だぞ、かかってこい!」と言葉で挑発。
4オンスの薄いグローブを着用しているアリのパンチが一発でもクリーンヒットすれば猪木は危ない。猪木は挑発には乗らず、マットに腰を着けた状態で再三右足によるキックを見せていきます。
第4ラウンド、また寝る猪木、右足を飛ばしながらアリをコーナーに詰めていく。アリは軽妙なダンスを踊りながらこれをかわす。しかし2分過ぎ、猪木は再びアリをコーナーに詰めた。アリは両手でトップロープを掴みながら両足を宙に浮かせて足をバタバタさせるポーズ。レフェリーのGラーベルが間に入ってブレイク。アリのフットワークも徐々にスピードが落ちてきたか、猪木のローキックも当たるようになってきました。
第5ラウンド、寝たままの猪木にアリは目をひんむいて舌を出し、「アー・ユー・ガール?」(お前は女か?寝てばかりいやがって!=娼婦を連想させるセリフで現在では女性差別に該当するか?)と大声で挑発。リング下のアリ軍団も口汚く猪木を罵る。客席からは「アリ、アリ!」とアリコールが発生、それを赤グローブ着用で両手を振って応えるアリ。最初は猪木の作戦に納得し、緊張して見守っていた観客も、同じ展開の連続にダレてきたか、集中力が散漫になってきました。
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