75年新日本プロレス夏の陣「サマー・ファイト・シリーズ」は7月4日、後楽園ホールで開幕。ハンス・シュミット、ブルート・バーナード、ギルス・ポイゾン、ブル・グレゴリー、アリババ、ジン・ルイスの外国人勢が参戦。
新日本プロレス初参戦となる「地獄の料理人」元祖シュミット式バックブリーカー、シュミットと1月の「新春黄金シリーズ」終盤戦に特別参加して以来、5か月ぶり2度目の新日本プロレス登場となる「野獣」バーナードがタッグを結成しての複数エースとして来日。
シュミットは67年3月、日本プロレス「MSGシリーズ」、68年1月、国際プロレス「オープニング・ワールド・シリーズ」以来7年半ぶり3度目の来日。前回の国際プロレスヘの参戦では、デビュー2シリーズ目の小林省三時代にのストロング小林と対戦、30分時間切れ引き分けの記録が残っていますが、TBS体制になって初のシリーズだったこともあり、未来のエースに花を持たせてあげたと思われます。
バーナードは前回はシリーズ終盤1週間の特別参加でしたが今回はフル参戦。S小林とは2月1日、愛知県常滑市体育館で1度だけタッグで対戦したのみでしたが今回はシングルマッチが実現するか?
ポイゾンは70年9月、日本プロレスにピエール・レ・グランのリングネームで初来日した大型のフレンチカナディアンのレスラー。71年3月の「第3回IWAワールド・シリーズ」にマスクマンのザ・カナディアンとして国際プロレスに来日もS小林はアメリカ武者修行中であり対戦していません。73年4月、「ダイナマイト・シリーズ」に素顔でバスター・マシューズのリングネームで国際プロレスに再来日し、この時にS小林と対戦しています。
初来日外国人レスラーが3人。グレゴリーは生年不詳のカナダ・ケベック州モントリオール出身、5月にモントリオールで坂口征二とシングルマッチで対戦し敗れています。
グレゴリーのパートナーであるアリババは生年不詳、ハンガリー出身で学生時代はアマレスのグレコローマンスタイルでジュニアオリンピック出場の経験のある強者。70年にアメリカでプロレス入りしロサンゼルスでデビュー。この時はモントリオールルートからの来日で、来日前に新日本プロレスからマスコミに配布された資料では「オザーク・モルナー」というリングネームになっていましたが、現地ではアリババの名前で活躍しており、来日してからはアリババを名乗って試合していました。
ルイスは49年アメリカ・ニュージャージー州出身の当時26歳、アメリカンフットボールからプロレス入りし、日本プロレス、国際プロレスに来日したデール・ルイスの弟としてジン・ルイスを名乗りました。フロリダからカナダのモントリオールヘ転戦し、5月にモントリオールに来た猪木、坂口にその素質を見込まれて初来日のオファーがかかりました。
なお、ルイスはテキサス州ダラスのフリッツ・フォン・エリックのプロモーションで髪の毛を剃って辮髪を残したモンゴリアン・ギミックに変身、後の83年11月の全日本プロレス「世界最強タッグ決定リーグ戦」にザ・モンゴリアンのリングネームで来日、鶴見五郎と組んで参戦。85年6月にはカウボーイ・ギミックのテキサス・レッドを名乗りジャパンプロレス提携時代の全日本プロレスに再登場、この時はスタン・ハンセンのパートナーに抜擢されて鶴田&天龍組のインターナショナル・タッグ王座に挑戦しています。
他にもフロリダでは「カルマ」というリングネームでケビン・サリバン率いる怪奇派軍団の一員となったり、WWFでは「カズン・ルーク」を名乗り、ヒルビリー・ジム、アンクル・エルマー(ザ・コンビクトことスタン・フレイザー)らの農夫ファミリー入りしたり、売れる為に何回もギミックを変えた苦労人と言っていいですが、結局メインイベンターにはなれずに終わりました。
このシリーズ、先シリーズ最終戦、6月26日、蔵前国技館でタイガー・ジェット・シンを破って王座返り咲きを果たした猪木のNWF世界ヘビー級王座の初防衛戦はなし。
シュミットが1925年カナダ・ケベック州ジョリエッテ出身の当時50歳、バーナードが1921年、モントリオール出身の当時54歳とロートルの部類に入っていたこともありNWF世界ヘビー級王座への挑戦者には選ばれず、シリーズ最終戦の7月30日、大阪府立体育会館で猪木&坂口組の北米タッグ王座に両者がタッグを組んで挑戦。タイトルマッチは今シリーズこれ1回のみ。
今シリーズの参加外国人レスラー全員がモントリオーのジョニー・ルージョーからのブッキングであること、また、参加外国人レスラー6人中、シュミット、バーナード、グレゴリー、アリババの4人がスキンヘッドという異色のシリーズになりました。
全日本プロレスとの興行戦争、全日本プロレスは同時期の7月5日、千葉県流山市文化会館から「サマー・アクション・シリーズ」が開幕。今シリーズ、後楽園ホールの興行はなく、シリーズ最終戦は7月25日、日大講堂で開催されますが、新日本プロレスは同時期に東京の大会場での興行はありません。
大阪府立体育会館が先攻の全日本プロレスが7月9日、新日本プロレスが最終戦7月30日となります。
開幕戦、7月4日、後楽園ホール(テレビ生中継、観衆1,800人発表)大会。メインイベントは猪木がポイゾンと対戦するシングルマッチ60分1本勝負、10分28秒、猪木がジャパニーズ・レッグロールクラッチ・ホールド(回転足折り固め)でフォール勝ち。
S小林はセミファイナルで星野勘太郎とタッグを組んで、シュミット&バーナード組と45分3本勝負で対戦。共に50歳越えのシュミット&バーナード組は反則プレーを巧みに使い若いS小林&星野組を翻弄。
1本目は14分12秒、バーナードが星野を体固め、2本目は5分57秒シュミットの元祖シュミット式バックブリーカーがS小林に炸裂、体固めでフォール負けを喫し、2−0でシュミット&バーナード組がストレート勝ちを収めています。
坂口はルイスを8分19秒、体固めで撃破、なお、この試合で坂口は新技ジャンピング・ニーアタックを初披露。グレゴリー&アリババ組は山本小鉄&永源遙組と対戦、13分12秒、グレゴリーが永源を体固めで破りました。
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