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2021年12月10日07:05

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ジャンボ鶴田怪物伝説(964)

88年「エキサイト・シリーズ」最大のビッグマッチ、3月9日、横浜文化体育館(テレビ収録、観衆4,350人満員発表)大会。水曜日開催で都内からは少し距離のある横浜文体大会でしたが、シリーズ中唯一の大場所とあって沢山の観客が詰めかけました。

メインイベントはPWFヘビー級王者、スタン・ハンセンとUNヘビー級選手権王者天龍によるダブル・タイトルマッチ60分1本勝負

3月5日の秋田大会で龍原砲のサンドイッチ式ラリアット、サンドイッチ式延髄斬りの波状攻撃を受けて失神、意識が回復した後は狂ったように暴れまくったハンセンとしては恥を掻かされた恨みを晴らさんと攻め込んでいきましたが、空回りしてやや雑な試合ぶり。

そこを冷静に見ていた天龍はハンセンにロープに振られてショルダースルーに来ようと身体を前傾姿勢にしたところを、咄嗟に首固めに丸め込み、14分40秒、カウント3が入り天龍がフォール勝ち。天龍がUNヘビー級王座7度目の防衛に成功すると同時にPWFヘビー級王座を獲得、第13代王者になりました。日本人王者としては馬場、長州力に次ぐ3人目ですが、全日本プロレス所属としては馬場に次ぐ2人目。

天龍は丸めこみとは言え、ハンセンから初のフォール勝ちと同時に、「ダブル・タイトルマッチではベルト移動せず」の不文律を破りました。全日本プロレスのリングで行なわれたダブル・タイトルマッチでピンフォール決着がついたのはこれより10年半前の77年10月29日、栃木県黒磯市公会堂でのPWFヘビー級王者、馬場vsアジア・ヘビー級王者、大木金太郎の一戦で15分21秒、馬場がカウンターの16文キック連発からの片エビ固めで勝ち、二冠になって以来ですが、馬場がアジアを封印してしまったところから、アジア王座に脚光を浴びることはありませんでした。

今回は天龍が「ジャンボのお古のベルト」と言っていたUNヘビー級王座が全日本プロレスの旗揚げ時から馬場の代名詞だったPWFヘビー級王座と肩を並べたという意味では歴史的快挙と言っていいでしょう。

日本プロレス時代から猪木、坂口征二、高千穂明久(カブキ)、全日本で復活してからは鶴田、天龍と団体ナンバー2が巻いていたUNヘビー級王座の格が天龍によって上げられた一戦でした。

馬場はこれを機に、PWF、UNに鶴田の保持しているインターナショナル・ヘビー級の王座を含めた三冠王座統一ロードをスタートさせていくことになります。

背景にはビンス・マクマホンのWWFによる全米侵攻が着々と進み、ローカルテリトリーが弱体化、或いはプロモーターの廃業が目立ち、これまで馬場が「錦の御旗」のように権威にすがってきたNWAが事実上ミッドアトランティック地区のジム・クロケットプロの1社独占となったことで、クロケットもビンスの侵攻に防戦一方となり86年10月、87年10月とリック・フレアーの来日がキャンセルされ、(87年の時はロニー・ガービンに敗れNWA世界ヘビー級王者ではなかった)自分のテリトリーを守るのが精一杯。

さらにバーン・ガニアがオーナーであるAWAは大量の選手をWWFに引き抜かれて、チャンピオンのカート・ヘニングは先の「新春ジャイアント・シリーズ」に来日しましたが、鶴田、天龍、谷津らは挑戦せず、1月2日、後楽園ホールでタイガーマスクが挑戦しリングアウト負けでベルトを守りましたが、扱いは過去の全日本プロレスに来日したAWA世界王者よりも最も悪かったです。

馬場は前86年9月のNWA総会で第1副会長に再任されていますが、第2副会長はプエルトリコのカルロス・コロンであり、アメリカ国内のNWA加盟プロモーターでは会長のクロケット以外にはもはや力のあるプロモーターは存在しなくなったことを意味し、馬場がNWAとAWAに見切りをつけ、自分達で新しい権威を創造していこうとシフトチェンジしたのが、三冠王座統一ロードと言う訳です。

また、馬場の全日本プロレスは新日本プロレス、国際プロレスに比べ、馬場の対外的信用力と豊富な日本テレビマネーによりトップクラスの外国人選手のキャンセルが少ないことで知られていますが、真にやむを得ない理由以外でのフレアーのキャンセル2回は馬場のプライドが著しく傷付けられたことは間違いないかと思います。

新日本プロレスのIWGPは、既存のベルトを返上、封印することで全く新しいタイトルを創設しましたが、全日本プロレスは力道山以来の歴史と伝統を誇るインターナショナル・ヘビー級、猪木、坂口、高千穂、鶴田、天龍と日本プロレス以来、団体の2番手が保持していたUNヘビー級、馬場の代名詞であり、百田家より寄贈された力道山所縁のインターナショナル王座のベルトを復活させて作った(力道山ベルトは馬場には小さ過ぎて直ぐに作り直されたが)PWFヘビー級王座と、長年ファンに認知されてきたいずれも権威あるベルトだけに、馬場の三冠王座統一構想は十分に説得力があるものでした。

セミファイナル、タイガーマスク猛虎七番勝負最終戦、対鶴田戦以下の模様は次回お送り致します。
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