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2021年02月12日19:35

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生きにくさの中の光 『すばらしき世界』

西川美和監督、役所広司主演による映画『すばらしき世界』を見て来ました。

先週『無頼』『ヤクザと家族』を見てから、似た系統の映画を続けて見ています。
『すばらしき世界』もそんな映画で、ヤクザを辞めた男の再生の物語です。

この世相にあって、こういう映画が続くということは、何となく偶然ではない気もします。

【物語】
元ヤクザだった男・三上正男(役所広司)が、13年の刑期を終えて出所する。
身元引受人の弁護士の先生(橋爪功)を頼って上京した正男は、自身に興味を持って近づいてて来たテレビ作家の津乃田(仲野大賀)と出会う。
正職につけず、生活保護を受け、それでも必死にカタギになろうとする正男を、津乃田は見つめていく。

…役所広司の他にもベテラン勢が周りを固めています。
かつて主人公と兄弟分だった現役ヤクザに白竜、その妻にキムラ緑子。計算高いTV局員に長澤まさみ、などなど。

主人公の良き理解者になっていくスーパー店長=六角精児がいい。役や演技というよりは、「地」が出ている感じです。

中でも光っているのが、市役所の福祉課職員役の北村有起哉。最初は典型的な窓口公務員だった彼が、主人公の必死さに少しずつ歩み寄っていく姿がしみじみと良いです。この人は『ヤクザと家族』でも良かったけれど、こういう素朴な役でもしっかり存在感があります。

けれどもやはり、この映画は役所広司を見るための映画でしょう。この人がいなければ成立しなかった映画。『キツツキと雨』とならぶ、これは彼の代表作になりそうです。

生きにくさに満ちた世の中で、ちょっとした光を見たような映画。
それだけに、あのラストはあれで良かったのかどうか。迷うところです。

★★★★。
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