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2021年02月05日19:48

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ヤクザ映画の良作2本ハシゴ 『ヤクザと家族』『無頼』

ヤクザ映画の新作2本が別々の劇場で封切られたので、ハシゴして見て来ました。

かたや新進気鋭の監督作、一方はベテラン監督の作品。どちらも年代記であり、ヤクザと家族を描いているものの、まるで印象の異なる映画でした。

共通点は、どちらも2時間半近い力作であることと、その上映時間をまったく感じさせない良作であること、でした。

●『ヤクザと家族 The Family』(藤井道人監督)
1990年代の終わり。チンピラの賢治(綾野剛)は、柴咲組の組長(舘ひろし)を助けたことから目をかけられ、組入りする。
2000年代半ば、組の幹部として出世した賢治だが、抗争の火種を作ってしまい、収監されることに。
2019年。出所した賢治は、ヤクザが徹底して排除される社会を目の当たりにし、衝撃を受ける。

…監督の藤井道人は、近作『新聞記者』が鋭かった才人。
親子の盃を交わした組長と若手組員が疑似的な親子関係を結びながら、本当の親子以上の絆を育てていくも、崩壊への道を辿っていく悲劇を見事に描いて見せます。

キレた役がいつもうまい綾野剛、優しさとユーモアをたたえた舘ひろしもいいけれど、組の大幹部=中村役の北村有起哉の苦悩もいいし、悪玉の2人(豊原功補と岩松了)も絶品の外道ぶり。主人公のDNAを受け継いでいく青年・翼を演じた磯村勇斗も光ってました。役者がみんないい。

過去をワイドスクリーンで、現在をスタンダード・サイズで描き分ける工夫が施されています。スタンダードな現在の風景の方が冷たく見える。ガン細胞であるかのようにヤクザを容赦なく排除していく現代の描写に、非ワイドで高精細な画面はなぜか合っています。


●『無頼』(井筒和幸監督)
戦後。クズのような環境で育った正治(松本利夫)は、ヤクザとなり、やがて組長となる。高度経済成長を経て、時代が大きく動く中、正治の組も大きくなっていく。
バブル崩壊が迫る中、正治はある決断をする。

…こちらはベテラン井筒和幸監督の集大成的映画。
有名スターはほぼ出ていないのに、顔が印象的な役者揃いで飽きさせません。

『ヤクザと家族』が家族をテーマにしながらその崩壊を描いていたのに対して、こちらは家族の成立と繁栄を描いているようで、対照的でした。劇中には『仁義なき戦い』や『ゴッドファーザー』からの引用も登場し、映画そのものへのノスタルジーを感じさせる場面もあります。

登場人物が飯を食べているシーンが多いです(食事をちゃんと描く監督は信用することにしている)。生きるか死ぬかを賭けた男たちが、緊張感の中でドンブリ飯をわしわしと食っているというのは滑稽でもあるし、生々しさを感じます。

どちらの映画も★★★★。甲乙つけ難し!
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