短命に終わった第二東映による幻の映画『第三次世界大戦 四十一時間の恐怖』を、Amazon Prime Video でたまたま見つけ、我が家のホームシアターであわてて上映して見ました。
同じテーマの東宝特撮映画『世界大戦争』(1961)の方が有名ですが、低予算ながらこちらにも特撮シーンがあると本で読んでいたので、ちょっと緊張しながらの鑑賞でした。
1960(昭和35)年、第二東映の作品。モノクロ・シネマスコープです。
【物語】
米ソ間の緊張が急速に高まる中、新聞記者の正木(梅宮辰夫)は、婚約者の看護師・知子(三田佳子)がなかなか結婚に前向きにならないので焦り始めていた。
そんな中、北朝鮮軍が38度線付近で水爆を搭載した米軍機を撃墜。世界各地で戦闘が始まり、ついに核戦争が勃発する。
…76分という短い映画ながら、東京に暮らす市井の人びとを丁寧に描いていて、それだけに核戦争勃発からのパニックは凄惨でした。東宝版『世界大戦争』が特撮に重きを置いていたのに対し、こちらは人間ドラマが濃い印象です。
ラスト、モスクワ放送が日本国民に向けて最後通牒をラジオ放送する冷徹さが際立っています。核爆発後、焦土と化す東京の描写はさすがに低予算からか、物足りなさはありました。
主演は梅宮辰夫と三田佳子というもの凄いコンビ。『世界大戦争』では笠智衆がいい味を出していましたが、こちらでは加藤嘉が似たようなポジションでした。
核戦争への恐怖がじわじわと市民の間に浸透していく姿は、新型肺炎による不安が広まる昨今と、どこか通ずるものがありました。★★★。
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