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2016年12月04日00:07

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スーツ姿の金田一耕助映画 2本立て

東宝が戦後に製作した金田一耕助映画2本、『吸血蛾』と『幽霊男』を、台湾盤DVDで見ました。

この2本、いずれも国内盤DVDが東宝から出ているものの、廉価にならず(1本5,000円程度)。
廉価版が出る気配もないので、台湾から激安DVDを取り寄せたものです。


●『幽霊男』 (1954・昭和29年)

ヌードモデルの斡旋事務所に所属するモデルたちが次々と殺されるという連続殺人事件が発生。名探偵・金田一耕助(河津清三郎)が事件に挑む。

都会のど真ん中で続発する猟奇的な連続殺人、テープレコーダーや街頭放送を使った大胆な犯行予告など、ゾクゾクする展開なのが面白い佳作。原作短編の雰囲気を良く出しています。

河津清三郎扮する3代目金田一耕助は、同時代の東映=片岡千恵蔵版を踏襲し、スーツ姿で拳銃(ブローニングM1910)も携帯。ちょっとキザで尊大なキャラクターとして描かれています。

大映版『毒蛇島奇談 女王蜂』で2代目金田一耕助に扮した岡譲司が重要なキャラクターとして出演。同時代の金田一役者が2人出てくるという大盤振る舞いです。

監督は『ゴジラの逆襲』の小田基義。見て損はなし!★★★。


●『吸血蛾』(1956・昭和31年)

ファッション・デザイナー業界の確執から起こる連続殺人。正体不明の”狼男”が都会を恐怖に陥れる中、名探偵・金田一耕助(池部良)の推理が展開する。

のちに新東宝で怪奇映画の傑作を次々手掛ける中川信夫が監督。猟奇色ではNo.1のショッキングなスリラーです。

4代目金田一耕助を演じるのは池部良。おそらく映像化された歴代金田一の中でも1番の2枚目ぶり。でもコートはヨレヨレで、雰囲気は刑事コロンボのようです。

なぜ金田一耕助がこの事件に関わったのか(誰に依頼されたのか)が結局分からず、金田一の存在感も非常に薄いのが特徴です。

2役を演じた東野英次郎は、のちの市川崑版『獄門島』などでも顔を見せる名優。衝撃的な珍役で登場するのが見どころです。

切り落とされた両脚によるダンス・ショーなど、今見てもグロテスクなシーンが満載。こちらも良作でした。

★★★。


…ところでこの台湾盤DVD−BOX(「金田一耕助特集」)、ほかにもう1本、大映の特撮映画『虹男』も収録しています。もちろん金田一耕助とも横溝正史とも無関係の作品。余ったスペースに入れてみました感がたっぷり。

しかも『幽霊男』のジャケット裏の解説が『吸血蛾』のものになっているし、誤植もあってツッコミ所満載です。ディスク内のメニュー画面は日本語と中国語が入り乱れる不思議さ。

版権を取得した正規品とのことですが、映画の巻頭の東宝マークはカットされており(いきなりタイトルから始まる)、画面の左上には小さくメーカーのロゴマークがずっと出っ放しです。

そのくせ画質は大変良好です。久しぶりに珍品DVDを当ててしまいました(良い意味で)。
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