NHKによる長谷川博己版「獄門島」を見て以来、金田一耕助づいています。
昨日は古谷一行版「本陣殺人事件」(1977)を久しぶりに鑑賞。
中尾彬=金田一の映画版も良作ですが、尺の長さもあり、じっくり描かれている古谷一行版もまた傑作です。
今日は市川崑監督・石坂浩二=金田一による東宝シリーズ第5作、『病院坂の首縊りの家』(1979)を見ています。
解決に20年を有した長大で複雑な原作を、コンパクトに(それでも140分近い長尺)映画化したもので、評価は様々ですが、個人的には傑作と見ています。
シリーズ屈指の病んだヒロイン、桜田淳子がいい。ニットの帽子が可愛いと思えば、対極にあるビッチのような女を行ったり来たり。病的ヒロインの極みです。
金田一耕助の助手的ポジションに位置する青年・黙太郎役の草刈正雄もいいです。
考え方が金田一に似ていて、金田一と共感し合う姿が印象的です。
緩急自在な市川崑監督の演出は、前作『女王蜂』で感じた窮屈さを微塵も感じさせず(『女王蜂』も大好きですが)、メリハリをつけてぐいぐい引っ張ります。
ラスト、病院坂から静かに去っていく金田一耕助の後ろ姿の寂しさよ。
石坂浩二でなければ出せない味わいでした。
★★★★。
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