84年は日米プロレス界において歴史的分岐点となった年です。日本では新日本プロレスが内部分裂を起こしUWFとジャパンプロレスが誕生、多団体時代ヘの第一歩を踏み出し、アメリカではWWFの全米侵攻がスタート、ローカルテリトリー制ヘの崩壊に繋がっていきます。
マイティ井上が所属する馬場の全日本プロレスもその大きなうねりの中に突入していくことになります。
1月2日後楽園ホールで「新春ジャイアント・シリーズ」が開幕。開幕戦では井上は三沢光晴とタッグを組み、石川敬士&このシリーズにフリー参戦した元国際プロレスのマッハ隼人組と対戦、12分26秒、隼人が三沢にリングアウト勝ちしています。他、メインイベントのスーパー・ヘビー級バトルロイヤルにも出場。
1月3日の第2戦でもメインイベントにスーパー・ヘビー級バトルロイヤルが行なわれていますが優勝したのは初来日でメキシコの軽量級「アカプルコの青い翼」リスマルクで、こちらは観客もビックリ!ヘビー級偏重の馬場がよくリスマルクを優勝させたと思いましたが、馬場はリスマルクを前83年8月に引退した新日本プロレスのタイガーマスク的存在にと考えていたフシがあったものの実現には至りませんでした。
第9戦の1月11日北海道立北見市体育センターでは三沢とタッグを組み、石川&今シリーズ凱旋帰国を果たしたマジック・ドラゴン(園田一治)組と対戦、井上とMドラゴンは初対決、10分59秒、Mドラゴンが三沢を体固めで降しています。
第11戦、1月13日北海道中標津青少年体育館では81年4月、末期の国際プロレスに初来日したスティーブ・オルソノスキーと2年8か月ぶりに対戦、鶴田のインターナショナル・ヘビー級王座ヘの挑戦者として来日したオルソノスキーに勝つことは出来ず9分26秒、逆さ押さえ込みでフォール負け。
シリーズ最終戦1月22日東京都東村山市スポーツセンターでは井上は阿修羅・原とのタッグでジプシー・ジョー&鶴見五郎とアジア・タッグ王座防衛戦を行い、14分41秒、コーナーポスト最上段に昇ったジョーを原がセカンドロープに飛び乗り、雪崩式ブレーンバスターで叩きつけ、体固めでフォール勝ち。原&井上組は7度目の防衛に成功しています。
今シリーズは前83年8月に初来日したテリー・ゴディがマイケル・ヘイズとのザ・ファビュラス・フリーバーズとして再来日、1月20日後楽園ホールでは馬場&鶴田組のインターナショナル・タッグ王座に挑みリングアウト負け。
最終戦の東村山でフリーバーズは鶴田&ザ・グレート・カブキ組と対戦、カブキの毒霧によりゴディが場外に転落し、13分2秒、フリーバーズのリングアウト負けとなりました。
次の「エキサイト・シリーズ」ですが、UNヘビー級王者として来日したデビッド・フォン・エリックが2月10日朝、宿舎である高輪東武ホテルで亡くなっていたところを発見されました。死因は急性腸炎と発表されています。享年25歳。
今シリーズにはNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王者チャボ・ゲレロが来日、井上は2月23日蔵前国技館、2月26日大阪府立体育会館と連続挑戦が決定し、王座獲得に専念する為、原とのタッグで保持していたアジア・タッグ王座を返上しています。
開幕戦で井上は渕正伸(正信)と組んでチャボ&ジェリー・モロー組と前哨戦で激突、11分49秒、チャボが渕をジャーマン・スープレックスホールドで破り、前哨戦は王者に軍配が上がりました。
井上が返上したアジア・タッグ王座は第6戦、2月16日長崎国際体育館で原&石川組がモロー&トーマス・アイビー組を破り王座獲得しています。
第12戦の2月23日蔵前国技館で井上はチャボのNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級王座に挑戦。チャボは井上の飛び技を封印すべく序盤から足を重点的に攻撃し足4の字固め。井上は5分近くギブアップせず粘りを見せましたが、レフェリーが自力での脱出困難、これ以上の試合続行は難しいとして17分1秒、試合終了のゴングを要請しレフェリーストップでチャボの勝ちを宣言、井上は初戦で無念の涙を飲んでいます。
他、デビッドの急死により空位になったUNヘビー級王座は天龍源一郎とリッキー・スティムボートとの間で王座決定戦が行われ、21分13秒、グラウンド・コブラツイストからのエビ固めで天龍がフォール勝ちし、初のシングルベルト戴冠を果たしました。
メインイベントはAWA世界ヘビー級王者ニック・ボックウィンクルとインターナショナル・ヘビー級王者鶴田のダブル・タイトルマッチで特別レフェリーは前83年8月に引退したテリー・ファンク。32分、鶴田のバックドロップホールドでカウント3が入りベルト移動。鶴田が日本人初のAWA世界ヘビー級王者となり、インターナショナル王座も3度目の防衛を果たし二冠王者となりました。
蔵前大会は2日後の2月25日午後7時30分より90分枠で「土曜トップスペシャル」で録画中継されました。
蔵前で一敗地にまみれた井上は第15戦の2月26日大阪府立体育会館での再戦に挑みました。ここで連敗するようなことがあればタイトル挑戦の機会はしばらく回ってこないでしょう。
蔵前の試合で足を痛めた井上は得意の軽快なフットワークが使えず苦戦、再びチャボの足殺し地獄を味わうことに…。チャボは撤退した足攻めから再び味4の字固め、しかし井上はこれを千載一遇のチャンスと待っており、下から首固め。ガッチリと離さずカウント3。15分16秒、井上がチャボからフォール勝ちしベルト移動。新王者となりました。
井上の返上に伴い新アジア・タッグ王者チームとなった原&石川組はスーパー・デストロイヤー�機��狭�(スコット&ビルのアーウィン兄弟)組と初防衛を行い、13分、石川が�宜罎鬟瀬ぅ咼鵐亜Ε椒妊�アタックからの片エビ固めで破り初防衛。
メインイベントは鶴田のAWA世界ヘビー級、インターナショナル・ヘビー級二冠にニックが挑戦したリターンマッチ。ニックの仕掛けた足4の字固めを鶴田が身体を回転させて両者場外に転落。場外ではニックは鶴田の足に攻撃を集中し、リングアウト寸前にリングへ戻ろうとしたが、鶴田がニックの足にしがみつき両者リングに戻れず28分9秒、両者リングアウトの引き分けで鶴田がAWA世界を初、インターは4度目のタイトル防衛を果たしました。
ニックは来日中にリターンマッチのチャンスはなく、ついに鶴田がAWA世界ヘビー級王者として北米サーキットを敢行することが決まりました。
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