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2023年01月31日06:02

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週プロ流智美あの日あの時予想2021年総括(22)

第188戦、6月2日発売号○【予選、正解】猪木、舌出し失神事件、IWGP優勝決定戦、vsハルク・ホーガン(83年新日本プロレス蔵前国技館)

【解説】6.2と言えばやはりこの1件を外す訳にはいかず。猪木が「日本選手権」、「格闘技世界一決定戦」の次にライフワークとして掲げたのがIWGP(インターナショナル・レスリング・グランプリ)。

「乱立するタイトルを一本化し真の世界王者を決める」80年12月13日、東京体育館のリング上で新間寿営業本部長よりその構想が発表されました。当初の構想では、世界マット界をアジア、アメリカ、北米(カナダ等)、ヨーロッパ、中南米(メキシコ等)、中近東(パキスタン等)6つのゾーンに分けて各地区で予選を行い、決勝リーグ戦は各地区のテリトリーを廻り、優勝決定戦はニューヨークのMSGで開催するというスケールの大きなものでした。

翌81年4月23日、蔵前国技館でスタン・ハンセンとの王座決定戦(前週の4月17日、鹿児島県立体育館でのハンセンとの防衛戦が13分24秒、没収試合となり、タイトルはコミッショナー預かりに)に12分56秒、コーナーポスト最上段からのダイビング延髄斬りからの体固めで勝ち、NWFヘビー級王座に返り咲いた猪木は、IWGP参加の為に同タイトルを返上。
 
坂口征二も保持していたWWF北米ヘビー級王座と、坂口&長州力組が保持していた北米タッグ王座をそれぞれ返上しています。

5月8日、川崎市体育館での「第4回MSGシリーズ」開幕戦には、全日本プロレスのトップヒール外国人レスラーだったアブドーラ・ザ・ブッチャーがIWGP参戦を表明して新日本プロレスのリングに登場、続いて馬場、鶴田に次ぐ全日本プロレス「第3の男」タイガー戸口も新日本プロレスヘ移籍を表明しました。

6月4日、蔵前国技館のリング上ではタイガー・ジェット・シンがIWGP参加の為にNWF北米ヘビー級、新日本版アジア・ヘビー級王座、同アジア・タッグ王座(パートナーは上田馬之助)を返上していますが、シンはこの日を最後に8年間暴れまくった新日本プロレスのリングに訣別、馬場の誘いに応じて全日本プロレスのリングに闘いの場を移しました。

「真の世界王者」を謳うからにはやはり全日本プロレス的なメンバーを入れなければファンが納得しなかったかと思われ、ブッチャー、戸口を引き抜いた感はありますが、これに端を発した新日本プロレスと全日本プロレスの引き抜き抗争が勃発、新日本プロレスがディック・マードックを獲得すれば、全日本プロレスはチャボ・ゲレロが新日本マットで木村健吾を破り奪取したNWAインターナショナル・ジュニア・ヘビー級のベルトを持ったまま移籍。

12月13日、全日本プロレス、蔵前国技館での「世界最強タッグ決定リーグ戦」最終戦に新日本プロレスの強さの象徴であったハンセンが登場して、全日本プロレスへの参戦を表明。

当初は82年秋にはMSGで優勝決定戦が行われる予定だったIWGPですが、ハンセンの全日本プロレス移籍と、猪木の体調不良(右膝半月板損傷、糖尿病)などにより、軌道修正を余儀なくされ、また、世界各地で行われると発表された決勝リーグ戦は「日本国内の新日本プロレスの興行を買っているプロモーター達が結束して『日本で開催してもらわねば困る』と新間本部長のところに強硬な申入があった」として、海外開催を断念し、決勝リーグ戦は日本国内で行われることになりました。

構想発表から2年5か月を経てIWGP決勝リーグ戦はアジアゾーン代表、猪木、キラー・カーン、アメリカゾーン代表、ハルク・ホーガン、ビッグ・ジョン・スタッド、北米ゾーン代表、アンドレ・ザ・ジャイアント、ディノ・ブラボー、ヨーロッパゾーン代表、前田日明(ヨーロッパ・ヘビー級王者)、オットー・ワンツ、中南米ゾーン代表、カネック、エンリケ・ベラの10選手で83年5月6日、福岡スポーツセンター〜6月2日、蔵前国技館まで全28戦、1日のオフもなく開催されることとなり、中近東勢の参加はなし。

カナダ代表だったブラボーは来日し開幕戦前日の新宿・京王プラザホテルで行われた前夜祭レセプションには参加しましたが、「自宅に強盗が入った」との通報があり、1試合も行なわず帰国、代打としてラッシャー木村が急遽参戦となりました。

実際には海外マットでの決勝リーグ戦は実現するのはかなり難しく、移動経費を考えたりすると完全に赤字になり、実行委員に名を連ねていたビンス・マクマホン・シニア、フランク・タニー(立会人として来日、その足で夫人と香港へ観光旅行に行き心臓発作で急死)、マックス・クラブトリー、フランシスコ・フローレスらのプロモーターが興行を買ったかどうかは疑問です。

優勝決定戦は6月2日、蔵前国技館で行われ、13,000人の大観衆を動員、共に37点で同点1位の猪木とホーガンの対戦となりました。試合は場外の鉄柱の辺りでホーガンが猪木の後頭部にアックスボンバー、不意を突かれた猪木は鉄柱に頭をしたたかに打ち付けてしまいました。

意識朦朧としながらリングに上がろうとする猪木に対し、先にリングに上がっていたホーガンはリング内から助走をつけて、エプロンに上がってきた猪木にアックスボンバー、猪木は「糸の切れた凧」状態で場外に転落。

レフェリーがカウントするも起き上がれず、坂口征二を初めとするセコンド陣が猪木をリングに押し上げましたが、猪木は舌を出してうつ伏せになって倒れたまま。21分27秒、ホーガンのKO勝ちが宣せられてホーガンの優勝、時価1億円と言われたチャンピオンベルトが贈呈されました。

ホーガンは勝ったばかりの時こそ喜んでいましたが、猪木が起き上がって来ない為に次第に喜びの表情は薄れ、顔面蒼白になっていました。

猪木は救急車で新宿の東京医科大学付属病院に搬送されましたが、深夜に抜け出し身代わりに実弟の啓介氏が入院し、これを知った坂口が「人間不信」と書き置きして海外に行ってしまったとか猪木の自作自演説が現在では有力になっています。

流れさんのコラムでは採り上げられたのは優勝決定戦に違いありませんが、実際は前日の6月1日、愛知県体育館でのアンドレvsKカーンの最終公式戦が両者リングアウトに終わり、アンドレが猪木とホーガンに1点及ばず36点で公式戦を終えた事に重点を置いて言及されています。

もしアンドレが勝っていたら1位となり、先ず猪木vsホーガンで決勝進出者決定戦となり、その勝者がアンドレと対戦することになる訳で、そうなっていたらあのアクシデントは起きていなかったかも知れません。

※対戦成績は188戦37勝151敗、勝率197。
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