76年新日本プロレス「闘魂シリーズ第2弾」後半戦のストロング小林の熱戦の模様です。
第18戦、11月18日、大阪・高石市臨海スポーツセンター(観衆2,800人満員発表)大会。メインイベントは南アフリカ共和国遠征より帰国した坂口征二が2戦目で猪木との黄金コンビを結成、パット・パターソン&リッキー・ハンター組と対戦しました。
1本目は15分22秒、猪木がハンターを逆さ押さえ込み、2本目は6分47秒、坂口が腕折り固めでハンターをギブアップさせて2−0のストレートで猪木&坂口組の快勝。
2本目の坂口のフィニッシュである腕折り固めは「月刊プロレス」のプロレス熱戦譜では「ステップオーバー・アームストレッチ」と記載されており、どんな技が幻想が膨らみますが、生憎写真もなくこの後、坂口がこの技を使ってギブアップを奪ったシーンを見たことがないので不明です。
S小林はセミファイナルに登場、イワン・コロフとシングルマッチ45分1本勝負で対戦しています。先の「闘魂シリーズ」ではタッグマッチでコロフから2回フォールを奪い、シングルでも負けなしと互角の試合を展開していたS小林でしたが、猪木への挑戦が決まっているコロフには歯が立たず8分32秒、体固めでフォール負けしました。
西ドイツ遠征帰りの小沢正志(キラー・カーン)はこの日セミ前でラリー・ヘニングとのシングルマッチに抜擢され8分36秒、体固めで敗れています。
高石大会の試合前に予定より早々と来日したウィリエム・ルスカと、南ア遠征で坂口のトレーナーとして帯同していたカール・ゴッチが姿を現し会見を行っています。
ゴッチは「ルスカから猪木に勝つ為にコーチをして欲しいと依頼を受けた。ルスカの勝利に賭ける執念に心を動かされた。猪木に勝つ為の秘策を授ける」と、猪木の師匠でありながら猪木の反対側コーナーに立つ決意を表明、集まったマスコミとファンを驚かせています。
第19戦、11月19日、大阪・寝屋川市民体育館(テレビ生中継)。この日のテレビ生中継はダブル・メインイベント。
ダブルメイン第1試合は南アから帰国してから初のテレビ登場となる坂口がS小林との北米タッグ王者コンビ、パワー・ファイターズ復活でコロフ&ハンター組と対戦する60分3本勝負。
1本目は15分34秒、S小林がハンターを体固め、2本目、これまで上位陣に負け続けてきたハンターが曲者ぶりを発揮、1分41秒、S小林を速攻の後方回転エビ固めで丸め込んでカウント3を奪いました。決勝の3本目、場外で坂口がコロフに背骨を鉄柱に打ち付けられて立ち上がれず、6分3秒、コロフが坂口にリングアウト勝ち。ハンターの金星もあり、北米タッグ王者コンビの坂口&S小林組が2−1で敗れてしまいました。
ダブルメイン第2試合は猪木とパターソンのシングルマッチ60分1本勝負。リングサイド最前列にはルスカとゴッチが揃って陣取り、猪木に熱い視線を浴びせています。
猪木とパターソンは今シリーズ、開幕戦の10月29日、福生大会と11月14日、倉吉大会と2回シングルで対戦しいずれも両者リングアウトと決着つかず。
ルスカと、まさかのルスカ側に寝返ったゴッチの姿を見て猪木の闘志に火が着いたか。しかし相手はねちっこさが売りの百戦錬磨のパターソン。カッとなると墓穴を掘りかねない相手。パターソンは猪木にキーロックを見せて自らの身体を回転させての攻撃。
猪木は一瞬の隙を見逃しませんでした。パターソンがキーロックをかけたままローリングしたところ上から抑え込んでのエビ固め、10分9秒、カウント3が入り猪木のフォール勝ち。
このフィニッシュはこれより4年前の72年10月10日、大阪府立体育会館で、ゴッチ所有の実力世界一のベルト、世界ヘビー級王座を賭けての猪木の防衛戦で、ゴッチが猪木からフォールを奪ったエビ固めと同じフィニッシュでした。
猪木が意識していたのはルスカよりゴッチ。「ゴッチさん、見たか!」と言わんばかりの絶妙の丸め込みで難敵パターソンから今シリーズ初のピン勝ちを奪いました。
新日本プロレスの巡業は九州へと移動。第20戦は11月21日、力道山の第二の故郷、後に女子プロレスのカリスマとなる長与千種(当時12歳)の出身地である長崎県大村市民体育館(観衆2,400人発表)大会。
S小林はメインイベントで猪木とのニュー・ゴールデンコンビを結成、1本目は12分12秒、S小林がLヘニングを片エビ固め、2本目は7分10秒、猪木がハンターを体固めに決めて2−0で猪木&S小林組が鮮やかにストレート勝ちを飾っています。
セミファイナルでは後にWWF北米ヘビー級王座を賭けて対戦することになる坂口とパターソンがシングルマッチ45分1本勝負で対戦し13分55秒、両者リングアウトの引き分け。
コロフは星野勘太郎を7分29秒、カナディアン・バックブリーカーでギブアップさせました。当初、11月25日の鹿児島でのテレビマッチから2週間の特別参加の予定だったルスカですが、来日したからには早く試合したくてしょうがないとばかりこの日から試合に出場、小沢と対戦し5分23秒、体固めでフォール勝ち。
第21戦、11月22日、福岡県飯塚市体育館(観衆2,000人発表)大会。メインイベントは猪木&星野組vsパターソン&ハンター組の一戦。1本目は18分23秒、パターソンが星野を体固め、2本目は1分18秒、星野がハンターを回転エビ固め、決勝の3本目は3分56秒、猪木がハンターを体固めで破り2−1で猪木&星野組が勝利。
セミファイナルは坂口とLヘニングの初対決、シングルマッチ45分1本勝負。LヘニングはAWA圏から滅多に外へ出て試合をするレスラーではなく、日本プロレスにも力道山時代の62年に1度しか来日していない為坂口との接点はなく、初顔合わせとなりましたが9分34秒、逆片エビ固めで坂口がギブアップ勝ちを収めています。
小沢は再びコロフとのシングルマッチに抜擢され、7分49秒、カナディアン・バックブリーカーでギブアップ負け。
S小林の試合ですが、この日は木戸とのシングルマッチが組まれ、9分27秒、体固めでフォール勝ちしています。リップ・ホークが帰国した為、中堅外国人が手薄になったとの見方も出来ますが、セミ前の前、全9試合中、6試合目に組まれており、猪木、坂口と並ぶ「ビッグ3」として格落ちの感は否めません。
しかし、この後引退までS小林のポジションが落ちていった関係で、木戸、星野、藤原喜明らとのシングルマッチが経常的に組まれるようになっていきます。
ルスカは藤原と対戦し4分6秒、体固めで勝っています。
第22戦、11月25日、鹿児島県立体育館(テレビ収録、観衆3,000人発表)大会。
この週もダブル・メインイベント、NWFヘビー級、北米タッグ2大選手権試合前哨戦が組まれました。
ダブルメイン第1試合は12月8日、横浜文化体育館での北米タッグ選手権試合前哨戦60分3本勝負、坂口&S小林組とパターソン&Lヘニング組の一戦。
1本目は18分15秒、パターソンがS小林を後方回転エビ固め、2本目は4分57秒、S小林がLヘニングを体固め、決勝の3本目ですが、坂口が外国人陣営に捕まり、3分47秒、坂口がLヘニングに体固めでフォール負けを喫し2−1でパターソン&Lヘニング組に凱歌が上がり、王者組は2フォール奪われての完敗、2週連続テレビマッチは負けてしまいました。
ダブルメイン第2試合は12月2日、大阪府立体育会館で行われるNWFヘビー級選手権試合の前哨戦、猪木とコロフのシングルマッチ60分1本勝負。
試合はコロフが猪木をベアハッグ、猪木は徐々に後退しながらロープ際へ。猪木はロープ際でコロフの両脇に自分の腕をコジ入れて差し込み、「もろ差し」の体勢でロープの反動を利してコロフを場外に投げましたが、投げきれず自らも場外へ、さらに近くにいたレフェリーのミスター高橋も巻き込んでしまい3者場外でダウン、猪木は足を痛めたか起き上がれず。
高橋レフェリーは試合終了のゴングを要請し、15分18秒、ノーコンテストとなりました。テレビ放送はこの2試合。
ルスカの試合は放送枠には入りませんでしたが、木戸とシングルマッチで対戦、6分8秒、体固めで勝利を掴みました。
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