前74年に一気に大躍進を遂げた新日本プロレスの75年「新春黄金シリーズ」は1月3日、埼玉県越谷市体育館(テレビ収録、観衆3,200人満員発表)で開幕。
前74年の同シリーズに初来日、他局のバラエティー番組にも出演し話題を振りまいた「2人合わせて600kg」の巨漢双生児タッグ、ベニー&ビリーのマクガイヤー・ブラザーズが再来日、カナディアン・ワイルドマン、コーリン・ジョイソン、ピート・ロバーツ、スティーブ・ライト、ウラカン(ヒューラカン)・ラミレスの外国人選手が参加。終盤戦にはブルート・バーナードが特別参加しています。
なお、エース格外国人でエドワード・カーペンティアの参加が発表されていましたが、来日前にロサンゼルスのテレビテーピングでジョン・トロスに椅子で殴られ右手首を痛めて負傷という理由で来日キャンセルとなりました。
男子3団体時代に入ってから2度目の正月で、全日本プロレスは恒例となる1月3&4日(翌76年からは1月2&3日)の後楽園ホール昼興行2連戦で「新春シリーズ」が開幕、国際プロレスは1月5日、後楽園ホールで「新春パイオニア・シリーズ」を開幕させています。
開幕戦の越谷大会に、2度目の挑戦で猪木に返り討ちに遭い、その去就が注目されていたストロング小林がスーツ姿で現れ「猪木さんを内側から研究したい」と今シリーズよりフリーとして特別参加することが発表されています。
小林はメインイベントの前にリングに上がり、倍賞鉄夫リングアナから紹介され、花束を受け取り観客に挨拶、リング上で猪木、坂口征二と握手を交わしました。小林は1月7日、長野市民体育館からフリー参戦することになりました。
「別冊ゴング」75年2月号では、新日本プロレスにシリーズ参戦が決定した小林に独占直撃インタビューを行って、小林の真意を探っています。
ー「昨年、暮に話を聞いた時、あなたは全日本にも新日本にも所属しないと言っていたが、新年早々の新日本プロレス登場、ズバリ、その心境を聞きたいのだが?」
小林「そうですね、僕の気持ちはまったく変ってないんですよ。僕は今更一つの団体に所属して、枠の中で縛られてファイトするという気持ちはまったくないんです。それが嫌で、自分の力をフリーの立場で思い切って試してみたい、実力だけでこの世界を生きてみたいと思っているんですよ。
だから今回の場合も、新日本プロレス入りという訳ではないんです。僕はプロレスラーですからね。遊んでいても仕方がない。試合をやらなければ、ハッキリ言って食っていけませんよ。日本にいればどこかの団体のリングに上がらなければならない。
ご存知のように日本には3団体しかない。じゃあ、どこのリングに上がるかということになれば、現在の僕を最も惹き付ける新日本プロレスのリングということになったんです。
しかし、あくまでも1シリーズごとの契約で自分のフリーとしての立場を尊重してもらいたいという条件付きです。わがままなようですが…」
ー「新日本プロレス以外の団体からも誘いがあったんですか?」
小林「国際プロレスからは、昨年飛び出した時から現在まである人を通して『いつでも戻ってこい』という話が続いています。これは後援会筋を通してなんですが…。しかし、僕の気持ちとして国際プロレスのリングには今は戻る気はありません。(※グレート草津がいるから?)
全日本プロレスからも、昔お世話に鳴ったある先輩(※マティ鈴木かと思われる。)を通して、つい最近まで熱心に誘ってもらいました。具体的に色々な条件も呈示されました。まあ、僕の力をそれだけ評価してもらったことは本当に有難いことだと思います。」
ー「新日本プロレスからも、もちろん誘われた訳ですね。」
小林「はい。誘って頂いたから出させてもらうことになったんです。(笑)僕としては、これからの問題ですが、新日本とか全日本とかに拘らず、使ってくれるところへどんどん出たいんです。
正直言って国際プロレスだけは、出た時のいきさつから言って、まだ拘りがあるんです。プロに徹するという意味では、それではいけないんですが、まだ人間がそこまで出来ていませんので(笑)。
まあそういうことで、僕はこれから自分の腕一本、一匹狼として生きていく、その年始めが新日本プロレスの新春シリーズ出場なんですよ。力だけを評価してもらって、ファイトマネーを得る。この生き方でどこまでいけるか、とにかく精一杯やってみたいと思っているんです。一匹狼がどこまでやれるか、ということをファンの皆さんにも見て頂きたいと思います。」
ー「一匹狼としての最初の活躍の舞台に、新日本プロレスの新春シリーズを選んだのはどういう理由ですか?」
小林「打倒猪木、これは僕の最大の目標なんです。猪木さんに勝つまでは変わりません。2度闘って2度負けました。最後の試合は僕はギブアップしていないんですが、冷静になって後でビデオレコーダーなどで試合を見ていると、状況的に僕が負けています。そして感じたことは猪木というレスラーの偉大さですよ。あの人は底が知れませんね。技術だけなら怖くない、怖いのはプラスアルファの力ですよ。
ハッキリ言って、今日本のレスラーで実力No1は猪木さんですよ。これは僕が負けたから言うんではないんですが、闘えば闘うほどアントニオ猪木というレスラーの実力の深さが恐ろしくなってくる。大木(金太郎)さんも同じ気持ちだと思います。
これは実際にあの人と闘った者でなければわかりませんよ。心技体、全てに圧倒される。巧いとか何とか言うんじゃない、強いですよ。まあ昨年最後の試合の時、今度やったら勝てる、と言いましたが、それは僕の気持ちで、正直言って冷静になってみると、今勝てると言い切れるかどうか、わからなくなってきた。
一体アントニオ猪木という男を、これ程強くした秘密は何なのか、これを内側から研究してみたい。打倒猪木の気持ちは変わらない。打倒猪木を果たす為に新日本プロレスのリングへ上がって、猪木という人間を内部から研究してみよう、そんな気持ちで新日本プロレスのシリーズヘ出場ヘ踏み切ったんですよ。」
ー「その気持ちは猪木には伝えたんですか?」
小林「はい。1月1日に猪木さん初めてプライベートで酒を酌み交わし合ったんです。僕は率直に自分の気持ちを言いましてね。あなたを倒す為に新日本プロレスのマットヘ上がらせてもらいたい、ファイトマネーは僕の実力をあなたの目で評価したものをもらいたい…とね。
随分と虫のいい注文なので僕も気になったんですが、一杯飲んだ勢いで思い切って自分の気持ちをぶちまけたら、猪木さんはわかったと言ってくれた。そして自信がついたらいつでも挑戦を受けてやる、いつでも来いと言いましたよ。
まあ何と言いますか、これはお世辞でも何でもなく、猪木さんという男の度量の深さというか、人間の大きさにも驚きましたね。まあいずれにしても、こういう訳で新日本プロレスのリングに上がることになったんです。
猪木さん、坂口さん…まあこの日本マットのトップを争うと言われている人達の強さを盗みたいと思っています。」(次回ヘ続く)
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