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2016年08月28日21:43

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猪木とビンス(351)

試合後、IWGPのベルトを腰に巻かれた猪木は収拾がつきそうもない状況の中でハルク・ホーガンに向かって英語でマイクアピール。

最後の「ツーベルト!」の部分だけははっきり聞き取れましたが、「もう一回、今度はお前のWWFとこのIWGPの2つのベルトを賭けてやろう。」という内容だったかと思われます。

しかし、日を改めて再戦しようと言っても到底この日の結末では観客は納得する訳もありません。

両者がリングを降りてからも観客の「長州を出せ!」「金返せ!」の野次と怒号は収まるどころか次第にヒートアップしていきました。

暴徒と化した観客からはリング内に座布団が投げられたのを契機に続々とモノが投げ入れられ、暴動騒ぎに発展、国技館の時計をモノを投げて壊し、不審火が焚かれました。消火器を振り回し、貴賓席、力士の名前の書かれた電光板を次々に壊しにかかりました。

まさに恐るべし集団心理。今なら警察が呼ばれ、器物破損で逮捕者が出てもおかしくない状況でした。

藤原喜明がリングに上がりマイクを掴んでやめるように呼び掛けるも観客は収まらず。

私服に着替えた猪木がリングに上がり、観客に向かって無言のまま手を上げて頭を下げましたがかえって逆効果となり「猪木死ね!」という声も。

坂口や藤波もマイクを掴んで懸命に場内を静めようとしましたが、それも効果はありませんでした。

結局、午後11時半過ぎ迄167人ものファンが残り、「2度と長州の乱入のようなことを繰り返さないで欲しい」と「嘆願書」を出して新日本プロレス側もこれを受け入れて一段落つきました。

事態を重く見た新日本は6月18日、臨時役員会を開催し騒動の善後策を協議。

「試合に乱入した長州と試合の運営にスムーズさを欠くレフェリングをしたミスター高橋の処分を検討する」と方針を固めました。

6月21日、14日蔵前国技館に来場していたファン代表の藤井良樹君(当時19歳)と仲介の労をとった田野直氏(どういう立場の人物かは不詳)が南青山にあった新日本の事務所を訪れ、坂口副社長と中根保男営業部長に抗議署名を手交しています。

新日本プロレス側は臨時役員会での決定事項を踏まえ、長州と高橋レフェリーに処分を課し、セコンド陣の事前チェックが不十分であったことを認め、謝罪しました。

新日本が誠意ある対応をした為、ファン代表側も納得し怒りを鞘に収めて一応の収束をみました。

当時は、長州が何故乱入したかに焦点が絞られました。UWF誕生の経緯と同様に猪木が仕組んだアングルであったことは当然伏せられていたことは言うまでもありません。

当事者の長州はこの件に関しては固く口を閉ざしており、コメントはなし。一部では「決勝戦を見ていてつい興奮して手を出した」と書かれた文献もありますが勿論本音とは程遠い話でした。

専門誌(紙)には「決勝に行けなかったことに対しての不満」「長州にとって心の師匠であるマサ齋藤が処遇面の改善(ギャラアップ)を要求して(新日本に)蹴られたらしい、それに対する齋藤の不満を代弁したもの」などの憶測記事が掲載されました。

日本相撲協会は今回の騒動で「猪木が謝りに来ない」と激怒したそうですが、この年の秋場所を最後に取り壊しが決定しており翌年初場所からは両国に建築中だった新国技館に移転が決まっていた為か、使用禁止のお咎めはなし。(勿論、修繕費用は新日本が支払ったと思われる)

新日本プロレスは前年8月のタイガーマスク引退騒動から立て続けに失策を連発しています。
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