84年IWGP優勝決定戦は6月14日、蔵前国技館に13000人(超満員)発表の大観衆を集めて行われました。
前年度優勝者ハルク・ホーガンに挑むリーグ戦覇者は53点無敗の猪木。以前ビンス・マクマホンが「ホーガンとアンドレ・ザ・ジャイアントのシングルマッチを日本でやることは認めない」とコメントしていましたが、仮にそれがなかったにせよ、この時に決勝に出て来るのは猪木以外には考えられません。
戦慄の舌出し失神事件から1年、今度こそIWGPの提唱者である猪木がホーガンを打ち破り、時価1億円のベルトを巻いて欲しい。1年前、会場で、テレビの前で心配し、涙した日本全国のプロレスファンの悲願でした。
前売チケットは早急に完売。入り切れなかった人の為に会場の外で日本初のクローズド・サーキット(今で言うパブリックビューイング)の上映が為され、300人が国技館の中庭から試合を観戦しました。
最初に入場してきたのは猪木、赤いガウンで登場、続いて王者ホーガンがベルトを巻いての入場。
序盤は静かな攻防、ホーガンがキャメルクラッチ、シュミット式バックブリーカーを見せれば猪木はコブラツイスト、腕ひしぎ逆十字。
ホーガンもこれを逆十字で切り返す。ホーガンの張り手と猪木のナックルの応酬、ホーガンのバックに回ると猪木はバックドロップ。
ちなみに猪木のバックドロップは長年投げる時に右足が流れてしまう癖がありましたが、晩年は投げ切るまで両足がピッタリとマットに着くように改良され、フォームは美しくなっています。
ホーガンも猪木の身体を担ぎ上げると力任せにバックドロップのお返し、さらにネックブリーカードロップと畳み込みますが猪木もホーガンの隙を衝いての延髄斬り、ホーガンはロープ際にダウンしてのエスケープ。
ホーガンが反撃に出ます。猪木をダウンさせておいてのギロチン・ドロップ、さらに早くもアックスボンバー、猪木はこれをかわしドロップキック。
エプロンに落ちるホーガン、猪木はホーガンがリングに上がって来たところを延髄斬り、しかしホーガンはこれを読んでおり空回り。
ホーガンは猪木を場外へ引きずり出して乱闘となった末、場外でのブレーンバスター。レフェリーのミスター高橋は場外20カウントを数えて17分15秒、両者リングアウトが宣せられました。
ホーガンは自分が王者であるから、引き分けでの「防衛」を主張。ホーガン的には防衛戦の感覚なのでしょう。
館内からはもちろん「大・延長コール」山本小鉄審判部長がリングに上がり時間無制限1本勝負で延長戦へ。
延長戦では猪木がアリキックの連発でホーガンをダウンさせると足4の字固め。ガッチリ決まったがホーガンは身体をにじりよってロープへ、両者の身体はエプロンに出てしまいました。
レフェリーの高橋は再びカウントを数えますが両者とも自力で技を外す気配はなく、10カウント入り2分23秒、両者エプロンカウントアウト。またもドロー裁定。
試合は再延長戦へ。ホーガンは猪木をロープに詰めてショートレンジのアックスボンバー、これは効きました。さらにとどめとばかりロープに飛ばしてのアックスボンバー。猪木はカウント2でクリア。
ホーガンは猪木を場外に落とし、場外でもアックスボンバー、リングに戻り、エプロンに上がろうとした猪木に助走をつけてのアックスボンバー…6・2の惨劇再びを思わせる場面でしたがレフェリーも巻き込んでもつれて両者場外へ転落。
そこへリング下で待機していた長州が唐突に乱入。まずは猪木にリキラリアット、続いてホーガンにもリキラリアットを見舞いましたがこれはホーガンのアックスボンバーとの相討ち。
リキラリアットを食らってダウンしていた猪木でしたが、セコンドの助けを借りて猪木はリングにカムバック、ここで20カウントが数えられ、3分11秒、猪木のリングアウト勝ちによる優勝が宣せられました。
この瞬間、13000人の大観衆からは怒号にも似た不満の声が沸き上がっています。
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