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2022年07月19日23:59

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映画日記『どろ犬』

2022年7月19日(火)

『どろ犬』(1964年)
監督:佐伯孚治
日本映画専門チャンネル【録画】

都内のとある署につとめる刑事の宮坂(大木実)は、その強い正義感ゆえに手荒なこともいとわない鬼刑事。子どもを早くに亡くし、妻は愛人をつくって駆け落ちしてしまった。
そんな直情的で堅物の宮坂だったが、じつは自分が挙げたやくざの情婦千代(原知佐子)と関係を持っていた。
そのことを知ったヤクザの山口(西村晃)が宮坂に近づいてくる。
山口の計略によって、宮坂は鬼刑事から悪徳刑事へと堕ちていき・・・・

『どろ犬』というタイトルも知らなければ、佐伯孚治という監督もまったく知らなかった。佐伯孚治は「さえき たかはる」と読むとのこと。
モノクロの画面、雨の降るひとけのない夜更け、漆黒の暗闇の中に、車のヘッドライトに照らされた白いコート姿の若い女性が浮かんだ。
出だしのシーンからいっきに引き込まれる。
メリハリをつけた光と影による夜のシーンが秀逸。
和製フィルム・ノワールと言い切っていい。
しだいに追いつめられていく大木実、奔放なようでどこか幸せ薄い原知佐子、このふたりも良かったが、なんといっても蛇蝎のような西村晃だ。
悪役時代の西村晃は子ども時代(小学生のころ)にテレビでもちょくちょく出演していた。
父親から、西村晃の晃は「こう」と読むのだと教えられたこともあり、子どもにとっても気になる存在だった。とにかく嫌らしい役ばかりで、また「こう」がやらかしてるとおもっては憤慨していた。
今になって見ると、心底うまい役者、そのうまさが子どもにすら強い印象を残したのだろう。
新人時代の井川比佐志や亀石征一郎、そして田中邦衛の共演も見どころ。
加えて刑事に扮した清水元や織田政雄のベテラン陣も見逃せない。
とりわけ市井に生きるふつうの人を演じ続けてきた織田政雄は、西村晃とは別の意味で、うまい役者だ。

隠れた秀作。


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