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2019年06月17日01:57

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映画日記 『兄消える』 『ハウス・ジャック・ビルト』

2019年6月16日(日)

『兄消える』(2019年)
監督:西川信廣
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

先月、芦川いづみ映画祭で『お転婆三人姉妹 踊る太陽』(1957年)を見てたら柳沢真一が出てた。
柳沢真一は子どもの頃からモノクロのテレビを通じて知っていた。
少々甲高い声で、お笑い番組でキザな金持ちのぼんぼんみたいな役を演じてたという印象だ。
ときどき洋楽を歌っている姿を見たことがある。
「奥様は魔女」のダーリン役の吹替えも彼だった。
のちに彼がジャズ歌手で池内淳子と結婚していたことを知って驚いた。
といっても、特段、子ども時代のヒーローだったわけでなく、好きな俳優だったわけでもない。
それなのに、その柳沢真一が主演をしてるということだけで、映画館に駆けつけたようなもの。
映画としては、ドラマはあったがチックがなかった。
しかし、そんな映画の出来とはまったく違う次元の感慨と感傷に包まれた。

ここ数年、私の子ども時代から青年時代にかけて活躍した歌手や俳優や作家が、どんどんと亡くなっている。ほんとうに、あれよあれよという間だ。
歌や映画や小説を通じて、私という人間を作ってくれた人たちが、静かに退場していく。
私が生きてきた時代そのものが幕を閉じようとしている気分だ。
そして、まるで時代の幕引きのようにあらわれたのが、私の中では「脇役」でしかなかった柳沢真一という意外な人物だったのだ。

60年ぶりの主演作にもかかわらず、柳沢真一は力演することなく、ひょうひょうとしていた。
力もうにも、歳なので力が入らないのだろう。
ひょっとしたら、ドラマチックにしなかったのは、彼の歳を考えてのことかもしれない。
ただ、ラストで川の流れを見つめ立ちつくす柳沢真一の姿に、年下の私は「しかと見届けた」、という気分になったのだ。


『ハウス・ジャック・ビルト』(2019年)
監督:ラース・フォン・トリアー
名駅・ミッドランドスクエアシネマ2

露悪的で強烈なシーンに、おもわず笑ってしまった。
正直、何がなんだか分からない映画だが、見てる分には最後まで面白かった。
私には、マット・ディロン演じる殺人鬼は、監督自身のことのように見えた。
美や芸術を追求する者は、往々にして狂っている、ということか。
まあ、そんなありきたりの結論ではないとはおもうが・・・・
明日にでも買ってきたパンフレットを読んでみよう。

ヒトラーと、彼のお抱えであったなんとかという若い建築家の話が興味深かった。
彼らは、ナチスの建築物が第三帝国の偉容を誇るものであると同時に、その建築物が1000年後に廃墟となったとき、ナチスの栄光を見る者に想像させるよう、素材や工法に工夫を凝らしたという。
テレビ番組のタイトルにならうと、映画も含めて20世紀は「映像の世紀」だった。
1000年後、たまりに溜まった映像は、そして映画はどうなってるのだろう。



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